先週水曜は動楽亭昼席へ。
だいたい動楽亭昼席は米朝系ばかり出演する上旬は比較的入りが良く、
米朝系以外がメインになる中旬はあまり入らない、という印象がある。
この日は30人以上で、まあ、中旬としては良い方になるだろう。
「やかん」(小鯛):△+
「客が多くて嬉しい」話から少なかった会の話。
「縦1列」は絵面が可笑しかった。
上方では珍しいネタだが、誰から習ったんだろう。
知ったかぶりの男の偉そうな様子は良かった。
魚の由来を順々に喋っていく中で知ったかぶりをする男、
若い男とも感情や言い方が徐々に変化していくと思うのだが、
その点は弱く、やや単調だった。
「やかん」の由来は本当に講釈っぽく、見台を叩きながら。
上方らしくて、これはこれで悪くないかな。
テンポ・リズムは良かった。
「矢」という言葉が、もう少しはっきり聞こえた方が良いと思う。
「金明竹」(しん吉):△
内弟子時代の話からネタへ。
「金明竹」の言い立てなしの途中までで、
「言われたとおりやって上手くいかない」のみの話。
別にどうってことはない。
他に奉公人がいる大きな店っぽいのだが、
個人的にはその設定は違和感がある。
ごく小さな個人商店で、
奉公人もこのアホだけではないだろうか。
そうでなければ、わざわざこのアホに店番はさせないのでは、と感じてしまった。
一番気に入っている傘を借りていくことになるのだが、
ここは選ばせるのではなく、
アホがその傘を直接渡すのが良いと思う。
「借家怪談」(三喬):○
「古典の日」制定の話、
「幽霊とお化けの違い」といった話からネタへ。
「古典の日」のオチ「右喬」は、3つ目の方が良いかな。
ネタはいろいろ入れ事をしたりして、
そこそこ仕込みからウケを取っていたが、
「仕込み→バラシ」の構造は少し分かりづらくなった印象。
ウケを取るための入れ事のせいか、仕込みでの恐がり方が弱いと思う。
細かいところ、
例えば荷物が入っているので「隣が空き家か」分からない、
といったあたりはよく考えられていると思うが。
2人目は河内弁で「強さ」を表現していた。
結果的にはサゲの仕込みになっていたのだが、
別にそれは気にしなくても良いかな、と思う。
「宿屋ばばぁ」と同趣旨のサゲで、まあ、悪くはない。
「うまや火事」(文太):○-
日本と西洋の夫婦の違い、など。
ベタで特に良いとは思えないのだが、よくウケていた。
ネタは、以前に見た時に比べておかみさんが可愛らしく思えて良かった。
根本的に「髪結いの亭主」に惚れている、
惚れた弱みがよく出ていると思う。
本音を明かすまでいろいろ言うところ、
その心底が見えづらいまま喋っているところがあったが、
結局本当に何が本音なのか分からないまま喋っており、
甚兵衛さんに話している内に本当に何が心配なのか分かった、ということなのだろう。
甚兵衛さんは「李下に冠を正さず」といった知ったかぶりを特にする訳でもなく、
ニュートラルなごく良い人、という印象。
亭主は意図的ではないのだが、
やはり女に金を貢がせ続ける奴なんだな、という印象を受けた。
この後「幸せに暮らしました」ではなく、
周囲から見ると貢いでいる可哀想な女とヒモ、の関係に変わりはない、という余韻が残り、
これはこれで良かった。
「権兵衛狸」(新治):△+
さらっと身の回りで見聞きした話をしてネタへ。
この人、生で見るのは初めてだな。
五郎の弟子らしくなく、あっさりしているところは良い。
元々五郎の弟子だった訳ではないから、当然かも知れないが。
ネタは地噺風で、田舎ののんびりした雰囲気が出ていなくはないが、
地ではなく、もう少し科白や間でその雰囲気を出すべきだろう。
科白がスムーズでなく、噛むようなところも散見された。
本来短いあっさりしたネタを、
地の文で引き伸ばし、薄くしてしまっている印象。
「渚にて」(福笑):○-
おばさんに対するグチのような文句のようなマクラからネタへ。
昔に比べて声量が落ちているが、
それを間を置いたり引くツッコミを多用したりすることでカバーしている印象。
ところどころに、新しいギャグや設定も入れていた。
「水平線」の繰り返しはやはり面白い。
また、若い男の「女にもてたい」心根が強く、確固としたネタの世界が出来ているので、
無茶なギャグも上滑りせず、自然なものとして聞ける。
実際に声を掛け、「水臭い」のサゲまで。
個人的には歌のところで切っている印象が強く、
その後声を掛けて亭主が出てきてサゲに到る、というあたりが
少しダラダラして、テンションが下がってしまったように思う。
だいたい動楽亭昼席は米朝系ばかり出演する上旬は比較的入りが良く、
米朝系以外がメインになる中旬はあまり入らない、という印象がある。
この日は30人以上で、まあ、中旬としては良い方になるだろう。
「やかん」(小鯛):△+
「客が多くて嬉しい」話から少なかった会の話。
「縦1列」は絵面が可笑しかった。
上方では珍しいネタだが、誰から習ったんだろう。
知ったかぶりの男の偉そうな様子は良かった。
魚の由来を順々に喋っていく中で知ったかぶりをする男、
若い男とも感情や言い方が徐々に変化していくと思うのだが、
その点は弱く、やや単調だった。
「やかん」の由来は本当に講釈っぽく、見台を叩きながら。
上方らしくて、これはこれで悪くないかな。
テンポ・リズムは良かった。
「矢」という言葉が、もう少しはっきり聞こえた方が良いと思う。
「金明竹」(しん吉):△
内弟子時代の話からネタへ。
「金明竹」の言い立てなしの途中までで、
「言われたとおりやって上手くいかない」のみの話。
別にどうってことはない。
他に奉公人がいる大きな店っぽいのだが、
個人的にはその設定は違和感がある。
ごく小さな個人商店で、
奉公人もこのアホだけではないだろうか。
そうでなければ、わざわざこのアホに店番はさせないのでは、と感じてしまった。
一番気に入っている傘を借りていくことになるのだが、
ここは選ばせるのではなく、
アホがその傘を直接渡すのが良いと思う。
「借家怪談」(三喬):○
「古典の日」制定の話、
「幽霊とお化けの違い」といった話からネタへ。
「古典の日」のオチ「右喬」は、3つ目の方が良いかな。
ネタはいろいろ入れ事をしたりして、
そこそこ仕込みからウケを取っていたが、
「仕込み→バラシ」の構造は少し分かりづらくなった印象。
ウケを取るための入れ事のせいか、仕込みでの恐がり方が弱いと思う。
細かいところ、
例えば荷物が入っているので「隣が空き家か」分からない、
といったあたりはよく考えられていると思うが。
2人目は河内弁で「強さ」を表現していた。
結果的にはサゲの仕込みになっていたのだが、
別にそれは気にしなくても良いかな、と思う。
「宿屋ばばぁ」と同趣旨のサゲで、まあ、悪くはない。
「うまや火事」(文太):○-
日本と西洋の夫婦の違い、など。
ベタで特に良いとは思えないのだが、よくウケていた。
ネタは、以前に見た時に比べておかみさんが可愛らしく思えて良かった。
根本的に「髪結いの亭主」に惚れている、
惚れた弱みがよく出ていると思う。
本音を明かすまでいろいろ言うところ、
その心底が見えづらいまま喋っているところがあったが、
結局本当に何が本音なのか分からないまま喋っており、
甚兵衛さんに話している内に本当に何が心配なのか分かった、ということなのだろう。
甚兵衛さんは「李下に冠を正さず」といった知ったかぶりを特にする訳でもなく、
ニュートラルなごく良い人、という印象。
亭主は意図的ではないのだが、
やはり女に金を貢がせ続ける奴なんだな、という印象を受けた。
この後「幸せに暮らしました」ではなく、
周囲から見ると貢いでいる可哀想な女とヒモ、の関係に変わりはない、という余韻が残り、
これはこれで良かった。
「権兵衛狸」(新治):△+
さらっと身の回りで見聞きした話をしてネタへ。
この人、生で見るのは初めてだな。
五郎の弟子らしくなく、あっさりしているところは良い。
元々五郎の弟子だった訳ではないから、当然かも知れないが。
ネタは地噺風で、田舎ののんびりした雰囲気が出ていなくはないが、
地ではなく、もう少し科白や間でその雰囲気を出すべきだろう。
科白がスムーズでなく、噛むようなところも散見された。
本来短いあっさりしたネタを、
地の文で引き伸ばし、薄くしてしまっている印象。
「渚にて」(福笑):○-
おばさんに対するグチのような文句のようなマクラからネタへ。
昔に比べて声量が落ちているが、
それを間を置いたり引くツッコミを多用したりすることでカバーしている印象。
ところどころに、新しいギャグや設定も入れていた。
「水平線」の繰り返しはやはり面白い。
また、若い男の「女にもてたい」心根が強く、確固としたネタの世界が出来ているので、
無茶なギャグも上滑りせず、自然なものとして聞ける。
実際に声を掛け、「水臭い」のサゲまで。
個人的には歌のところで切っている印象が強く、
その後声を掛けて亭主が出てきてサゲに到る、というあたりが
少しダラダラして、テンションが下がってしまったように思う。