【13~15日に奈良市内8カ所で内外の作品約60本を上映!】
レッドカーペットをドレスアップした紳士・淑女が胸を張り、ゆっくり歩を進める。映画人にとってはまさにハレの舞台に違いない。12日開幕した「なら国際映画祭」。奈良県新公会堂前に敷かれたレッドカーペットを、奈良在住の河瀬直美監督やコンペティション部門審査員の女優夏木マリさんら盛装した約400人が歩いた。奈良公園内のその周りは国際的で華やかな雰囲気に包まれた。
「なら国際映画祭」は2007年のカンヌ国際映画祭でグランプリを受賞した河瀬さんの提唱で2010年に始まった。隔年開催で今回で3回目。今年はならまちセンターや奈良女子大学講堂、春日大社など8会場で、15日まで内外の作品約60本が上映される。新進気鋭の監督を対象とするコンペ部門には応募作約150点の中から選ばれた8作品が上映される。最優秀作には「ゴールデン鹿賞」と、副賞として奈良県内を舞台に映画を制作する権利が与えられる。
2010年映画祭でゴールデン鹿賞を受賞したペドロ・ゴンザレス・ルビオ監督(メキシコ)が奈良で制作した作品「祈り~inori~」は世界各国で高く評価され、スイス・ロカルノ国際映画祭では新人賞を獲得した。前回同賞を受賞したチャン・ゴンジェ監督(韓国)は五條市を舞台に日韓合作の「ひと夏のファンタジア」を制作、その作品は今映画祭で公開される。映画祭は新進監督の発掘とともに奈良の世界的なPRにもつながっているようだ。今年の受賞作品は15日の閉会式で発表される。
映画祭を主催するのはNPO法人なら国際映画祭実行委員会(NIFF)。レッドカーペットは午後4時にスタートした。歩きぞめの獅子舞を先頭に、同NPO理事長で映画祭エグゼクティブ・ディレクターの河瀬さんやコンペ審査委員長のルチアーノ・リゴリーニ氏(スイス)、夏木マリさんらが続く。中にはロッテルダム国際映画祭の関係者や初監督作品が上映される東大寺学園の高校生、前夜祭で自著『子宮の言葉』を朗読した女優・写真家の松田美由紀さん、サッカー「奈良クラブ」の選手たちも。この後、新公会堂でオープニングセレモニーが開かれ、上映作品の紹介に続いて河瀬さんが開会を宣言した。