又また、お叱りの言葉です。
「なんべんいやあ すむんなら。・・・・おめえはのう きにょう けえとったんじゃがなー、よろい(冑)をにいだ陳玄禮が、皇帝のめえで それまでしてきた ぎょうさんの非礼を これえて つかあせえと あやまったんじゃが。そりゃあ そのとおりじゃけえど でもなあ、そのつぎにけえとるのが いけんのじゃ。まちいげえとるんじゃ。わかるかのう。・・・・・〈萬歳を叫んだ〉と おめえは けえておるんじゃが、そりゃあ まちごうとるど。 〈萬歳〉というのはなあ、兵士があげた勝鬨の声じゃあねんど。ほんまはのう 天子様が 今 元気で生きておられるのをお祝いわいする玄禮がゆうた言葉なんじゃあ。『ごぶじで なによりでございます』ぐれえな言葉なんじゃ。」
と。
誠に失礼をしました。「万歳」にそんな意味があるなんて、筆敬氏のご注告で初めて知りました。羞じいるばかりです。その文を、改めて、今、見ますと、
「免胄謝罪。呼萬歳」と書いてあり、「叫」ではありません。念のために辞書を見ました。「呼」とは、「ああ」という嘆く声を云う時にも使う、と出ております。心からその非礼を詫びる謝りの心を表す言葉なのです。
「呼」ああ、本を読むということは、本当に、大変面白いものですね。もう一度、その部分を書いておきますので、声に出して読んでみてください。
九重の城闕に煙塵生じ
千乗 萬騎 西南に行く
翠華は 揺揺として 行いて復た止まる
西のかた都門を出てより百余里
六軍 発たず 奈何ともする無く
宛転たる蛾眉 馬前に死す
どうです。なんと調子のよい自分の音声が 空しく自分の耳に響き伝わるようではありませんか??。私は、何時も、この部分を声に出して読むと、不思議な世界に一瞬ですが、引き込まれるように思われるのですが??????????