環境への配慮など、企業が負うべき社会的責任 (CSR)に基づいて、何らかの活動に取り組んで いる道内企業は4割に満たないことが、北海道 環境財団などの調査でわかった。資金などの負担を伴うという不安 が根強いCSRは、中小企業が多い地方ほど取り組みが遅れる傾 向があり、来年のサミット開催による環境意識の向上に期待する声 も少なくない。 北海道環境財団などが昨年から今年にかけて、道 内企業約千社を対象に行った調査によると、環境保全など何らかの 社会貢献活動を責務と考える企業は六割近くに上った。だが、活動 している企業は約37%で、取り組まない企業の九割が、資金や人 員の不足をその理由にあげた。CSRは規格の国際標準化の動きも あり、欧米ではすでに投資や融資の基準となっている。企業が業績 だけで評価される時代は終わりつつあり、中小企業といえども避け ては通れない課題だ。札幌市の札幌グランドホテルは1999年、約 二千四百万円を投じ、生ごみを堆肥化する設備を地下二階に設置し た。それまで廃棄処分していた生ごみをこの設備で乾燥させ、石狩 市の堆肥製造会社で有機肥料化している。この肥料を使った農家の 有機農産物をホテルで提供する仕組みで、同ホテル担当者は「環境 対策も使命。さらなる社会貢献に取り組むことで社会からの評価も得 られる」という。CSRは、新たな投資を必要とするものばかりではな い。OA機器等販売の北海道リコ-(札幌市)は、営業中の給油を満 タンにしない「半タン」運動を実施。燃費アップによるコスト削減と二 酸化炭素の排出削減を両立させている。同社の山沢光弘CSR推進 室環境推進グル-プリ-ダ-は「CSRは慈善活動ではない。利益 と同軸の活動だから継続できる」と話す。このほか、生ごみの堆肥 化はもちろん、廃油を回収し自社農場のトラクタ-燃料として利用す るなど、徹底した環境保全活動に取り組んでいるアレフ(札幌市=ハ ンバ-グレストラン「びっくりドンキ-」を展開)など、本業での必要性 と環境保全活動が密着している例は少なくない。CSRに詳しい大阪 大の金井一頼教授は「社会貢献活動そのものを事業とする革新的な 戦略の転換が必要。地域に根ざした中小企業こそ、地域の諸問題に 取り組める強みがある」と話している。
企業の社会的責任(corporate social responsibility=CSR)
企業は、株主や授業員だけでなく、地域社会や一般消費者に対し ても責任を負うという考え方。1990年代、欧米企業が途上国の児 童らに過酷な労働を果たしていたことが判明、不買運動が広がった ころから定着した。環境対策のほか、法令順守や人権への配慮な どが含まれる。国際標準化機構(ISO)は2009年末にもCSRの 国際規格を発行する方針。
※コメント投稿者のブログIDはブログ作成者のみに通知されます