ばぶちの仕事しながら司法試験を突破し弁護士になりました

仕事をしながら司法試験に合格したばぶち(babuchi)の試験勉強記録+その後です。

盗品の疑いが強いと思った買い取り

2011年11月27日 00時29分32秒 | 刑法
盗品等有償譲受罪は、故意が必要ですが、疑いが強いと思った場合はどうでしょうか。

判例は、
有償譲受とは、盗品たるの情を知りながら、金銭その他の物件の対価として盗品の所有権を取得する契約をうること(大審院大正2年12月19日)
買い受ける物が盗品かもしれないと思いながら、あえてこれを買い受ける意思があれば足りる(最高裁昭和23年3月16日)
としています。

とすると、盗品の疑いが強いと思っている場合にあえて買い受けたならば、本来、盗品等有償譲受罪が成立するでしょう。


TSUTAYAで事件として問題になっています。

時事通信


少なくとも、古物営業法では、
15条3項で
「古物商は、古物を買い受け、若しくは交換し、又は売却若しくは交換の委託を受けようとする場合において、当該古物について不正品の疑いがあると認めるときは、直ちに、警察官にその旨を申告しなければならない。」
があります。

民法193条のような規定もありました。
20条
「古物商が買い受け、又は交換した古物(商法(明治32年法律第48号)第519条に規定する有価証券であるものを除く。)のうちに盗品又は遺失物があつた場合においては、その古物商が当該盗品又は遺失物を公の市場において又は同種の物を取り扱う営業者から善意で譲り受けた場合においても、被害者又は遺失主は、古物商に対し、これを無償で回復することを求めることができる。ただし、盗難又は遺失の時から1年を経過した後においては、この限りでない。」

24条は営業の停止も定めています。


また、33条には罰則があるのですが、15条3項に違反した場合には規定されていません。
なので、警察への申告義務違反としての行政処分となるような気がします。


盗品等有償譲受罪も成立する可能性がありますが、主観的要件の問題であり立証困難であることから、行政処分で終わるのでしょう。