小学校の5年生か6年生の頃だったと思う、家の近くの空き地に設置されている鉄棒をしていた近所の中学生が失敗ばかりしていたので、「下手くそ」と笑ったら、頭を殴られたことがあった。
爺も、やっぱり戦時下の少年だったのだろう、体力差で抵抗する力はないが、痛みに耐えながら幾つか殴られたが泣くこともなかったし、親にも言わなかったが、子供心に悔しさは大きかったと思う。
大きくなったら何時か小林と言うあの中学生に必ず仕返ししてやろうと思ったのは事実である。このことで中学に入学するや、小学校五年生からやっていた柔道部に入り、真剣に鍛えたのである。
八月の終戦とともに暴力禁止になったので仕返しをすることは出来ずに終わっている。憎しみはないが、げんこつで殴られたのは91年の我が人生で唯1回だけ、あの顔と痛みは忘れない。