【〝擬態〟が得意な灰色のアマガエルだった!】
数日前、奈良市内の白豪寺に程近い墓苑を歩いていた時のこと。帰途、何気なくお墓を見ていると「八幡家之墓」の「幡」の1文字が目に留まった。巾偏(はばへん)の「巾」の右側の色が少し違う。近づいてみると、そこにすっぽり収まっているのは、なんと体長3~4cmほどのかわいい灰色のアマガエルだった。
9月中旬とはいえ、白昼にはまだまだ残暑が続く。ひんやりした墓石はアマガエルにとって居心地がいいのだろう。接写していると、カエルは視線をこちらに向け、やがて「休息の邪魔をしないでよ」と抗議するように「巾」から出てきた。そして、お墓をよじ登って、てっぺんからにらんでいた。お邪魔しました!
それにしても、このアマガエルの体の色、墓石の御影石によく似ているなあ。帰宅し手元の『自然大博物館』(小学館)を開いて納得した。ニホンアマガエル(日本雨蛙)の項に「周囲の色彩に反応して黄緑色から灰白色まで体色を変化させる」とあった。アマガエルは〝擬態の術〟を持っていたのだ。