真保 裕一 著 「灰色の北壁」を紹介します。
山岳ミステリー3つの中編を収録。
「黒部の羆(ひぐま)」
大学の山岳サークルのライバル2人が遭難しそれを助ける無骨で屈強な山男の話。
「灰色の北壁」
世界のクライマーから「ホワイト・タワー」と呼ばれ、恐れられたヒマラヤのカスール・ベーラ。
死と背中合わせのその北壁を、たった一人で制覇した天才クライマー刈谷修。
彼が山頂で撮影した記録写真は合成ではないかという疑惑が提示され、糾弾される。
しかし刈谷はなぜか沈黙を続けた。
その業績に疑問を投じる一編のノンフィクションに封印された真実とは…。
「雪の慰霊碑」
遭難で死んだ青年を思う父と婚約者と従兄弟が登場する。
父は息子が命を落とした山に、あえて死を決意して登るのだが――。
日本最大のダムを占拠したテロリストから人質を救うべく立ち上がった青年の活躍を描き映画にもなった『ホワイトアウト』の真保 裕一の山岳ミステリー小説。 過去と現在が交差し、巧みなどんでん返しの趣向が味わえる。 なるほど、そういうオチだったか…。 新田次郎文学賞受賞 |