腕に「バネ」・・・・病原体がっちり
ノ-ベル賞・田中氏ら 新抗体開発
島津製作所(京都市)などは、生物を疾病から守る免疫反応で重要な役割を担う抗体に「バネ」状の物質を組み合わせ、目標の抗原(病原体)向け自由に伸縮させ、従来の100倍以上の効率で結合させる技術を開発したと発表した。
ノ-ベル化学賞受賞者で、同社の田中最先端研究所の田中耕一所長らによると、今後、病原体が含まれる血液一滴からがんや生活習慣病を発症前に発見する技術にも応用が期待できるという。同社などは、抗原について、アルツハイマ-病の原因タンパク質とされるべ-タアミロイドに注目。抗体が持つ、抗原をつかまえる「手」の部分に化学合成したべ-タアミロイドを使用した。さらに手を立体的に動かすための「腕」の部分を「バネ」状にするため、ポリエチレングリコ-ルと呼ばれる物質を使い、この二つの物質を試験管内で結合させ、合成化合物としての抗体を生成した。この合成抗体と抗原のべ-タアミロイドを結び付けた結果、従来の抗体より100倍以上の効率で結合が進んだ。「バネ」の部分の長さを変えると最大10万倍に上がったという。田中所長は「がんやアルツハイマ-病の原因解明だけでなく副作用が少ない抗体医薬の開発にもつながる可能性がある」と話している。