【南アフリカ原産、ヒガンバナに似た花姿】
南アフリカ原産で、約30種といわれる原種のほとんどがケープ地方に自生するといわれる。ヒガンバナ科(クロンキストという分類体系ではユリ科)の球根植物。種間交雑が容易という特徴を持ち、英国やオランダ、米国などで「サルニエンシス種」や「ボウデニー種」などをもとに様々な園芸品種が作り出されてきた。
属名のネリネはギリシャ神話に登場する海の女神「ネレイス」に由来する。開花はヒガンバナより1~2カ月遅く、10~11月頃にすくっと伸びた30~40cmの茎の先端に5~10個の華やかな花を付ける。花色は白、赤、紫、ピンク、オレンジなど多彩。日当たりを好み、日に当たると光沢のある花びらがキラキラ輝くことから、英名では「ダイヤモンドリリー」と呼ばれる。
花姿がヒガンバナに似ていることから、ネリネの1種「ウンドゥラータ種」には「ヒメヒガンバナ」の和名が付けられている。また属名そのものも和名で「ヒメヒガンバナ属」と呼ばれることもある。日本には大正時代に渡ってきたが、最初にヒガンバナの仲間とみられたためだろう。ネリネはネリネ属、ヒガンバナはヒガンバナ属。科は同じでも属は異なる。
ネリネはその花の形だけでなく、開花する頃に葉がほとんどないこともヒガンバナによく似る。そのためヒガンバナの不気味、不吉といったイメージとも重なって、長く敬遠され普及することがなかった。しかし、近年は豊富な花色や花もちがいいことなどから人気が高まっており、鉢植えのほか切り花、ブーケ、アレンジなどにもよく利用されるようになった。