「○さん。死ぬのを待っているのよ」
「まぁ。そうですか」
こんなやり取りをして、Jの母は旅立ちました。
九十六歳の春のことでした。
初盆の今年の行事も終え、最愛の息子が、頂いた供物をお配りするため出掛けました。
末っ子とおばあちゃんは、深い愛情で繋がっていたと思いますのに、表面はサラリとした関係でした。
Jを信頼し切っていたのだと思います。
「ご苦労だったね。○ちゃん」
ここのところ夫の朝の日課になったコーヒーを入れながらJは言いました。
「どう?」
「美味しいですよ」
「○ちゃんもう一枚トースト食べない?」
「・・後半分なら」
「ハイ。お待たせ」 <なにコレ> 「僕の気持ち」
「Jさん。一本多い」
「それはね。愛情が多いって言うこと」
Jは淋しいんだ。
折に触れておばあちゃんを思い出すんだなぁ
これは彼岸に帰った、九十六歳のおばあちゃんへの送り状だと思いました。
M先輩がJは「天真爛漫」と評して下さっていますが、ちょっと変わった爛漫息子ともう少し付き合いますからと、わたくしはエイッとトーストにかぶりつきました。
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