リチウムイオン電池生産国内拠点は半減
パナソニック、中国での生産を拡大
リチウムイオン電池と言えば、この分野では日本メーカーは世界で圧倒的な強さを示してきた。その代表格が三洋電機。パナソニックが、2009年に巨費を投じて買収した。
ところが最近、韓国勢が技術習得で猛追。価格攻勢に円高などの「6重苦」が加わり、日本勢はシェアをジリジリと奪われているという。かつて優位を誇っていた半導体や液晶パネルで韓国や台湾、中国勢の追い上げを受けたのと同じ構図が出てきた感じだ。
三菱化学は28日、主要材料の電解液の工場を中国に建設すると発表。約25億円を投じ、年産1万トンの設備を12年末に稼働させる。負極材最大手の日立化成工業も12年までに中国で生産を始める。
日本企業は戦略製品といえども国内生産だけでは立ち行かず、海外生産に踏み切らざるを得ない状況を迎えた。パナソニックは今後、従来の単品売りの商売ではなく、リチウムイオン電池や太陽電池などのエネルギー関連商品とAV(音響・映像)商品や白物家電を組み合わせたシステムを顧客に提案することで生き残りを目指すが、それは日本企業が次の戦略製品を見いだしきれていないことの裏返しという側面もある。
パナソニックがパソコンや携帯電話などに使う民生用リチウムイオン電池のグループの国内生産拠点を、2012年度末までに現在の8工場から4工場に半減させることを先月29日、新聞で報道された。生産を継続する住之江工場(大阪市住之江区)の増産計画も凍結。国内生産を縮小する一方で、今後は中国での生産比率を現在の1~2割から5割程度に拡大して、コスト競争力を高めるとのこと。
同社は京都工場(京都市南区)を閉鎖するほか、和歌山工場(和歌山県紀の川市)では基幹部品以外の生産を中止する。守口工場(大阪府守口市)と洲本工場(兵庫県洲本市)はすでに民生用リチウムイオン電池の生産を停止。守口は研究開発に特化し、洲本は自動車に搭載するニッケル水素電池を生産するとの報道であった。
一方、中国で3カ所目となる新工場を来年4月に江蘇省蘇州市に完成させる予定。中国の既存工場でも生産能力を拡大しているとのこと。現地の安価な部材を活用するなどでコスト競争力を高め、サムスングループなどライバルの韓国勢が急速にシェアを伸ばしていることに対抗するねらいのようだ。今後、益々、生き残りのための競争は激化するのは間違いないだろう。
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