【メキシコ原産、日本には江戸時代末期に渡来】
キク科ジニア属(ヒャクニチソウ属)の春蒔き1年草。原産地はメキシコで、日本には江戸時代末期に米国から渡って来た。運び込んだのは1860年(万延元年)に江戸幕府が日米修好通商条約の批准書交換のため派遣した遣米使節。持ち帰った種子の中にパンジーやペチュニア、ネモフィラなどとともにヒャクニチソウも含まれていたという。
和名「百日草」の通り、花期は夏から晩秋までかなり長い。そのため当初は「ウラシマソウ(浦島草)」や「チョウキュウソウ(長久草)」とも呼ばれた。ただ現在「ウラシマソウ」といえば一般にサトイモ科の多年草を指す(2013年4月28日付ブログ参照)。夏の暑さに強く花ちもがいいため、日本では長くお盆の花としても仏壇を飾ってきた。
属名から「ジニア」とも呼ばれる。18世紀のドイツの医師・植物学者のJ.G.Zinn(ジン、1727~59)に因む。メキシコからスペイン、さらにドイツに渡ってきたこの花について書き記していたという。植物分類学の父リンネが若くして亡くなったジンを惜しみ「ジニア」と名付けた。ブラジルでは「魔除けの花」「幸福を招く花」として親しまれ、リオのカーニバルに欠かせない花になっているそうだ。
原種は紫色の一重の小花だったが、欧州や米国、日本で様々な園芸品種が生まれた。花色は赤、紅、黄、白、橙など豊かで、青以外はほとんどあるともいわれる。花径は小輪から15cmほどの大輪まで、咲き方もダリア咲き、半球形のポンポン咲き、花びらが筒状に細く巻き込むカクタス咲きなど実に多彩。「百日草百日の花怠らず」(遠藤梧逸)。