朝寝-昼酒-夜遊

日々感じたことを思いのままに書き散らすのみ。
※毎週土曜更新を目標にしています。

動楽亭昼席~9月席7日目~

2012年09月12日 07時34分44秒 | 落語・講談・お笑い
先週金曜は動楽亭の昼席へ。
13時半開場、14時開演なのだが、
13時過ぎに着くと既に10人以上並んでいた。
結局60から70人程度の入り。


「田楽喰い」(優々):△

マクラは少し整理が悪く感じた。

若い連中の寄り集まっている雰囲気はそこそこ出ていた。
兄貴分のところに既に田楽が来ており、
「若い連中が来てくれて丁度有難い」設定にしていた。
これはこれで悪くない。

アホの野菜の言い立て、
「○○イモ」など種類別に言っており、これも良かった。
「デンデン虫」を歌うのが「きまやん」で、
ちょっとしたリスペクトを感じた。

「神泉苑」の言い立てまで。


「肝つぶし」(ちょうば):△+

二つ目でこのネタ。
ネタの途中で演者の気持ちに戻って、正面の時計にちょいちょい目を向けるのが
ネタへの集中を削いだ。
時間を気にするくらいならば、この位置でこのネタを演らなければいいのに。

ネタの出来は、思ったほど悪くなかった。
病床で喋っている、病弱な感じは弱いが、
「それ夢やねん」でウケは取っていた。
それを取るのがメインのネタ、というものでもないが。
「年月揃った女の生き胆」の医者の説明、やけにきっちり言っているが、
ここは「何となく、聞かれたから言った」であり、
医者も男も「どうせ無理」の前提でもう少しさらっと言うべきだと思う。

いくら理由を付けても、「恩人の子のために妹を殺す」のは今日日
普通の感覚で可能な行動ではないので、
個人的には後半は芝居の空気で演った方が良いのでは、と思う。

サゲの「薬にならん」の前に「良かった」と付けていたが、
やはり好みではない。
ここは良し悪しを離れて単に「薬にならない」事実だけを言う方が
その落胆以外の感情が入らず、すっきり落ちるだろう。

そして、万一付けるのであれば、
妹を殺そうとする際の科白・動きに、
自分の意思でなく流されてしまう緊張感、切迫感がもっと必要だろう。
このあたり、中途半端な印象。


「おごろもち盗人」(あさ吉):△+

米朝の入院見舞いの話などからネタへ。
つながりはあまり良くない。

フワフワとしているのがこの人の持ち味で、
夜らしさや緊迫感はないが、
登場人物が盗人も含めて良い人なのは、まあ悪くない。
おかみさんが「足袋」「襟」から「帯と着物」へ行き着くまでの
照れたような間が何とも可笑しい。

口で言うより、
引っ張って力づくで黙らせるのはあまり好みではない。

通りかかる若い男は独り。
ここも盗人の独り言と重ねて「どんならん」から喋り始めていた。
隠しから銭入れを出した若い男が、まず金を数え始めてみせる。
これは自然だし、単に「5円」などと金高を言うより面白い。


「鹿政談」(南光):△+

米寿記念の米朝展の非売品冊子の宣伝から入る。
宣伝のテンポ、内容の紹介の上手さなど、流石。
後でつい買ってしまった。

土産物の話を始めたので「ちりとてちん」かな、と思ったら、
各地の名物尽くしの歌を詳しく説明し、「鹿政談」へ。
「名物に旨いものなし」やこの名物尽くしの説明は興味深く、
きちんとウケも取っていて面白かったが、
ネタそのものは以前もここで聞いたもの。

「調べている内に大変なことが発覚した」と言ったり
塚原出雲の悪代官風の描写など、
以前見た時に比べてさらに「餌料横領」が主目的になっている印象だが、
個人的にはこのネタは
「鹿の命と人間の命を引き換えるものではない」がメインであり、
「餌料横領」の話はあくまでもその道具として塚原出雲を黙らせるために持ち出す、
という構造ではないかと思う。
現代の感覚では「餌料横領」は重大な犯罪だが、
当時は「役得」であり、表向きは違法でも黙認されていたものだろう。
ネタの全体としても、
奉行が「鹿殺し」に違和感を持っていたこと、
この裁きの発端、
「あくまでも助けたい」と思っての尋問、
サゲの「切らずにやる」「マメで帰る」に戻るところまで、
本筋は「鹿の命と人間の命のバランス」ではないだろうか。
「餌料横領」の方が勧善懲悪であり、分かりやすいのかも知れないが。

細かいことだが
きらずを食べる「犬」に割り木を投げるところは、
狙って当てたのではなく、
追い払うために投げたのが偶々当たってしまった「過失」、とした方が良いと思う。


「壺算」(南天):○+

ほとんどマクラを振らずにネタへ。

色々と工夫の入った「壺算」。
壺が割れた経緯の説明は「布袋さん」の話はなく、
これはこれで「1荷入りを2荷入りに替える」ことが分かりやすくて良いかな。
道中も「足元を見られないように」を最初に言い、
「羽織を買いに行く」の位置付けが分かりやすくなっていた。

個人的には、道具屋の番頭は最初はもう少し堅めの人として描く方が良いと思う。
それが値切られたり訳の分からない計算の話に巻き込まれていく内に
我を忘れていく、というのが全体的な流れだろう。
「へっつい幽霊」の「客は買わないものだから、いちいち愛想する訳がない」
程ではないにせよ、客が来慣れている感じが欲しい。

値切る際に「ユニ屋クロ兵衛」や「伊勢の餅屋」「船場の料亭」などを出して
ウケを取っていた。
これはこれで面白かった。

3円を細かい銭で出したのは、
出したまま残しておいたのを「後で数えるため」という理由付けのためかなあ。
そう悪くないが、個人的にはここは別に理由付けはなくても良いと思う。

何と言っても特徴的なのは「アホもよく分かっていない」ことで、
これは良い工夫。
このネタの解釈として「アホは分かっているが、番頭は当事者だから見えない」はあり得るが、
それよりは「何でアホが分かるのか」の疑問の方が大きい訳で。
分からないまま何かしら喋っているアホの人物も出て、良いと思う。

途中で「一度引き取った壺、また売れるやろ」と言うのも自然だし、
番頭に「壺=金」と思わせる(本当のポイントはこちらではないのだが)上で
良い持っていき方だと思う。
ただ「3円で仕入れて3円50銭で売る」あたりになると
少し複雑に過ぎるかなあ。
番頭の「50銭お返ししなくてはなりませんな」は確かに可笑しいが、
それに対して徳さんは何も言わない方が良いだろう。
「50銭くらい構わん」はあまり徳さんが言わなさそうな科白だし。

あと、他の客が「梅干を漬ける」壺を買う、と言うと、
壺が重なるのでより番頭が混乱するメリットはあるが、
やや物の名前が長くなる(いちいち「梅干を漬ける」と言わなければならない)ので、
ここは良し悪しと思う。


「遊山船」(雀三郎):○+

暑い話をマクラに振ってネタへ。

何と言っても、アホの作為臭がないのが
雀三郎の良いところ。
特にどこでウケさせよう、と感じさせることなく、
全体的に自然な会話・間で自然にウケを取っていた。
「南京豆」と「100円あっても」の「もしも」の繰り返しは、
若干「ここを強調しよう」という感じがせんでもなかったが。

ただこのネタ、このあたりの会話や間に慣れると
稽古屋の船を見て、清八が喜六の嫁さんをクサす科白やその言い方、
それを受けての喜六の腹の立て方、といったあたりが
2人のこれまでの会話の流れやその際の気分に沿わない感じがする。
それを言わないと帰ってきての趣向やサゲにつながらないから、
仕方ないと言えば仕方ないのだろうけど。
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9月11日(火)のつぶやき

2012年09月12日 04時17分07秒 | つぶやき

  • 06:04  日本書紀の記述からすると、朝鮮民族系の王が日本を支配したことがあった、ということか。これをして「日本は韓国領である」という話になるのか、その占領の賠償金を韓国に対して求められるのか。

  • 08:30  ラジカセがついに寿命を迎えた様子。カセットテープはまだまだあるが、電子化することも考えて機器を買いますか。

  • 08:46  そもそも日本人が12歳、という話もあるから、国民のレベルに合った政党なのだろう。民主党だって子どもか、或いは老醜を晒す死に損ないか、微妙なところだが。>時事ドットコム:赤松氏「維新は子どもの党」=橋下氏との連携で論戦-民主代表選 http://t.co/eQnJv3HT

  • 09:43  このあたりか…。 カセットテープ デジタル化/カセットデッキ/カセットプレーヤーカセットテープ パソコン/デジタル変換/MP3/カセットデッキ★テープ… [楽天] http://t.co/q94Klrzl #RakutenIchiba http://t.co/Yt8ffykL

  • 11:18  「マッチング拠出」は小規模共済掛金控除?あとで確認しておこう。

  • 12:00  農耕だけで牧畜を兼ねない日本の生産活動の特殊性と、それが芸能を規定する側面。

  • 12:06  富国強兵政策のために遠近法の訓練を「図工」として採り入れることが必要だった。

  • 12:23  より多くの富を得ることでより幸福な人生を送ろうとする「弱い人」が経済を発展させるが、結果だまされることになる。ということは、皆が賢く強くなったら経済は発展しなくなる?

  • 12:46  「言語にとって美とはなにか」における言葉の「自己表出」と「指示表出」。

  • 13:31  人間の中には「賢明さ」と「弱さ」があり、前者は社会の秩序を、後者は社会の繁栄をもたらす。しかし社会の繁栄のためには、「弱さ」は「賢明さ」によって制御されなければならない。

  • 13:48  現代の生産性から発生する芸術。例えば今日ならば「職場演劇」だが、分業化の進展でそれは困難、か。逆に分業化・部品化されている状態から集合芸術、的なものが生じ得るか?内容と形式は同視できないか?

  • 14:01  「日本に論理学が発達しないから日本人は論理的でない」のではなく、「日本語自体が論理的構造を有しているから、特に論理の方法を学として発達させる必要がなかった」。うーん(笑)

  • 14:48  歌舞伎に「走る」動作はない。あるのは「大股で歩く」のみ。

  • 17:24  「歌舞伎はどんな演劇か」(武智鉄二)読了。「朗誦」や「身体」(ナンバを中心)など、日本人が農耕民族であるところからの特色を挙げ、伝統の意識、そこに還る必要性を主張する。記述の重複が多い点と、特に最終章での歴史認識は引っ掛かるところも多いが、参考になる点も少なからず。

  • 18:16  通勤手当が実費弁償的になっているのは確かだが、通勤費用を何故企業が負担するのか、をどのように捉えるものか。企業は喜ぶだろうが、保険料収入は減少する訳だし。>時事ドットコム:通勤手当の除外検討=社会保険料算定で-厚労省 http://t.co/vBGV6xzJ

  • 18:20  あくまでも軍が言っていることで、政府や党の動きも見るべき。党大会直前で、国民を抑えつつ、空気抜きをする必要があるだろうし。>時事ドットコム:中国軍当局、報復を示唆=「相応の措置」に言及-尖閣国有化 http://t.co/I7snL5zE

  • 18:35  RT @rakugonews: 声優から落語家へ転身!?「小林ゆう」特集、動画配信中!!『アニソンぷらす』 マイナビニュース... http://t.co/hzISlURr #rakugo

  • 18:46  RT @MONACA_kosaki: 山本寛監督と『らき☆すた』のスタッフ再び新作アニメを制作決定!(アニメイトTV) http://t.co/UYviBK56 #animatetv

  • 19:34  李明博の愚行を考えると、実効支配を継続するのが一番良かったのだろうなあ。石原が自慰的に話題にしてしまった以上、その火消しのためにやむを得ないだろうけど。>時事ドットコム:中国軍当局、報復を示唆=「相応の措置」に言及-尖閣国有化 http://t.co/I7snL5zE

  • 20:28  しかし、25%か…。>時事ドットコム:司法試験、2102人が合格=合格率25%、予備試験経由も http://t.co/1QqE1leB

  • 20:31  年金支出の比率も知りたいところ。>時事ドットコム:日本、3年連続最下位=教育への公的支出-OECD調査 http://t.co/qT1ZV9GC

  • 22:59  RT @Aikosama_bot: 家族という共同体が失われたら私には何が残るの?みなさまは大丈夫なの?


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