第1 被告について
1 訴訟において、当事者が誰かということは、当事者能力、当事者適格、既判力(115条1項1号)などの点において重要な意味を有するため決定する必要がある。本件において被告はYかZか。
2 原告は訴状において訴える相手方を決定する(133条2項1号)。
よって、訴状を基準に当事者を決定すべきである。
もっとも、原告の合理的意思も解釈すべく、訴状の全ての記載を考慮して合理的に決すると考える。
3 本件において、Xは被告Yと記載している。
また、XY間の中古車売買の代金支払い請求をしているのであり、訴状の全記載を合理的に解釈しても被告はYである。
4 したがって、被告はYである。
第2 訴訟承継について
1 では、Zは訴訟承継(124条1項)したとして当事者にならないか。
2 当事者は訴訟継続が開始した時に決定される。
そして、訴訟継続は、原則訴状が到達したときに当事者が訴訟を知ったことになり開始される。
しかし、例外的に、被告が弁護士を選任したとか、訴訟提起後、訴状到達前に当事者が死亡した場合には、潜在的に訴訟継続が開始したものといえ、訴訟継続があったと考える。
3 本件において、訴え提起は4月5日であり、訴状送達も4月5日、訴状到達は4月7日であるが、Yが死亡したのは4月3日であるため、潜在的訴訟継続もなく、訴訟承継はないため、当事者はYである。
第3 Zの地位について
1 Yは成年被後見人であり、法定代理人Zが訴訟行為を行う(31条本文)。そして、法定代理人は当事者と同一の手続きを行う(102条1項、211条本文、253条1項5号参照)。
Yが生きていれば、Zが訴訟追行したのであり、手続保障があったといえる。にもかかわらず控訴審において、死者に対する訴えは認められないとして、第一審を取消(305条)、訴え自体を不適法却下(297条、137条、140条)とし、Xは再度Zを訴えなければならないとすると、手続保障がZにあり、第一審を勝訴したというXの既得的地位を害されることになり妥当でない。
2 ここで控訴審は事後審であることから、第一審の訴訟は全て移審することになると考える。そこで、第一審の効力を肯定すべく、裁判所は釈明権(149条)を行使してXに対して付帯控訴(293条)、当事者変更の訴え(297条、143条)をするように促すべきである。これにより、第一審の訴訟行為の効力が流用される(298条1項)。Zには当事者の審級の利益を図る必要もあるが、本件においてZは元々法定代理人として訴訟に参加していたのであり、手続保障は図られている。
3 したがって、裁判所は、XとYを当事者とし、Xに対して当事者変更の訴えについて釈明権を行使し、Xがこれに従い、YからZに変更した場合には、控訴審での審理をすべきである。従わない場合には、第一審を取消、訴え自体を不適法却下すべきである(297条、137条)。
Zに対しては、控訴人Yに訂正するように釈明し、従えば控訴審の審理を行い、従わない場合には、控訴を不適法却下すべきである。
以上
自己評価 E
評価 A
感想
問題文を読み間違え、4月5日訴え提起があったものと思ってしまった。
潜在的訴訟継続はあったのであるから、第一審の判決の当事者を訂正して、訴訟継続があったとして当事者をZにし、控訴人をZとして控訴審の審理をすべきであると思います。
また、控訴審は事後審という間違い、任意的当事者変更を143条としている間違い、訴訟資料の流用の点を記載していません。付帯控訴も意味不明です。
書き出しで、なぜ当事者を確定する必要があるか、という必要性を書いたのは好印象かなと思います。
また、第3-1での不都合性、不経済を記載はいいと思います。第3-3の結論などもマシかなぁと思います。
ただし、全体的にはよくない答案なので、他のみんなもできが悪かったのだと思います。
解いた時間は70分ぐらいです。
民事系は60分+50分+70分で180分で終わってしまい、210分の試験時間のうち30分はずっと答案を見直していました。
1 訴訟において、当事者が誰かということは、当事者能力、当事者適格、既判力(115条1項1号)などの点において重要な意味を有するため決定する必要がある。本件において被告はYかZか。
2 原告は訴状において訴える相手方を決定する(133条2項1号)。
よって、訴状を基準に当事者を決定すべきである。
もっとも、原告の合理的意思も解釈すべく、訴状の全ての記載を考慮して合理的に決すると考える。
3 本件において、Xは被告Yと記載している。
また、XY間の中古車売買の代金支払い請求をしているのであり、訴状の全記載を合理的に解釈しても被告はYである。
4 したがって、被告はYである。
第2 訴訟承継について
1 では、Zは訴訟承継(124条1項)したとして当事者にならないか。
2 当事者は訴訟継続が開始した時に決定される。
そして、訴訟継続は、原則訴状が到達したときに当事者が訴訟を知ったことになり開始される。
しかし、例外的に、被告が弁護士を選任したとか、訴訟提起後、訴状到達前に当事者が死亡した場合には、潜在的に訴訟継続が開始したものといえ、訴訟継続があったと考える。
3 本件において、訴え提起は4月5日であり、訴状送達も4月5日、訴状到達は4月7日であるが、Yが死亡したのは4月3日であるため、潜在的訴訟継続もなく、訴訟承継はないため、当事者はYである。
第3 Zの地位について
1 Yは成年被後見人であり、法定代理人Zが訴訟行為を行う(31条本文)。そして、法定代理人は当事者と同一の手続きを行う(102条1項、211条本文、253条1項5号参照)。
Yが生きていれば、Zが訴訟追行したのであり、手続保障があったといえる。にもかかわらず控訴審において、死者に対する訴えは認められないとして、第一審を取消(305条)、訴え自体を不適法却下(297条、137条、140条)とし、Xは再度Zを訴えなければならないとすると、手続保障がZにあり、第一審を勝訴したというXの既得的地位を害されることになり妥当でない。
2 ここで控訴審は事後審であることから、第一審の訴訟は全て移審することになると考える。そこで、第一審の効力を肯定すべく、裁判所は釈明権(149条)を行使してXに対して付帯控訴(293条)、当事者変更の訴え(297条、143条)をするように促すべきである。これにより、第一審の訴訟行為の効力が流用される(298条1項)。Zには当事者の審級の利益を図る必要もあるが、本件においてZは元々法定代理人として訴訟に参加していたのであり、手続保障は図られている。
3 したがって、裁判所は、XとYを当事者とし、Xに対して当事者変更の訴えについて釈明権を行使し、Xがこれに従い、YからZに変更した場合には、控訴審での審理をすべきである。従わない場合には、第一審を取消、訴え自体を不適法却下すべきである(297条、137条)。
Zに対しては、控訴人Yに訂正するように釈明し、従えば控訴審の審理を行い、従わない場合には、控訴を不適法却下すべきである。
以上
自己評価 E
評価 A
感想
問題文を読み間違え、4月5日訴え提起があったものと思ってしまった。
潜在的訴訟継続はあったのであるから、第一審の判決の当事者を訂正して、訴訟継続があったとして当事者をZにし、控訴人をZとして控訴審の審理をすべきであると思います。
また、控訴審は事後審という間違い、任意的当事者変更を143条としている間違い、訴訟資料の流用の点を記載していません。付帯控訴も意味不明です。
書き出しで、なぜ当事者を確定する必要があるか、という必要性を書いたのは好印象かなと思います。
また、第3-1での不都合性、不経済を記載はいいと思います。第3-3の結論などもマシかなぁと思います。
ただし、全体的にはよくない答案なので、他のみんなもできが悪かったのだと思います。
解いた時間は70分ぐらいです。
民事系は60分+50分+70分で180分で終わってしまい、210分の試験時間のうち30分はずっと答案を見直していました。