楊貴妃が宮中に上がってから、それまでいたお側に仕えて居た女性たちのその美貌はかすんでしまい、かえって楊貴妃の美しさが引き立って見えたのです。
そんな楊貴妃と皇帝が初めてお会いになります。その場所が「華青池」です。その様子を
春寒賜浴華池 ≪春寒くして浴を賜う華青の池≫
温泉水滑洗凝脂 ≪温泉の水は滑らかにして凝脂を洗う≫
まだ春の寒い頃、楊貴妃は皇帝用の温泉に入ることを許され
滑らかな温泉の水は楊貴妃の白い肌を潤した。
まあこれぐらいな意味になりましょか。この楊貴妃の体について陳鴻という詩人は、「繊<カボソ>きものと穠<コ>きものと度<ホド>に中<カナ>い」と書いております。細くしなやかでもなく、それからと言って、ごつごつした感じがするでもなくその中間的な、というぐらいの肉体をしていると歌っております。私は、この「穠」という字を、このように読んでいるのですがどうでしょうか。
なお、「華青池」について、私の本には「始皇帝が、躧山で、神女と遊んだ時、この神女に瘡があったので皇帝が恐れます。すると、その神女は謝り、温湯泉を出し、それに浸けすぐに治したといういわれのある温泉だ」と、書かれてあります。
その温泉に楊貴妃の「体を静かに沈めた」というぐらいな意味で、決して、「洗ったのではない」と思います???そして、「凝脂」とはその白いお肌を云います。
これは、「そのどこまでもたおやかなお体をそっと神聖な神の湯に浸たし、楊貴妃自身も、それによりその身がより神聖になり、晴れて皇帝の正真正銘の妃になれる」という婚礼前の儀式てあったことが分かります。楊貴妃が初婚ではなく、既に、壽王の妃であって、2度目の結婚であるということを正当づけるために、白居易が、特に、このように書いたのではと私は思いますが????。