石川 潤 (獣医師・帯広)投稿より
食欲の秋。毎朝、炊きたてのご飯がおいしい。日本人の幸せを感じ る時だ。しかし、最近どうも日本の「食」が危うい。ここ数年、報道さ れた「食」に関する事件の数々。驚き、怒りを通り越して、この先の 日本の「食」(第一産業)を犠牲にして、二次、三次産業の拡大、発 展を追及し、グロ-バル経済の競争の中に身を投じてきた日本の 経済を考え直す時ではないだろうか。日本が戦後復興のお手本に した?米国は工業先進国だが、同時に農業大国でもある。「食」の 安定の上での工業発展である。ひたすら「科学技術立国」を目指し てきた経済大国日本は、どこでバランスを失ってしまったのだろう。 日本がお得意の車や精密機器の分野でも、生産拠点は海外に移り つつあり、不安定要素も多い。先日、留学生たちがお土産を求めに 大学生協に来店したが、彼らが日本の精巧な技術の象徴と考えて いたニコンのデジカメには、「メ-ドインチャイナ」の表記があり、彼ら を失望させたという。私が教える大学の獣医学科でも、卒業生の半 数近くはサ-ビス業であるペット病院へ就職する。一方で、牛、馬な ど産業動物分野や「食の安全」を担当する行政機関への就職希望 者は年々減少し、関係者を慌てさせている。とても「最近の傾向」で は済まされない問題である。
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