昨日は夜、岡町の「伝統芸能館」へ。
北摂に住む私にとっては近いので、以前はよく行っていた。
まだ吉朝が出ていた頃の「岡町落語ランド」とか
「虫干しの会」とか。
しかし近頃とんとご無沙汰だった。7,8年ぶりではないかな。
「月なみ九雀の日」。
値段が決まっていない「投銭」方式の会。
客は40人くらい。
それでもあまり「少ない」と感じずに済む良い会場だな。
「子ほめ」(弥太郎):△
この人、初めて見た。
「吉弥の一番弟子」程度の紹介をしてネタに入る。
ネタは、声が小さいのがまず気になる。
声を出すのに一生懸命なためか、話すときに首が不自然に動くのも気に障るが、
これも声がもっと出るようになれば恐らくなくなるだろうし。
科白はきっちりしている。
番頭とは少し喋っただけで特に褒めずに帰宅し、
おかみさんから「タケに子ができた」ことを聞いて子ほめに行く。
タケの家で、上下に少し違和感あり。
おじやんなり産まれたての子なりを挟んで
タケさんと話をしている位置関係になっていたが、
特に子を褒める時に、そこまで奥にいかないと思うのだがな。
まあ、私が見慣れているものと位置関係が違う、というだけかも知れないが。
語尾に時折、微妙な訛りが出ていた。
「住吉駕籠」(染二):△
飛び入りゲスト。
出囃子の「藤娘」で「チッ」と思った。
相変わらず早口で滑舌が良くないので聞き取りづらい。
マクラでは、伝わらなかったためにウケなかった部分もあったように思う。
ネタは今憶えているものらしい。
まだ科白を喋るのに懸命で、間や人物描写などはこれから付けていくのかな、と感じた。
酔っ払いまで出しているのに20分前後で済むくらいの早さだった。
科白も「烏賊の巻焼き」と言っていたり、
駕籠屋が「乗る手間で歩いた方が早い」と言わなかったり、
ところどころ微妙に詰まっていたり、
途上、という感じ。
ただ逆に、私が嫌いなこの人の気違いじみた「ハイテンション」がなく、
それは助かった。
「代書」(福車):△
マクラでこの会の話や、「字を書ける」ことに関する話。
まあ普通。
ネタは、うーん、どうも客の人物像がよく分からんな。
割と普通の人として描いているようで、
特にイチビリが強い訳でもなく、抜けているようでもなく。
ところどころ科白がいい加減だな、と感じるところがあった。
例えば「ひこじろう」や「あさじろう」ではなく「じろう」という名に変えているのだが、
代書屋は(そのまま)「次という字か、治めるという字か」聞いている。
しかし単に「じろう」だったら、普通「二か次か」だろう。
このあたりのいじり方、雑だと思ってしまう。
「蝋燭を借りたのがきっかけ」で、
「神社の裏でその蝋燭で…」は面白かった。
代書屋の感情の変化は、
訂正するタイミングで進んでいく感じ。
ただ、それまでの蓄積をもう少し利かせた方が良いと思う。
「立ち切れ」(九雀):△+
マクラは染二、福車について少し触れ、
「時間いくらの商売」から線香の話に入ってネタへ。
最初の若旦那の作り方が、私の感覚とちと違う。
私は「初心な若旦那」がベースで、少し「ツッコロバシ」の雰囲気、
という造形だと思っているのだが、
九雀のはもう少し普通の「放蕩息子」の雰囲気。
個人的にはこの若旦那は、
初恋の相手がたまたま色街の女性だったせいでお金がかかっている、という人であって、
特に「遊びたくて遊んでいる」人ではないと思う。
それはそれで矛盾がないではないが。
目線絡みで、この人のクセが気になるところがいくつか。
一つは、下に振った時に目線は正面に残ってしまうこと。
もう一つは(若旦那が飛び込んできて立ちはだかるところだが)
番頭を見るときの目線が見下ろしているように見えない(水平に近い)ところ。
番頭はまあまあ。
もう少し年齢・経験からくる厚みが出ると良いと思う。
個人的には
地で「全てが計略どおりにいった」ことを説明するのは好きでない。
最低限の「小糸」の紹介くらいで良いと思う。
蔵住まいの後で若旦那が「言われたことが身に付く」みたいなことを言うのだが、
この科白も好きになれないんだよなあ。
説明的に過ぎる感覚。
番頭が財布を渡すあたり、色街に行くだろう、と思ってはいるのだろうが、
それをあまり強く出さないのは好み。
丁稚を出さないので、まく件もなく、
これもあっさりして良いと思う。
若旦那が来たときの母親(という設定でないかも知れないが)の「はい」に
娘を亡くした哀しみが出て欲しいが、少し薄いかな。
あまり強く出されてもクサくてイヤではあるが。
若旦那と最初話したとき、母親が「怒り」を見せていた。
これはこれでありかも。
ただ、その「怒り」を腹に持ちつつ語っていく、という感じではなかった。
「蔵住まい」の話が出るまでは、奥底にあって良いかも知れない。
小糸が死ぬ時に「本調子」に合わせており、
後で「雪」が鳴り始めた時に「本調子に合わせていたのは「雪」を弾こうとしていた」と合わせる。
そこまで言わずに客の想像や知識に任せてもいいかな、と思いつつ、
まあ言ってやっても良いかな、とも思いつつ。
あとはまあ、普通に。
「投銭」方式なので、いくら入れようかと思ったが、
まあ千円から2千円の間か、と思って1500円にした。
染二のところ、好みの人(九雀でもあり)だったら、もう少し入れたかも。
北摂に住む私にとっては近いので、以前はよく行っていた。
まだ吉朝が出ていた頃の「岡町落語ランド」とか
「虫干しの会」とか。
しかし近頃とんとご無沙汰だった。7,8年ぶりではないかな。
「月なみ九雀の日」。
値段が決まっていない「投銭」方式の会。
客は40人くらい。
それでもあまり「少ない」と感じずに済む良い会場だな。
「子ほめ」(弥太郎):△
この人、初めて見た。
「吉弥の一番弟子」程度の紹介をしてネタに入る。
ネタは、声が小さいのがまず気になる。
声を出すのに一生懸命なためか、話すときに首が不自然に動くのも気に障るが、
これも声がもっと出るようになれば恐らくなくなるだろうし。
科白はきっちりしている。
番頭とは少し喋っただけで特に褒めずに帰宅し、
おかみさんから「タケに子ができた」ことを聞いて子ほめに行く。
タケの家で、上下に少し違和感あり。
おじやんなり産まれたての子なりを挟んで
タケさんと話をしている位置関係になっていたが、
特に子を褒める時に、そこまで奥にいかないと思うのだがな。
まあ、私が見慣れているものと位置関係が違う、というだけかも知れないが。
語尾に時折、微妙な訛りが出ていた。
「住吉駕籠」(染二):△
飛び入りゲスト。
出囃子の「藤娘」で「チッ」と思った。
相変わらず早口で滑舌が良くないので聞き取りづらい。
マクラでは、伝わらなかったためにウケなかった部分もあったように思う。
ネタは今憶えているものらしい。
まだ科白を喋るのに懸命で、間や人物描写などはこれから付けていくのかな、と感じた。
酔っ払いまで出しているのに20分前後で済むくらいの早さだった。
科白も「烏賊の巻焼き」と言っていたり、
駕籠屋が「乗る手間で歩いた方が早い」と言わなかったり、
ところどころ微妙に詰まっていたり、
途上、という感じ。
ただ逆に、私が嫌いなこの人の気違いじみた「ハイテンション」がなく、
それは助かった。
「代書」(福車):△
マクラでこの会の話や、「字を書ける」ことに関する話。
まあ普通。
ネタは、うーん、どうも客の人物像がよく分からんな。
割と普通の人として描いているようで、
特にイチビリが強い訳でもなく、抜けているようでもなく。
ところどころ科白がいい加減だな、と感じるところがあった。
例えば「ひこじろう」や「あさじろう」ではなく「じろう」という名に変えているのだが、
代書屋は(そのまま)「次という字か、治めるという字か」聞いている。
しかし単に「じろう」だったら、普通「二か次か」だろう。
このあたりのいじり方、雑だと思ってしまう。
「蝋燭を借りたのがきっかけ」で、
「神社の裏でその蝋燭で…」は面白かった。
代書屋の感情の変化は、
訂正するタイミングで進んでいく感じ。
ただ、それまでの蓄積をもう少し利かせた方が良いと思う。
「立ち切れ」(九雀):△+
マクラは染二、福車について少し触れ、
「時間いくらの商売」から線香の話に入ってネタへ。
最初の若旦那の作り方が、私の感覚とちと違う。
私は「初心な若旦那」がベースで、少し「ツッコロバシ」の雰囲気、
という造形だと思っているのだが、
九雀のはもう少し普通の「放蕩息子」の雰囲気。
個人的にはこの若旦那は、
初恋の相手がたまたま色街の女性だったせいでお金がかかっている、という人であって、
特に「遊びたくて遊んでいる」人ではないと思う。
それはそれで矛盾がないではないが。
目線絡みで、この人のクセが気になるところがいくつか。
一つは、下に振った時に目線は正面に残ってしまうこと。
もう一つは(若旦那が飛び込んできて立ちはだかるところだが)
番頭を見るときの目線が見下ろしているように見えない(水平に近い)ところ。
番頭はまあまあ。
もう少し年齢・経験からくる厚みが出ると良いと思う。
個人的には
地で「全てが計略どおりにいった」ことを説明するのは好きでない。
最低限の「小糸」の紹介くらいで良いと思う。
蔵住まいの後で若旦那が「言われたことが身に付く」みたいなことを言うのだが、
この科白も好きになれないんだよなあ。
説明的に過ぎる感覚。
番頭が財布を渡すあたり、色街に行くだろう、と思ってはいるのだろうが、
それをあまり強く出さないのは好み。
丁稚を出さないので、まく件もなく、
これもあっさりして良いと思う。
若旦那が来たときの母親(という設定でないかも知れないが)の「はい」に
娘を亡くした哀しみが出て欲しいが、少し薄いかな。
あまり強く出されてもクサくてイヤではあるが。
若旦那と最初話したとき、母親が「怒り」を見せていた。
これはこれでありかも。
ただ、その「怒り」を腹に持ちつつ語っていく、という感じではなかった。
「蔵住まい」の話が出るまでは、奥底にあって良いかも知れない。
小糸が死ぬ時に「本調子」に合わせており、
後で「雪」が鳴り始めた時に「本調子に合わせていたのは「雪」を弾こうとしていた」と合わせる。
そこまで言わずに客の想像や知識に任せてもいいかな、と思いつつ、
まあ言ってやっても良いかな、とも思いつつ。
あとはまあ、普通に。
「投銭」方式なので、いくら入れようかと思ったが、
まあ千円から2千円の間か、と思って1500円にした。
染二のところ、好みの人(九雀でもあり)だったら、もう少し入れたかも。