【名前はイベリア半島から、和名「マガリバナ」】
アブラナ科マガリバナ属(イベリス属)の草花で、ヨーロッパ南部から北アフリカ、西南アジアにかけて40種ほどが分布する。イベリスの語源はスペインやポルトガルがあるイベリア半島から。この地に古くから多く自生していたことからの命名だろう。秋蒔き1年草と多年草があり、草丈も種によって10~60cmと幅がある。花色も白花のほか赤・ピンク・紫など色彩豊かなものがあり、中には花の香りがいいものも。日本には明治時代に渡ってきた。
別名「キャンディタフト」。イベリスは小さな4弁花がたくさん寄り集まって一つの花を形成しており、咲き進むとこんもりと盛り上がってくる。その姿が砂糖菓子を束ねたように見えることから、こんな英名で呼ばれるようになった。和名は属名にもなっている「マガリバナ(屈曲花)」。イベリスはヒマワリなどと同じ向日性の植物で、太陽の光を追う習性から花茎が曲がりやすいことに由来するそうだ。
よく栽培されている1年草には、花色がカラフルで花穂が高く伸びるウンベラータ種、香りが強く「ニオイナズナ」とも呼ばれるオドラータ種などがある。多年草で最もポピュラーなのがセンペルヴィレンス種(写真)。花の色は主に白で、草丈が低く花が一面を覆うためグランドカバーとしての人気も高い。この種は寒さに強い常緑性から「トキワナズナ(常盤薺)」や「宿根イベリス」といった名前でも流通。ただ北米原産のアカネ科の多年草「ヒナソウ(雛草)」にも同じトキワナズナという別名が付けられているので注意が必要だ。