【テーマ「地球はいま」、公募展は新部門「日本の災害と復興」も】
日本写真作家協会(JPA)の写真展「JPA展」が14日から18日まで大阪市立美術館(大阪市天王寺区)で開かれた。JPAはプロやアマ、報道関係者などが会員となって1989年に発足。今回で会員展は25回目、公募展は12回目を迎えた。総合テーマは「地球はいま」。会員の作品と応募展の入賞・入選作を合わせて約480点が展示された。東京、大阪に続いて広島展(2月24日~3月1日、広島県立美術館)、米子展(3月19~24日、米子市美術館)が開かれる。
公募展には全国の写真愛好家794人から2310点が寄せられ、そのうち入賞・入選作の249点を展示。JPA大賞・文部科学大臣賞に選ばれた四方康子さん(埼玉)の「春一番」(写真㊧)は突風の一瞬を捉えた。髪が真横になびく女性と腕をつかんで支える男性、風に抗して歩く背後の女性が風の強さを物語る。銀賞に選ばれた三好学さん(奈良)の「祈り」(写真㊨)は拝むように線香を両手でしっかり握りしめた女性の真剣な表情が印象的。
鳥取県知事賞の難波康實さん(岡山)の「争奪戦」(下の写真㊧)は1匹の鵜が魚を奪われないように高く持ち上げ、他の数十匹の鵜の視線を集めててピラミッド状の構図になっているのがおもしろい。広島県知事賞の杉岡常久さん(広島)の「我慢比べ」(下の写真㊨)は突っ走るブタから振り落とされないように男性がしがみつくユーモラスな作品。今回から新設されたテーマ「日本の災害と復興」部門では寺田功子さん(滋賀)の「黒い涙」が銀賞・JPA会長賞に選ばれた。津波で流され回収された自転車だろうか、その前かごに乗った石像の顔から涙のように何本もの黒い筋が流れる。
会員展の作品は新入会員の20点を含め228点。一宮美穂さん(神奈川)の「春の夢」は満開の枝垂れ桜の桃色と幹の黒さが印象的でまるで一幅の日本画。野水正朔さん(兵庫)の「春のダム」は満開の桜の背後でダムの壁面を伝って落ちる水が美しいレース模様を描く。奈良県明日香村の早朝の山並みを切り撮った笠井健介さん(東京)の「大和の朝」や、島谷昭平さん(兵庫)の「雪中の托鉢僧」、カンボジアで自転車の女生徒たちが明るい表情で通学する坂元豊さん(神奈川)の「未来の星たち」なども印象に残った。