少年時代、蒸気機関車の車庫内で若い鉄道員たちが機関車の窯の中まで入っての清掃作業、体中が煤だらけになって厳しい労働に耐えながら働く姿を見続けていた爺、同じ道を歩んできた父の苦労を垣間見る。
小学生の頃、車庫内で待機中の機関車に乗せてもらい、汽笛、前進、後進、石炭の窯入れなど一連の動作を見せてくれたり、汽車通学だった中学生の頃、学校からの帰り、機関車の助手席に乗せてもらったことも、今では想像もできない話題だが。
機関車の中は縦横の揺れが激しく、子供の体重では立っていられない、冬は雪が吹き込み、夏は窯からの熱気で暑くてたまらない。
昭和20年~21年、復員兵や旧満州、朝鮮からの引揚者で客車はすべて満員で出入りは近くの窓から、機関車の前部と後部のわずかなスペースにも人が張り付いている姿を見たり体験された方もあるのでは。
SLと呼ばれている蒸気機関車、今は地域起こしの観光用として活躍、多くのSLファンを楽しませてくれているが、爺には、SLの機関士だった父の姿を甦らせてくれる。