゛まるかん人゛プラトーク

元気とキレイを追求すると、人生は楽しく過ごすことと・・・!?

はなし(抄)児童心理司<山崎由貴子さん>

2008-03-22 12:30:00 | 人物100選

陰湿で巧妙化するいじめ。被害者の保護を最優先で                                   「教室の悪魔」著者

教室の悪魔 見えない「いじめ」を解決するために 教室の悪魔 見えない「いじめ」を解決するために
価格:¥ 924(税込)
発売日:2006-12-21

「教室の悪魔」を書くことになったきっかけからお話をしたいと思います。                         一昨年、いじめの報道がたくさんありました。自殺者が相次いで、その                         かなりの報道が間違っていると思ったのです。例えば、最悪なのか゛                           「いじめられる側に問題がある」とか、いじめられている子に対しするメ                          ッセ-ジとして「負けないで」とか「立ち向かって」という報道。これじゃ                          あ、いじめられている子がどんどん死にたくなる。マスコミはやっぱり犯                         人捜しです。先生が悪い、校長が悪い、教育委員会が悪いと。悪い人                          捜しばかりしていて、具体的に解決に向けた話し合いがなされていな                          いように思えたのです。

    ◇ ◇ ◇

いじめをやめるにはどうするのか。大人がいじめを許さないのは、子ども                         はとっくに知っている。だから隠している。今のいじめの実態を知らなきゃ                        いけない。陰湿になっているし、巧妙になっている。携帯電話とインタ-                         ネットを使えるようになったことで、子どもたちは匿名性を手に入れました。                       匿名でいじめができるようになった。今のいじめの構造は、被害者一人                         で、残り全員が加害者です。例えば、メ-ルやインタ-ネットを使った援                         助交際のうわさを流す。ホテル街で見たとか、財布に何十万円入ってい                         たとか。家族に対してもひぼう中傷する。借金を抱えている、お母さんが                         売春している、と。全く事実無根です。ひぼう中傷の巧妙なところは、い                         じめの理由が後からつくられること。「しょうがないじゃん。あの子、援助                         交際してて汚いんだもん」という話になるのです。いじめが正当化され、                         理由が先にあったからいじめられてきたんだ、となっていく。これに先生                         も巻き込まれちゃうわけです。最近、いじめは子どもたちの権力争いだと                        思うようになりました。今の子どもの友人関係はすごく不安定です。ころ                         ころ友達関係が変わっていく。嫌われちゃうとか、KY(空気が読めない)                         とか思われることに、おびえています。ある女の子は言いました。「親友                         にだけは本音が言えない。嫌われちゃうから」。すごくおかしいでしょう。                         心と心のつなか゛りが信じられなくなっている中で、この子たちは何によ                         って関係性をつくったかというと、権力争いだと思うんです。自分が被害                         者にならない、傷つかない。地位を安定させるために、いじめ社会の中で、                       権力を得ようとするわけです。こんなひどいことが起っていれば、教師は                         気付くだろうという議論があります。気付くわけがない。子どもたちは必                         死に隠していますから。いじめられている子どもたちはなぜ誰にも言えな                        いのか。大人に話せば、いじめが悪化すると思っているからです。お父さ                        んやお母さんを好きかどうかとは全く別に、子どもは、大人はいじめを解決                       できないと思っています。大人への不信です。私は大人がいじめの解決                        に取り組むことは、子どもたちへの信頼回復だと思っています。解決に向                        けて、私が提案するのは二本柱です。「被害者の保護」と「問題の解決」                        です。そして、これを分けましょうという提案です。

     ◇ ◇ ◇

100_0650 被害者の保護。学校を休ませなければだめで                            す。「いじめがなくなるまで学校に行かなくてい                             いんだよ」と話をする。とにかく、子どもの心を休                           ませることが最優先です。学校やいじめのこと                            には触れず、親子で楽しい日々を送ればいい。                            まずは家庭という場所で、毎日が安全で自分が                           被害に遭わないということを確認する。ここからが、                         心を癒すことのスタ-トです。問題の解決に当た                           って、学校に話し合いに行くときは、まず、いじめ                            があったという事実を伝える。怒鳴り込みに行く                             場じゃない。だからこそ、いじめについての責任追及をしないでくた                せさい、と親御さんにお願いしています。責任を取れという話をし始                めたら、敵対し、解決の話し合いはできません。学校の本当の責任                          は、いじめをなくすこと。被害に遭った子は加害者をどうにかしてくれ                           とは言ってない。いじめをなくしてくれと言っているのです。学校にも                           お願いしています。事実の調査をしないこと。学校は、保護者が「う                            ちの子がいじめられていた」と来たら、「調べさせてください」と言わ                            ないでほしい。「分かりました。わが校にいじめがあったんですね」と                           認めてほしい。被害者がいたんだから、いじめはあったのです。潔く                           認める態度が、次からの信頼につながると思います。

やまわきゆきこ=1969年、東京都出身。横浜市立大学卒業後 、都                          児童相談センタ-職員。多くの子どもや家族の相談を受けながら、講                          演などを通じて現場の声を発信している。「教室の悪魔」(ポプラ社)で                          現代のいじめの実態と解決法を示す。最新刊に「モンスタ-ペアレント                          の正体」(中央法規出版)。

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