【ヨーロッパ原産、明治末期に日本へ】
ユリ科(またはキジカクシ科)ヒアシンソイデス属の球根植物。ヒアシンスやシラーに近い仲間で、属名も「ヒアシンスに似た」を意味する。日本には明治時代末期に入ってきた。和名「釣鐘水仙」はその名の通り、細長い剣状の葉っぱがスイセンに似て、釣鐘状の花を付けることから。属名から「ヒアシンソイデス」とも呼ばれる。
よく栽培されているのは「ヒアシンソイデス・ヒスパニカ」。イベリア半島西部~アフリカ北西部原産で、直立した高さ30~50cmの茎の上部に筒状ベル形の花を10輪ほど、多いときには約20輪も付ける。花色は青色が基本だが、白や紫、ピンクなどもある。花期は4月から5月にかけて。
かつてシラー属に分類されていたこともあって、今も「シラー・ヒスパニカ」と呼ばれたり、「シラー・カンパニュラータ」という名前で流通したりしている。カンパニュラータは「小さな鐘」のこと。スペインに多く自生することから「スパニッシュ・ブルーベル」という別名もある。
これに対し「ヒアシンソイデス・ノンスクリプタ」は「イングリッシュ・ブルーベル」と呼ばれる。英国を中心に北西ヨーロッパに分布しており、草丈が20~30cmとやや低い、芳香を放つ、花が片側に集中して咲く――といった特徴を持つ。英国では野生生物保護法で保護植物に指定されており、野生種の採取・売買が禁止されている。