ばぶちの仕事しながら司法試験を突破し弁護士になりました

仕事をしながら司法試験に合格したばぶち(babuchi)の試験勉強記録+その後です。

LEC後期答練ハイレベル商法第2回

2008年01月05日 17時02分35秒 | 商法
LECの後期答練ハイレベル商法第2回をやりました。

結論から言うと、今回のは良い感じでした。

しかし第1回は、会社法2問だったが、第2回は、手形法と商法総則かい!?
範囲ってこんなんだったのかなぁ??
と思って見てみたら、範囲指定でしたorz。

まあ、予習もなくいきなりやるつもりだったのでいいんですけどね。
http://www.lec-jp.com/shihou/choices/senior/08ronbun/kouki_a.shtml


付録として去年の本試験の問題もあって、きちんと解いてみました。

そんなに難しいことは聞かれていませんが、問われている量が多いぐらいでしょうか。

京都法科大学院の入試問題もありました。

事業譲渡と現物出資の話と商号の話。きちんと条文の要件を満たすかを検討し忘れると終了!となってしまう問題でした。

骨のありそうな問題です。


さて、私は手形については、二段階創造説などという特殊な立場に立っていないのですが、S講師の教えから、債務負担面、債務移転面に分けて論じています。

これの流れを意識すると二段階創造説の模範解答があったのですが、違うはずです。

また、よくある模範解答は形式的移転面、実質的移転面というので書いていますが、この流れは良くわかりません。

ということで、今回私が書いた答案は、採点者がどのような立場で点を付けるのか、また二段階創造説で書いているとして点を付けるのか不安です。


債務移転面を考える際に、権利外観法理(手形法10条類推)により、債務負担する場合、どこかの手形取得者にこれが適用されれば、振出人は手形債務を負担すると理解しているのですが、どうなんでしょう。





今回の問題と似たようなでも一般的な問題を下記に記載します。





「振出人Aは受取人Bと記載し、手形要件を満たした手形を使用人Cに預けていたら、勝手に受取人をCと書き替えてDに裏書し、DがEに裏書した。」


この場合、手形債務負担面として、Aは手形交付がないが、交付契約説から手形の交付も手形債務の負担の有効要件であり、交付がなければ原則負担しない。


しかし、手形取得者を害する。そこで、権利外観法理(10条類推)により手形債務が発生する。



Dに対して債務負担すれば、裏書人Eが仮に悪意であってもDを承継(14条)するので、Dの下で発生するかを検討。



Dは、Aは手形要件ある手形に署名があり、Cが権限外に裏書し、受取人BをCに変造したこと、すなわち、Aが手形を有効に振り出していないことについて善意、無重過失なら保護。帰責性は保管について存在。

よって、Dの下に手形債務が発生する。


ここで、Cが受取人BをCに書き替えたのは、受取人の変造にあたるといえるが、69条は変造前の署名者の負担、すなわち、変造前に記載された手形債務の負担については変造があっても影響を受けないことを記載したもの。

よって、変造は手形債務の発生に影響は受けない。

一方、Dに権利外観法理の適用ないなら、Dの下で手形債務は発生せず、Eの下で田方債務が発生するかを検討。

以上から、振出人AはD又はEの下で手形債務が発生するならば手形債務を負担。


っていうのは問題ないのかが良くわからないです。



その後は、権利移転面の問題ですので、Dが善意取得するかを検討(前提として裏書の連続が問題になるが、形式面から判断する以上、変造があっても問題ない)。


Dが、Cが無権利者であることについて善意、無重過失なら善意取得し、これをEが取得するので、Eが仮にAが振り出していないことについて悪意でも有効な裏書人となって、Aに手形金請求しうる。


Dが善意取得しない場合は、Eは善意取得しない限り、手形の有効な取得者でなく、Aに手形金請求できない。

実況見分と検証

2008年01月05日 01時51分58秒 | 刑訴法
実況見分調書と検証調書、関連性についてもわかりやすい説明がありました。

関連性は、検察官が掲げる冒頭陳述記載事実(主要事実)について役に立つ情報を提供する役割を持つかどうかということです。


検証は、捜査機関が、その専門性に基づき、五官の作用によって性状把握をすること。

実況見分も、捜査機関が、その専門性に基づき、五官の作用によって性状把握をすること。


検証も実況見分も主体は捜査機関
違いは強制処分か任意処分か。

さて、検証はなぜ検証にするのか?

強制処分と任意処分の違いが、被処分者の承諾なく、重要な権利侵害を伴うかどうか。
とすると、道路などの性状把握は、重要な権利侵害を伴わない。

また、捜査機関(交通鑑識課)が、道路などの性状把握を行う実況見分をすることは、蓄積された知識、専門性に基づいて正確に記載することができるのであるから、検証と同様の性質を有するため、緩やかな要件で伝聞例外が認められる。



とすれば、このような知識、専門性を有しない者が実況見分を行ったとしても検証と同等の性質を有しないといえる。


少年課の警察官が、交通の実況見分をやっても検証と同等の調書とは言えない場合があるということになるでしょうか。

立証趣旨

2008年01月05日 01時41分24秒 | 刑訴法
刑訴法第3回の過去問解析において、立証趣旨に基づく、証拠能力論を論じなさいという指摘がされました。

非常に有意義な講義でした。


LECのC-Bookの刑訴法2の実況見分にも同じような気になる記述がありました。


実況見分調書内の目撃者等の現場指示についてのところで、現場指示は供述内容の真実性が要証事実ではなく「非供述証拠である」とありました。

しかし、そもそも非供述証拠なら、伝聞法則の適用はなく、321条3項の問題にならないのではないのかぁなと。


立証趣旨を明らかにすると、証拠能力の捉え方が変わります。


実況見分調書の立証趣旨を犯罪状況ではなく、犯罪現場の状況とした場合、実況見分調書自体は伝聞法則の適用があり、321条3項の検証調書に準じて証拠能力が認められる。

そして、現場指示もそこを実況見分した理由であり、実況見分調書の内容として321条3項で証拠能力が認められる
と。

実況見分調書の一部の内容を捉えて、供述か非供述かを論じるべきではない
と。

さらに、赤色信号を無視して被害者をはねた事実の記載もそこで犯罪が発生したと疎明される資料であり、実況見分の結果としての記載であるから、実況見分調書の一部として証拠能力が認められる
と。

なるほどー。


だいたい、実況見分調書の一部を供述証拠として捉えて、犯罪状況の立証に使用しようというのは、確かにナンセンスですね。

実況見分調書内の一部の供述を証拠として提出することはまずないということです。

実況見分調書はあくまで犯罪現場の状況の証明し、犯罪が発生した場所、発生し得る場所であることが証明できればよい
と。


目撃者がいるならその者を証人尋問すべきであるし、そもそも実況見分調書を犯罪状況の証拠として用いれば、伝聞法則の適用で証拠能力が否定され、321条1項3号の要件を満たすという、証拠として採用されにくいことをしなくてもいいですし。



あー、本当に面白い授業、講義ってのは、心臓が高鳴ります。


立証趣旨について調べてみたら、面白い記事がありました。
手元に印刷したのですが、URLを失念しました。


また機会があればリンクをアップします。