15年目の「甲子園」 歓迎 町民にも機運高まる
辺りは一面、緑色の田んぼ。自家用に植えたト ウモロコシの間をネコが散歩し、ニワトリやニジ マスも飼われている。「こんなのんびりした景色 を見たら、都会の子は驚くだろうね」。上川管内 東川町の農業大城進さん(49)今年、「写真甲 子園」本選に出場する千葉県立柏高の女子高 生3人と教諭のホ-ムステイを受け入れる。例年4日間の本戦会期 中、生徒たちは町内の宿泊施設に泊まって共同制作するが、今年は 初めて一泊のホ-ムステイを導入。大城さんと妻美千子さん(47) は「受け入れた学校が優勝したらうれしいよね」と、今から歓迎気分 に浸かっている。東川町が写真甲子園を始めたのは1994年。それ に先立ち、85年に札幌の企画会社の提言を受け、「写真の町」を宣 言した。手始めに国内外の写真家に贈る東川賞を創設、「フォト・フェ スタ」などイベントを開いた。だが「ちょっとにぎやかだなという程度」 (大城さん)で、町民には親しみがなかった。90年代初めには、町と 縁のない写真家へ賞金を出すことに疑問の声も出た。それへの答え として、町は小学校の授業で写真を教え、町民写真展を開くなど地 元に根ざした取り組みに路線を修正し、写真甲子園もその延長上で 発案された。5年前からは、写真事業の企画・運営を、町と町民有志 約30人でつくる企画委員が主体的に行い、約3百人の町民ポラン ティアが支える体制ができた。今年手掛けるホ-ムステイも、それま で疎遠だった町民を巻き込も試みだ。企画委員の建設会社社長小岩 昭市さん(52)は「頑張っている高校生と触れ合うことで写真甲子園 の魅力を実感できる」という。町内の農業仲原明美さん(50)も、4年 前からボランティアとして働き、緊張感や感激を共有できるのがうれ しい」とすっかりファンになった。トマトや豆腐など東川産の食べ物を 味わってもらうことも楽しみにしている。若者たちのエネルギ-の余 熱が、町民にも浸透してきたようだ。
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