ばぶちの仕事しながら司法試験を突破し弁護士になりました

仕事をしながら司法試験に合格したばぶち(babuchi)の試験勉強記録+その後です。

発起人の権限

2009年09月09日 00時37分54秒 | 商法
以前から、間違えやすいのが、この発起人の権限です。


発起人が定款記載ない、財産引受をした場合の効力。


定款に記載なき財産引受は無効。

追認は?

発起人の行為の帰属は?

発起人の権限の範囲は?



■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■

財産引受は、定款に記載なき限り無効である(28条4号)。


では、会社は追認をなしうるか?

設立中の会社と成立後の会社は本来別人格である。
とすると、規定のない発起人の行為は設立中の会社にしか帰属しないはずである。

そこで、そもそも規定なき発起人の行為が成立後の会社に帰属しないのならば、追認はなし得ないため、帰属するかが問題になる。


設立中の会社も、権利能力なき社団として実体は存在し、成立後の会社とは実質的には同一の存在である。

よって、その機関たる発起人の権限内の行為は実質的には設立中の会社に帰属し、成立と同時に何ら手続をせず成立後の会社に当然に帰属する。


とすると、発起人の権限の範囲が明らかでなく問題となる。

発起人は、設立中の会社の機関であるから、設立中の会社の権限内で行為をなし得る。
そして、設立中の会社は設立を目的としているのであるから、発起人の権限は、会社の設立に直接関係する範囲のみであると解する。

また、健全な会社設立のため、財産確保が重視されるべきであるから、定款に記載した場合に限り、例外的に発起人の権限としたものであるから、定款なき限り、絶対的に無効というべきである。

よって、権限外の発起人の行為は、成立後の会社に帰属せず、追認をすることはできない。

商法 手形行為独立の原則

2009年09月09日 00時26分37秒 | 商法
手形行為独立の原則で、根拠は当然説を採っているのですが、よく理解できていませんでした。


手形行為独立の原則
ある手形行為について、その前提となる手形行為が実質的に無効となる場合でも、その手形行為の効力には影響がない原則

一般原則によれば、先行行為が無効なら後行行為も無効となるが、これを貫くと手形の譲受人は、先行する手形行為全てが有効かを確認する必要があり、流通性、手形取引の安全性を害する。

そこで、先行行為は無効であっても後行行為は無効とならず、裏書人に担保責任を問えるように規定。


根拠
手形行為の文言的性質に基づくもの。
手形行為は、自己の意思表示を内容とする法律行為であり、行為者は他人の手形行為に関係なく、意思表示の結果として手形債務を負うのであるから、先行行為の有効、無効には影響を受けないのは当然である。


裏書の適用
手形債務負担について手形行為独立の原則は適用されるのであるから、裏書の権利移転面については適用はない。

しかし、裏書の担保的効力については、裏書も意思表示の効果としての債務負担行為であり、担保責任が認められる。

よって、裏書にも手形行為独立の原則が認められる。


反対説:裏書は手形流通のための法定責任

×意思表示による当然の結果から認められる手形行為独立の原則は認められなくなり、7条の適用範囲が著しく狭く、規定の趣旨を没却する。