爺が子供のころ見た父はもとより成人男子の下ばきは越中褌で、クラシックパンツとも言われた長さ100センチ、幅34センチの布に紐をつけた金隠し用の下着である。
父の勤務地である国鉄職員用の風呂を利用していた爺、仕事を終え入浴する職員達の下ばきは、みんな見慣れた越中褌で、何の違和感もなく、脱ぐときは静かに丸めて棚に収めていた。
着用する時は,理由は分からないが、褌の両端を持ってホコリでも払うように床に向かってパンパン威勢のいい音を立てて払い落してから、おもむろにしめていたのを覚えている。
定かではないが、T字帯と言って一部の医療用として使用されていると聞いているものの、戦後は成人男子の下ばきは、ラクダ色した猿股を着用するようになり越中褌の姿は見られなくなった。