く~にゃん雑記帳

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<東京大学管弦楽団> 100人超の大編成でマーラー第5番を熱演!

2015年01月18日 | 音楽

【大阪のザ・シンフォニーホールで第100回記念定期演奏会】

 東京大学音楽部管弦楽団の「第100回記念定期演奏会」が17日、大阪市のザ・シンフォニーホールで開かれた。100回目という節目の演奏会に選んだ曲目はシューベルトの「ロザムンデ(魔法の竪琴)序曲」「交響曲第7番(未完成)」とマーラーの大曲「交響曲第5番」。管と弦が一体となって1つのものを作り上げていこうとする学生たちの熱気が充満し、力強く瑞々しい演奏にブラボーと拍手が鳴り止まなかった。1週間後の25日には東京・サントリーホールで同じ曲目が演奏される。

     

 指揮は常任指揮者の田代俊文(東京音楽大学指揮科准教授)。この日は阪神大震災20年目ということもあって、午後2時の開演に先立ち「1.17へ気持ちを込めて演奏します」との場内放送が流れた。「ロザムンデ序曲」に続いて「未完成」注目の冒頭部分。低弦チェロ、コントラバスの深い音色、さざ波のようなバイオリンのトレモノ、オーボエとクラリネットが奏でるふくよかな旋律。実に心地よい出だしで、かつ緊張感が漲った演奏だった。

 マーラー第5番は全5楽章の大規模編成の交響曲。演奏時間は優に1時間を超える。この日も弦だけで70人弱、管が約30人、それに打楽器やハープも加わって100人を超えた。一番の聴きどころは第4楽章「アダージェット」。ヴィスコンティ監督の仏伊合作映画「ベニスに死す」(1971年)で使われ、マーラーブームを呼び起こしたともいわれる。弦とハープが奏でる甘美な旋律にはただ酔いしれた。大編成による全奏者による総奏(トゥッティ)の醍醐味も味わうことができた。とりわけ弟5楽章終結部の演奏は迫力満点だった。

 東大管弦楽団が「学友会音楽部」として発足したのは1920年(大正9年)。その翌年に第1回定演を開いた。初代指揮者に迎えたのは「軍艦マーチ」の作曲で知られる海軍軍楽隊の瀬戸口藤吉だった。長い定演の歴史には往時の世相も映し出されている。1938~44年の定演では毎回冒頭に「君が代」や「海行くば」が演奏された。終戦後、定演が復活したのは10年後の1954年(第40回)。70~80年代にはマーラーブームを反映してマーラーの交響曲がしばしば演奏された。定演での第5番の演奏は76年(第61回)と85年(第70回)に続いて3回目。

 アンコール曲は同じマーラーの「花の章」だった。交響曲第1番(巨人)の中で第2楽章として演奏されることも多い。トランペットをはじめ管楽器のソロが奏でる旋律が伸びやかで美しい。余談だが、会場内の各トイレの手洗いの脇に、管弦楽団名に「演奏を楽しんでください」と添えて1輪の大きなバラの花が飾られていた。その気遣いもうれしかった。

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