バラの住人

花弁の中の小人を探す そんな小さな日記です
もしもあなたが見つけても どうぞ秘密にして下さい(笑)

パンに書いたラブレター

2011年08月16日 | 記事日記


 「○さん。死ぬのを待っているのよ」

「まぁ。そうですか」

こんなやり取りをして、Jの母は旅立ちました。
九十六歳の春のことでした。

初盆の今年の行事も終え、最愛の息子が、頂いた供物をお配りするため出掛けました。

末っ子とおばあちゃんは、深い愛情で繋がっていたと思いますのに、表面はサラリとした関係でした。

Jを信頼し切っていたのだと思います。


「ご苦労だったね。○ちゃん」

ここのところ夫の朝の日課になったコーヒーを入れながらJは言いました。

 

「どう?」

「美味しいですよ」

「○ちゃんもう一枚トースト食べない?」

「・・後半分なら」


「ハイ。お待たせ」 <なにコレ> 「僕の気持ち」

「Jさん。一本多い」

「それはね。愛情が多いって言うこと」

 

Jは淋しいんだ。
折に触れておばあちゃんを思い出すんだなぁ
これは彼岸に帰った、九十六歳のおばあちゃんへの送り状だと思いました。

M先輩がJは「天真爛漫」と評して下さっていますが、ちょっと変わった爛漫息子ともう少し付き合いますからと、わたくしはエイッとトーストにかぶりつきました。


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