【和名「シベリアヒナゲシ」 多年草だが日本では秋蒔き1年草】
18世紀半ば、ヴィトウス・ベーリングによる北極探検隊に加わっていた植物学者がシベリアで発見したといわれる。このためヨーロッパでシベリアの気候に似たアイスランドを冠して「アイスランドポピー」という英語名が付けられたという。和名は「シベリアヒナゲシ(西比利亜雛罌粟)」。ただ、この名前で呼ばれることはなくアイスランドポピーの名が定着している。
ケシ科ケシ属(パパヴェル属)。麻薬のアヘン成分を含まず栽培が認められているケシには葉や茎に剛毛が生えているものが多い。しかしアイスランドポピーにはほとんど毛がなく、学名の種小名「ヌディカウレ」も「裸の茎」を意味する。もともとは多年草だが、暑さに弱いため日本では秋蒔き1年草として扱われている。花色は基本色の白や黄色のほか、園芸品種の相次ぐ開発で赤や橙、ピンクなどもあって多彩。
主なポピーにはアイスランドポピーとヒナゲシ、オリエンタルポピーがあるが、最近ではポピーといえば花持ちが良く切り花としても人気があるアイスランドポピーを指すことが多い。ヒナゲシはケシ属の中では花が小さくてかわいいためケシの中の雛(ひな)。中国歴史上の絶世の美女虞妃になぞらえて「虞美人草」とも呼ばれる。オリエンタルポピーは地中海地方原産で、「オニ(鬼)ゲシ」の和名を持つ。
ポピーの開花はこれからが本番。埼玉県皆野町~東秩父村の秩父高原牧場では5月16日~31日の間、毎週土日曜日に「天空を彩るポピーまつり」が開かれる。岡山県笠岡市の道の駅「笠岡ベイファーム」広場では17日にポピーフェスティバル。埼玉県鴻巣市の荒川河川敷のポピーまつりは16~31日。栃木県さくら市の荒川河川敷でも30日にきつれ川ポピーまつりが開かれる。「ポピー咲く帽子が好きで旅好きで」(岡本眸)。