昭和26年から半世紀にわたる事務職員生活から解放され、年金生活も23年になる。現在の事務室の情景は様変わり、冷暖房完備の部屋で無言でパソコンと向き合っている。
昭和60年頃に、冷房施設が完備されるまでは、半そでの肌シャツ姿、頭に濡れタオルを乗せたり、ウチワとタオルを交互に使いながら自分なりに工夫したクールビズだった。
事務用品と言えは、針金で作ったクリップ、和紙で作ったコヨリ、スタンプ台、指サック、スポンジ、ナンバリング、鉄筆、カーボン紙など、懐かしい品々も今は目にすることは無い。
机の片隅には、灰皿と茶飲み茶碗が置かれ、仕事の区切り毎に煙草を吸ったり、お茶を飲んだり、同僚と軽い会話をしたり、気持ちを切り替えながらマイペースでの事務処理だった。