ばぶちの仕事しながら司法試験を突破し弁護士になりました

仕事をしながら司法試験に合格したばぶち(babuchi)の試験勉強記録+その後です。

採用の自由

2011年11月14日 23時22分48秒 | 労働法
三菱樹脂事件

採用の自由と思想、信条を理由とする拒否の無効について、判例は採用の自由を重視する立場のように見える。

これに批判しているのは、思想、信条の自由への制約が考慮されておらず、直ちに民法上の不法行為にあたらないことは明らかであり、としたことに対してであり、結論はあまり変わらないと思います。
この事件は、採用拒否の有効無効の請求であり、損害賠償請求ではないからです。


企業としても偏向した思想、信条を持つ方と持たない方があるなら、持たない方を採用したいと思うでしょう。


不況の時代に2人の募集に200人とかの応募があるのですから、いちいち理由を思想、信条によるなどとせずにただ、今回は御縁がありませんでしたと断るでしょう。
面接で良いインスピレーションが働かなかったから、とかでもいいと思います。


今後はこういう採用拒否内容が明るみになることは少ないのかもしれません。
買い手市場ですし。

企業側に特別な事情がない限り採用の義務はないと思います。


また、均等な機会を与えるだけでよく、採用の理由などは公開しない方向になるのではないでしょうか。


ただし、仮に明るみになれば、不法行為として損害賠償請求できる可能性は残っていますが、やはり難しいですね。

平成23年度予備試験論文再現(憲法)

2011年11月14日 22時58分11秒 | 憲法
第1 設問1について
1 Bの弁護士は、不合格の処分取消訴訟(行政法3条2項)、合格処分の義務付け訴訟(同法3条6項1号、37条の3第1項2号)を併合提起し、これだけではBは入学して授業を受けられないため、入学処分の仮の義務付けを求める(同法37条の5第1項)申し立てをすべきである。
2 Bは、憲法上の主張として、本件入学制度は、憲法14条1項後段の性別による平等原則違反であることを主張すべきである。

第2 設問2について
1 対立点について
(1) 原告Bとしては、本件入学制度は、合理的なものとはいえず、14条1項に違反すると主張する。
(2) 被告A大学院は、14条1項は各人の差異に応じた合理的な理由のある区別であれば認められるのであり、本件は合理的な理由のある区別であるから14条1項に反しないと主張する。
(3) さらに、被告A大学院は、そもそも入学制度は、大学の自治(23条)の範囲内であり、司法審査の範囲外であるから、本件入学制度に対する司法審査は及ばないと主張する。
2 自身の見解について
(1) A大学院の主張する司法審査外について
  ア そもそも、本件A大学院が主張するように、入学制度は司法審査外であれば、司法審査ができないため、まず検討する。
  イ 憲法76条1項の司法権は、当事者の具体的な法律関係、権利義務の存否に関する紛争で、法の解釈適用により終局的に解決し得る、「法律上の争訟」(裁判所法3条1項)が対象であり、入学制度の選抜もこの法律上の争訟に含まれる。もっとも、内部的に自律権を有する団体等は、その団体の意思を尊重すべきであるから、司法審査権は及ばないが、一般市民法秩序を害する場合には、その者を救済する必要があるため、例外的に司法審査権が及ぶと考える。
  ウ 本件において、23条は「学問の自由」として、研究の自由等を保障し、これを実効的なものとするため、大学の自治も保障されていると考える。そして、誰を入学させるかの入学制度についても大学の自治の範囲として保障されているとも考えられる。
    しかし、国民は、大学での教育を受ける権利(26条1項)が保障され、さらに専門性を持つ大学院でも同様に教育を受ける権利が保障されていると考える。そして、入学制度に関してはこれにより教育を受ける権利を有する者が不利益を受けるため、一般市民法秩序を害するものと考えられ、大学の自治は及ばないと考えられる。
    よって、司法審査の対象となるべきであり、A大学院の主張は認められない。
(2)平等権違反について
  ア 本件入学制度は14条1項に反しないか。
  イ 14条1項は、絶対的に平等権を保障したものではなく、各人の差異に応じた合理的理由のある区別は許されている相対的平等と考える。そして、14条1項後段の列挙事由に関しては不合理なものと考えられるため、明文ある区別に関しては厳しく判断すべきである。
    そして、本件は女性という「性別」に関する区別であるから、厳格に判断すべきであり、本件制度が著しく合理性を欠くならば14条1項に違反すると考える。具体的には、制度の目的、意義、手段及び制約される権利の性質、意義、程度によって、合理性があるかどうかを判断すべきである。
  ウ 本件の目的について、女性の法曹人口が低いことから法曹養成の多様化を図るため、女性を多く入学させ、結果として法曹人口を増加させることは社会的意義も有するため、この目的は正当であり、重要である。
    この目的達成の手段については、入学制度において全体の90%については成績順で合格させ、残り10%について女性のみを対象として合格させている。
    確かにこれによって、女性の法曹人口の合格率はアップする可能性があるとも考えられる。
    しかし、これによって、181位以下の男子学生においては重要な権利である教育を受ける権利を制約される。入学制度が公表されていても、本件学生Bにとっては、専門性のあるA大学院に入学することを希望されており、他の大学院ではBの希望に適わないことから、BにとってはA大学院に入学すること自体が制約されているのである。
    また、A大学院は、女性が入学後、補修や補講、ゼミへの参加勧誘を積極的に行うことで、司法試験合格率をアップさせることができると考えられる。女性を入学させ、これによって母数が増加することにより合格率を上げることは余りにも間接的であるといえる。
    よって、目的達成手段は著しく不合理といえる。
  エ 以上から、本件入学制度は著しく不合理である制度といえ、14条1項に違反する。

以上

自己評価 C
評価 B


感想
訴訟選択は当事者訴訟のようなので間違った。しかし、記述した手段も完全な間違いとまではいえないだろうと思います。
しかし、裁量権の逸脱濫用(行訴法30条)な内容として違憲であるから、裁量権の逸脱・濫用というべきだったでしょう。
また、本当は設問1の憲法上の主張のところで、審査基準を立て違憲であるとのBの主張、設問2のところで、A大学院はそもそも司法審査権は及ばないということも書いて、Bが主張する平等原則違反には当たらない内容を審査基準、あてはめを詳細に書いて、最後に自身の見解をどちらかという風に示すべきだったのかもしれません。
しかし、予備校は、14条と女性優遇措置を厚く書くといっていたが、76条1項は必須だったと思うなぁ。
14条、76条1項、23条、26条1項を挙げているから、まだマシだったのでしょうけど。評価はあまりよくないでしょう。

結果を見たら、B判定。76条1項は不要だったみたいです。ただ、事実の評価はきちんとできたので、沈まなかったのかもしれません。

平成23年度予備試験論文再現(行政法)

2011年11月14日 22時54分06秒 | 行政法
第1 設問1について
1 本件不同意決定は抗告訴訟の対象たる処分(行政法3条2項)に当たるか。
2 「処分」は、法的安定性の要請、及び取消訴訟により取り消されるまで公定力(25条1項)が認められるので、このような取消訴訟の対象とすべき「処分」とは、公権力の主体たる国又は公共団体の行う行為のうち、その行為によって直接国民の権利義務を形成し、又は範囲を確定することが法律上認められていることをいうと考える。
  そして、これに当たるかどうかは、具体的に、①公権力性があるか、②直接法効果性があるか、という観点から判断すると考える。
3(1)①について
  本件処分は、乙町長が行政庁として行っているので、公権力性は認められる。
 (2)②について
  本件不同意がなくても、建築確認がある以上、Aは建築を開始できる。
  しかし、不同意のまま行うことは、本件条例7条1項から新築等の中止勧告、命令を受け、さらにこれに従わない場合には本件条例8条により公表をされるおそれがある。
  このような中止命令、公表という処分を受けることは、民間企業であるAにとっては、本件条例において罰則規定がないとしても信用を失う著しく不利益を受けることになる。
  また、不同意に処分性を認めなければ、このまま建築を続け命令、公表がされるのを待って初めて取消訴訟を提起することになるので、これは非常に不安定な地位に立たされることになる。
  よって、このような地位に立たされるという直接法効果性が認められるため、②を満たす。
4 以上から、本件不同意決定は抗告訴訟の処分に当たる。

第2 設問2について
1 Aは不同意決定の①取消訴訟(行政法3条2項)を提起し、②同意決定を義務付ける訴訟を併合提起し(3条6項2号、37条の3第1項2号)、さらに③中止命令、公表という処分を差し止める訴訟(3条7項2号、37条の4第1項)を提起すべきである。
2 取消訴訟について
 (1) 処分性は認められる。
 (2) Aは申請をした本人であり原告適格が認められる(9条1項)。
 (3) 被告は乙町長が属する乙町である(11条1項1号)。
 (4) 出訴期間は、知ったときから6カ月であるが(14条1項)、本件不同意決定の通知は2011年2月18日に行われており、2011年8月18日までに行えばよく、現在は2011年7月上旬であり認められる。
 (5) 本件不同意決定の処分があり、建築を開始すれば中止命令などがなされるため、訴えの利益もある。
 (6) さらに、乙町を管轄する地方裁判所へ訴えてきすれば満たす(12条1項)。
 (7) 以上から、不同意決定の取消訴訟は認められる。
2 Aはさらに、同意決定という「処分」を義務付ける訴えを提起するべきである。
 (1) Aは申請者であり原告適格を満たす(37条の3第2項)。
 (2) 取消訴訟との併合提起をしており認められる(同3行2号)。
 (3) 他の被告適格や出訴期間等については、取消訴訟と同じであり認められる。
3 Aはさらに、建築を開始するために、中止命令、公表がされないように差し止めの訴え(37条の4第1項)を提起すべきである。
 (1) 「重大な損害を生じるおそれ」ある場合に限り認められる(37条の4第1項)。
    これは、本来行政側の処分を、裁判所が強制的に停止させるものであるため、必要性がなければ認められないことを規定したものと考える。そこで、金銭賠償による保障を甘受すべきでなく、金銭賠償では償えない損害が生じるおそれがあるかどうかにより判断すべきである。
    本件において、中止命令、公表がなされると前述のように民間企業たるAにとっては取り返しのつかないものであり、金銭賠償では償えない損害となる。
    よって、重大な損害が生じするおそれがあるといえる。
 (2) Aは申請者であり、建築を開始しようとしている者であるから法律上の利益があり、同3項を満たす。
 (3) 以上から、差し止めの訴えは認められる。
4 したがって、Aは①②③の訴えを提起すべきである。

以上


自己評価 B
評価 A


感想
処分性の判断において、少し薄いと思います。
また、問題は、乙町長の同意を得るためとあるのに、差し止め訴訟を書いたのは問いに答えていませんので、減点のおそれがあります。問題を読んでいないと怒られますね。
それ以外は一応の水準は満たしていると思いますが、憲法との兼ね合いから中間ぐらいの成績だと思いました。
しかし、蛇足は採点されない無害的記載事項が証明されました。

平成23年度予備試験論文再現(刑法)

2011年11月14日 22時53分52秒 | 刑法
第1 乙に対する同意殺人について
1 甲は、乙の「嘱託を受け」、乙を殺意を持って首を絞め、結果として乙を殺害しているため、同意殺人罪(202条後段)が成立する可能性がある。
2(1) しかし、乙の直接の死因は、窒息死ではなく、一酸化炭素中毒死であり、因果関係が認められるか。
 (2) 因果関係は、社会通念に従って類型化された構成要件要素であるから、条件関係を前提に相当な因果関係があったかどうかで判断すべきである。
    そして、相当かどうかの判断については、偶然事情を排除し、行為者が認識していた事情を取り入れる必要があるため、一般人が認識し得た事情及び行為者が特に認識していた事情を基礎に、行為時に一般人を基準として判断すべきであると考える。
 (3) 本件において、首を絞めた状況があり、その後乙は生きていたにも関わらず甲が放火して一酸化炭素中毒で死亡している。しかし、甲は乙は死んだものと考えており、乙が生きていたとの認識は甲はしていないため、この事情は含まれない。しかし、犯罪者が殺害後、その証拠を隠滅するため、放火することは犯罪類型上可能性が高いと考えられ、一般人は認識し得たものと考えられる。
    よって、一般人ならば認識し得た基礎事情としては、首を絞めたこと、その後犯人が放火したことであり、この基礎事情を基に一般人ならば被害者が死亡することはあり得たものと考えられ、相当因果関係が認められる。
3(1) しかし、甲は乙が生きていたことを認識していない。この場合にも構成要件的故意(38条1項本文)が認められるか。因果関係の錯誤の場合にも故意は否定されないか。
 (2) 故意責任の本質は、行為者が犯罪を認識し、反対動機を形成し得たのに、あえて犯罪を実現したことに対する重い道義的非難をすることができることにある。
    とすると、相当因果関係の認識がし得た以上、因果関係の錯誤において、故意は問題にならない。
 (3) よって、甲に故意は認められる。
4 したがって、甲は、乙に対する同意殺人罪が成立する。

第2 放火について
1 甲は、抵当権の実行を通知されており、「差押えを受け」、あるいは「物件を負担し」ている(115条)のであるから、「他人の物を焼損」したことになる。
2(1) しかし、乙は放火した際に生きていたのであるから結果的には現住建造物放火(108条)を行い、認識として非現住建造物放火罪(109条1項)を行ったことになる。この場合、故意は認められるか(38条2項)。
 (2) 故意責任の本質は前述したように、反対動機の形成をし得たのにあえて犯罪を実現したことに対する重い道義的非難である。そして、構成要件が異なっていても、重なり合いがある部分については、なお反対動機の形成がなしえたのであるから、重なり合いがある部分に対しては故意は否定されないと考える。
 (3) 本件において、現住建造物放火罪と非現住建造物放火罪は、建造物放火に関しては同じ構成要件であり、人が現住している建物かどうかに違いがあるだけである。よって重なり合いが認められる非現住建造物放火罪に関してはなお故意は認められるといえる。
 (4) よって、甲には非現住建造物放火罪が認められる。

第3 証拠隠滅罪について
1 甲は、自分が乙を殺した痕跡や乙が丙を殺した痕跡を消してしまいたいと考えているため、証拠隠滅罪(104条前段)が成立する可能性がある。
2 まず、甲が乙を殺した痕跡を消去しようとしたことについてであるが、104条は「他人の」とあり、自己の犯罪についての証拠を隠滅しようとすることは期待可能性がないことから、否定される。
3(1) では、乙に対しての証拠隠滅罪が認められるか。乙は死亡しているのであり、「他人の」とは死者も含むか。
 (2) ここで104条が保護しようとしている法益は、刑事司法作用を害する危険性を排除することにある。
    しかし、死者に関しては、公訴が提起できないため(刑訴法339条1項4号)、死者に対しての証拠隠滅罪は認められないと考える。
 (3) 本件において乙は死亡しているため、証拠隠滅罪は成立しない。

第4 以上から、甲には、乙に対する同意殺人罪(202条後段)、非現住建造物放火罪(109条1項、115条)の罪責を負い、両者は併合罪(45条前段)になる。


自己評価 B
評価 A


感想
相当因果関係のところで、条件関係のあてはめができていません。
また、因果関係の錯誤において故意を否定されないというのはこんな書き方で良かったのか不明です。理由になっていないでしょう。
客観的危険の現実化を書こうとも思いましたが、要件を知らないため、危険すぎると思ってやめました。
殺害行為をしたが、その後の海岸に捨て砂を吸い込んで死んだ場合をずっと考えていましたが、どうやって処理するかを思い出せませんでした。
証拠隠滅罪は刑事司法作用を出したなら肯定すべきだったかもしれません。また、公訴提起できないのではなく、公訴棄却になるので、ミスです。
死体損壊を書くかどうかかなり悩んみましたが、答案がぐちゃぐちゃになりそうでしたし、通常このような事案で見たことが無いなぁと思い、書きませんでしたが、書いて観念的競合にすべきでしたね。

この答案でAの評価がいただけたのはびっくりでした。

平成23年度予備試験論文再現(刑事訴訟法)

2011年11月14日 22時52分20秒 | 刑訴法
第1 設問1について
1 罪名について
(1) 本件捜索差押許可状(以下「本件許可状」という。)は、覚せい剤取締法違反との記載があるが、何条が適用されるかまでの記載は不要か。
(2) 刑訴法219条1項において、「罪名」との記載を要求したのは、憲法35条1項が「正当な理由」に基づかなければならないものとの規定から要求されている。
   そして、捜索差押は捜査の初期段階でなされ、流動的に変化するものであり、法の何条まで要求せずとも、何の法に違反したかまで判明できれば「正当な理由」に当たると考える。
(3) 本件においては、覚せい剤取締法違反と、何の法に違反したかが記載されており、何条まで記載していなくても219条1項に反せず適法である。
2 差し押さえるべき物の記載について
(1) 刑訴法219条項は「差し押さえるべき物」を要求しているが、本件許可状には、その他本件に関係ありと思料される一切の文書及び物件とあり、これを満たすか。
(2) 同条項は、一般令状を禁止したものであると考えられ、これは、被処分者の受忍限度の範囲を明らかにし不服申し立ての機会を確保させること(430条2項)、処分者の権限範囲を確定させることをその趣旨としている。また、前述のように捜索差押は捜査の初期の段階になされるため、厳格に求めることは、捜査の確実性、迅速性を害し、糾問的捜査のおそれがあることから、すべきではないと考える。
   とすると、罪名や他の例示物件と相まって差し押さえるべき物と特定できるのであれば、一般令状にはならず、適法と考える。
(3) 本件において検討すると、罪名は覚せい剤取締法違反の罪であり、例示として金銭出納簿、預金通帳、メモなどが記載され、これらの類似物件として差し押さえるべき物が特定されるといえる。
(4) よって、本件許可状の記載は適法である。

第2 設問2について
1 本件メモの差押えは本件許可状記載の「メモ」に当たるが、本件被疑事実は平成23年7月1日に乙に対して覚せい剤10グラムを30万円で譲渡したという事実であるが、メモには、平成23年6月30日、丙から覚せい剤100グラムを250万円で購入したという事実が記載されている。これは被疑事実と異なるが、本件許可状の効力が及び認められるか。
2 許可状は、例示物件から著しく外れた物を許可するものではない。しかし、著しく外れていない物については裁判所は司法審査をして認めているというべきである。そして、この著しく外れた物件に対する許可状の範囲が及ぶかどうかは、許可状記載の差し押さえるべき物との関連性、必要性を考慮して判断すべきであると考える。
3 本件許可状に記載されている覚せい剤取締法違反における法41条の2第1項には所持と譲渡、譲受をした者も含まれている。
  また、本件令状請求の被疑事実は譲渡であり、本件メモは譲受けであり記載内容が異なるが、覚せい剤を譲受け、これを譲渡したものと考えられる。
  さらに、被疑事実に関する内容を捜査するために甲が覚せい剤を譲り受けたルートを特定して、事実を明らかにして甲を起訴すべきであることから、被疑事実とは異なっていてもその関連性と必要性は認められるといえる。
4 よって、本件メモについては、被疑事実との関連性、必要性が認められ差押えをすることができる。

以上

自己評価 B
評価 A


感想
設問1についてはまあまあ書けたが、令状主義というキーワードは出していない。
設問2については書きたいことが分かりにくくなっている。強引過ぎる書き方かもと思った。
関連性と必要性を書けばよいだろうという考慮しか働かなかった。

平成23年度予備試験論文再現(一般教養)

2011年11月14日 22時51分40秒 | 論文
第1 設問1について
 福沢は価値相対主義ではないとは、時代の変遷において、当時の文明の相互の価値を比較検討するという思想ではないという意味という。また、文明の極致、人類の最高の状態を定義し、これによって、人類史を相対化するとは、最高の状態を絶対的な基準と福沢は考えており、この基準と人類史が歩んできた各時代の文明の状態を比較するという意味をいう。すなわち、筆者は、福沢の思想は人類の最高の状態という絶対的基準を設け、この状態と人類史の各時代の文明の状態を相対的に比較するという、価値絶対主義者であると考えている。

第2 設問2について
1 人の知徳を進歩とする文明の進歩を一義的に計測する基準は、福沢が有しているのと同じく人類の最高の状態という絶対的基準が考えられる。
2 これに対しては、そのような基準は理想的であり、到底実現不可能であるため、基準としては不適当であるとの反論が考えられる。
3 しかし、文明の進歩は徳と智、道徳性と知的能力との両面で人々が高尚になるっていくことであり、その限界である極限状態は存在する。
  そして、この極限状態には、到達すべきものであり、文明が進歩していけば必ず到達するといえる。
  すなわち、この極限状態を基準とし、現在の文明の進歩状況と比較し、その差をなくすべく努力し、考慮し、実現していくことによって、極限状態に近付くことができる。
  とすると、この状態を理想的、実現不可能とは必ずしもいえないといえる。
  人類は、この極限状態に近付くために現在の文明状態を把握し、近付く努力をするという、絶対的基準である人類の最高状態を目指すことになる。
  したがって、文明が進歩しているかどうかの一義的基準は存在する。

以上


自己評価 C
評価 E


感想
設問1はそれほどおかしなことは書いていないと思います。ただ、後から、見解ではなく、福沢に対する説明にしかなっていないと思いました。
設問2はよくわかりません。反論があまり反論になっていないようにも思いますし、批判が少ないとも思います。

最悪の結果でした。
私には短答を含め一般教養は無いみたいです。

平成23年度予備試験論文再現(民事実務基礎)

2011年11月14日 22時50分40秒 | 論文
第1 設問1について
1 XはAY間の代金債権を譲り受けている。これを請求するための請求原因事実としては、まずAY間の債権原因事実が必要となる。
  そして、AY間の契約は、金銭消費契約(民法587条)であるから、a返還の合意、b金銭の交付が必要となる要物契約である。
  また、弁済期が必要となるので(民法591条1項参照)、c弁済期の合意が必要となる。さらに、特定するためにd契約日時が必要となる。
  よって、①は、d日時の特定があり、AY間でc弁済期の合意があり、100万円の交付というb金銭の交付があり、a返還の合意がある。
  したがって、これで足りる。
2 AX間で代金債権を譲渡したということについては、AX間の売買契約であるから(民法555条)、a財産の移転を約し、b代金支払いの合意があったことで足りる。また、特定のためにc契約日時も必要となる。
  よって、②は、c契約日時、AX間でa目的物である代金債権を移転することを約し、b80万円で売ったという合意がある。
  したがって、これで足りる。なお、80万円を交付したかどうかは、売買契約の本質ではないため不要である。
3 ①で契約した弁済期の到来によって貸金返還請求権が発生するため、弁済期の到来が必要となる。
  よって、③が必要になる。
4 なお、債権譲渡の通知(467条1項)は、相手方の利益となり、抗弁事由に当たるため、請求原因事実としては不要である。

第2 設問2について
甲説は消滅時効が経過しても時効の援用をするまでは効果が生じないとする不確定効果説における停止条件説である。一方、乙説は、消滅時効の経過により確定的に生じているが、訴訟上で主張しなければ認められないことになる。これらは効果がどのように生じるかについては異なるが、援用する(民法145条)という観念の通知に関して訴訟上主張することは同じとなるため、主張すべき事実に違いはない。
なお、乙説は、訴訟上における攻撃防御方法であるから、時機に遅れた攻撃防御方法として却下される場合(民訴法157条1項)があり得るが、甲説においても信義則上、却下される可能性があるため両説の効力は変わらない。

第3 設問3について
1 ①について
(1) 証拠調べは必要である。
(2) その理由は、①はXがYに対して請求しているのであり、消滅時効の前における請求として時効が中断する(民法147条1号)。
   そして、これは、抗弁事実と両立し、抗弁事実から発生する法律効果を障害し、請求原因事実から生じる法律効果を復活させるため再抗弁に当たる。
   よって、証拠調べが必要になる。
2 ②について
(1) 証拠調べは必要である。
(2) その理由は、②はYがXに対して消滅時効後の債務の承認を行っている。これは明文ないが、Yが消滅時効を知っていた場合には、期限の利益を喪失したことになるし(民法146条)、知らなかったとしてもXは消滅時効を援用されることはないと考えるため、信義則上(民法1条2項)、消滅時効の援用をすることはできないと考える。よって、債務の承認をしたという事実は、抗弁事実と両立し、抗弁事実から発生する法律効果を障害し、請求原因事実から生じる法律効果を復活させるため再抗弁に当たり、証拠調べが必要になる。

第4 設問4について
1 裁判官Jは、資料にある領収証の真正性を確認する必要がある。領収書のような文書は、形式的証拠力と実質的証拠力が必要であるが、形式的証拠力があることを前提として実質的証拠力を検討する。
  そして、領収証のA名義の印影がAの印章によって顕出されたものであれば、これはAの意思に基づいて作成されたという事実上の推定が働き、合理的疑いを入れない限り認められるという一段目の推定が働く。
2 さらに、領収証のA名義の印影がAの印章によって顕出されたものであれば、民訴法228条4項によって、文書全体が真正に作成されたものであるという実質的証拠法則が働くという二段目の推定が働く。
3 これら一段目の推定と二段目の推定を合わせて二段の推定と呼び、これを確認するために裁判官Jは本件のような質問をしたものと考えられる。

第5 設問5について
1 本件弁護士Pは、相手方Yに直接電話を掛けて交渉しようとしている。これは弁護士職務基本規程52条、70条、71条に反しないか。
2 弁護士は信義誠実に職務を行わなければならず(同5条)、相手方弁護士の名誉と信義を重んじ(70条)、「信義に反して他の弁護士を不利益に陥れてはならない」(71条)。
  そして、弁護士の行為が相手方を不利益にさせるような交渉をしてはならないが、「信義に反」せず、「正当な理由なく」(52条)、相手方を不利益に陥れないで交渉をする限りにおいては、認められると考える。
3 本件において、弁護士Qが海外出張をしており2週間不在である。Pとしては早期に紛争解決を望んでいるのであるから、相手方を不利益に陥れない限りにおいて、「信義に反」せず、「正当な理由」があるといえ、認められるといえる。

以上


自己評価 C
評価 刑事実務と合わせてB

感想
設問1はこのような書き方がだと、日時の特定も要件事実になっていますね。
日時の特定は時的因子でしたっけ。時的因子ではないので要件事実としては不要ですね。
設問2は援用の事実の主張を要するかどうかですので評価は低いと思います。
設問3は①については、返済するように求めており、Yは返済しなかったとのことですから請求と思いましたが、判例、通説は催告ですね。
しかも、Yの言い分としてあの金はもらったものだと言っているので、請求に当たらないですね。
設問4は二段の推定について詳しく書きましたが、事案には即していない気がします。
設問5は残り5分で52条を発見したので、文の挿入をたくさんし、不自然な書き方になってしまいました。

解いた時間はだいたい70分ぐらいでした。

平成23年度予備試験論文再現(刑事実務基礎)

2011年11月14日 22時40分31秒 | 論文
第1 設問1について
1 甲は自身の弁解でキャリーバッグを持っていったことを述べているが、客観的事実からも認定する必要があるため、キャリーバッグをベンチから持ち去った人物であることを認定する。
2(1) 防犯カメラ1の画像から、白髪の男性が手荷物もなく、紺色のスーツを着て午後1時5分にA駅ホームに到着し、降りていたこと、甲の所持品として、「B駅→A駅」の乗車券が1枚あり、これはPM0時55分に購入されたこと、A駅とB駅の所要時間は約3分であること、事案1から白髪の男性が手ぶらで紺色のスーツを着てホームをうろついていることから、甲は、午後1時5分にホームに到達した電車から降りた男性と同一人物であると認定ができる。
 (2) 防犯カメラ2から乙とは別の紺色のスーツを着た男性が何回も乙の前を往復していること、事案1から乙と甲は何回も目が合っていることから、この男性は、甲であることが認定できる。
 (3) キャリーバッグがなくなった後、乙はBのロゴ入りのキャリーバッグを引いている白髪の身長180cmで紺色のスーツを着ている男を見つけ、声をかけた後、走り出そうとした人物は事案1で乙が見た甲と同じであり、この男性は甲であると認定できる。
3これらの客観的事実から、甲がキャリーバッグを持ち去った人物であると認定ができる。

第2 設問2について
1 乙の占有の事実について
(1) 乙の占有の有無は甲の窃盗罪(刑法235条)と占有離脱物横領罪(同法254条)のいずれが成立するか異なる。
   占有は、事実上の支配のことをいい、①客観面である占有の事実と、②主観面である占有の意思から構成される。そしてこれらは別々のものではなく、互いに相関関係にあると考える。また、事実上の支配があるかどうかをこれらについて考慮することは、早急に回復が可能であったかどうかということを考慮することになる。
   以上を前提として検討する。
(2) 肯定する方向に働く事実
  ア 乙がホームのベンチにキャリーバッグを置いて15m先の売店に買いに行った事実
  理由 すぐに乙は戻ってこれる距離にありキャリーバッグの事実上の支配を早急に回復できるといえ、①を満たし、占有の事実を肯定する方向に働く。
  イ 丙と話しベンチから反対方向に5m歩いてすぐに思い出して振り返った事実
  理由 丙との会話後5m歩いてすぐに思い出していることから、早急に回復できる状態であったといえ、②を満たし、占有の意思を肯定する方向に働く。
(3) 否定する方向に働く事実
  ア 乙がホームの売店で買うために5分かかった事実
  理由 5分という長い間、ホームという不特定多数の者が行き交う場所を考慮するとキャリーバッグの事実上の支配を早急に回復できるとはいえず、①が否定され、占有の事実を否定する方向に働く。
  イ 丙との会話に夢中になり、ベンチにあるキャリーバッグを忘れていた事実
  理由 丙との会話に夢中になって忘れていたのは、その間は早急に回復できる状態になかったので、②が否定され、占有の意思を否定する方向に働く。
(4) 結論
  肯定すべきである。
  15mの距離の売店で5分間待ったこと、また、丙と話していて反対方向に5m歩いたとしてもキャリーバッグにはすぐに戻ってこれる距離であり、早急に回復できるといえ、①占有の事実は否定されない。
  また、丙との会話に夢中になり一瞬忘れていたとしてもすぐに思い出しており、どこにあったかも覚えているのであるから、早急に回復できると言え、②占有の意思は否定されない。
  したがって、乙の占有は肯定すべきである。
2 窃盗の故意について
(1) 窃盗の故意がなければ犯罪は成立しない(刑法38条1項本文参照)ため、誰かの占有があり、占有侵害の意思と窃盗をすることについて、認識、認容していたかどうかを認定する。
   以上を前提として検討する。
(2) 肯定する方向に働く事実
  ア 甲は手ぶらでA駅にきており、置引の前科2犯がある事実
  理由 手ぶらでA駅をうろつき、過去に同種の犯罪を犯していたのであり、今回も同じく置引をしたものと考えられ、占有を侵害する認識、認容があったといえ、肯定する方向に働く。
  イ 乙に追いつかれ、乙を見た途端、逃げ出そうとした事実
  理由 取り返されるのを防ぐために、キャリーバッグを持ち上げていること、乙とは何度も目が合っておりキャリーバッグは乙の持ち物だと認識していたから逃げ出そうとしたと考えられ、占有の侵害、窃盗をしようとしていたという認識、認容を肯定する方向に働く。
(3) 否定する方向に働く事実
  ア 甲は執行猶予中の身であるという事実
  理由 執行猶予中の者がさらに犯罪を犯すと執行猶予の取消のおそれがあり(刑法25条2項)、実刑判決を受ける可能性があることから、窃盗をしようという認識、認容がなく故意を否定する方向に働く。
  イ 乙の持ち物と分かったのですぐに返したという事実
  理由 誰かのキャリーバッグだと思っていたので駅の事務所に持っていこうとしていたのであり、窃盗をする認識、認容を否定する方向に働く。
(4) 結論
  肯定すべきである。
  甲は最近の前科について執行猶予中であったが、それ以前にも同じ置引をしており、実刑を受けても構わないと考えているといえる。また、乙にキャリーバッグを返しているのも乙の携帯電話がなったので乙の物だと判明した以上、観念して返したものと考えられ、窃盗の故意を否定することはできない。
  したがって、甲に窃盗の故意が認められる。

以上



感想
設問1の犯人性の認定は、近接所持については書いていません。
設問2の占有の事実に関しては上手く書けたと思いますが、窃盗の故意についてはどのように書いていいかが分からずこれでいいのか不安でした。
民事実務がボロボロだったので、刑事実務では多少評価はよかったのかもしれません。

解いた時間は90分ぐらいです。

70分+90分で160分でした。試験時間180分のうち20分ぐらい余りました。

平成23年度予備試験論文再現(民法)

2011年11月14日 21時30分03秒 | 民法
第1 Dの所有権について
1 DがCに対して甲土地の明け渡し請求をするには、Dが甲土地の所有権を有する必要がある。
2 AB間の取引は、仮装譲渡であり、通謀があるため、通謀虚偽表示として無効であるのが原則である(民法94条1項)。
  しかし、これでは取引の安全を害するため、通謀による法律関係を前提に利害関係を有するに至った者は、94条2項の「第三者」として保護されることになる。
3 DはAB間の通謀虚偽表示のより生じた法律関係を前提に利害関係を有するに至った第三者であるから、94条2項により所有権を取得する。

第2 Cの乙建物の権利について
 Bは甲土地について無権利者であったが、乙建物を建て保存登記をし、Cに譲渡して、Cに所有権移転登記をしている。
 よって、Cは建物自体について所有権を有する。

第3 Cの甲土地の利用について
1 Cは建物所有で甲土地を無権利者Bから賃貸借契約をしている。Cは悪意であるが、悪意であっても他人物賃貸借も有効であることから(559条、560条)、BC間の賃貸借契約は有効である。
2(1) しかし、Aが死亡したことにより、Bは権利義務を包括承継している(896条本文)。無権利者が本人を相続した場合、BC間の取引は有効にならないか。
 (2) 本人に無断で処分した場合であっても、本人を相続した場合は取引の保護から、信義則上(1条2項)、無権利者は本人の地位に基づいて処分の効力を否定することはできない。また、相手方を保護する必要があるが、他人物賃貸借の場合には悪意者は解除できないことから(561条、562条参照)悪意の賃借人を保護する必要が無く、無権代理人が本人を相続したのと同様に、無権利者が本人を相続した場合には、当該処分は当然に有効になると考える。
    もっとも、この場合に善意の第三者を保護する必要があることから、当該処分の前に利害関係を有するに至った善意の第三者に対しては、この者を保護すべく当然には有効にならないと考える。
 (3) 本件において、CはBの無権利について悪意であったこと、BはAを相続していること、DはBC間の賃貸借契約に後に利害関係人になったのであるから保護されないことから、BC間の賃貸借契約は有効になる。
3 そして、賃貸借契約において、建物所有目的の場合は借地借家法の適用があり(同法2条1号)、登記ある建物をCは所有しているのであるから、対抗要件も具備している(同法10条1項)。

第4 177条について
1 DとCはBを起点として対抗関係にあることから177条の適用がある。
2 177条の「第三者」とは、登記の欠缺を主張する正当な利益を有する者が「第三者」に当たり、これは自由競争の枠内においては悪意であっても認められるが、自由競争の枠外となる背信的悪意の場合は、これを主張することが認められないと考える。
3 本件において、CはDが甲土地を所有する前にBと賃貸借契約をしたのであり、Dの存在自体を知らなかったのであるから、背信的悪意者には当たらない。

第5 以上から、Cは甲土地の賃貸借契約により土地を利用する権利があり、対抗要件も具備しているのであるから、Dの明渡請求は認められない。
 なお、当該結論は不当とも思えるが、Dは甲土地を購入する前に、乙建物は建っていたのであり調査をすればCの存在が分かったことから、これを怠ったとして過失が認められる以上、保護されないため結論は妥当である。

以上


自己評価 C
評価 B

感想
Dは賃貸借契約付きの甲土地を購入したとかを記載すればよかったかと思いました。
116条については書くことを最後まで考えましたが、116条の第三者はここには当たらないと考え書きませんでした。
無権利者が本人を相続した場合の説明は回りくどくなっています。
Cが利用権を取得したことと、Dが所有権を取得していることとの関係を記述していないのはミスです。

ただ、今回は無断で他人物賃貸借をした賃借権がある所有権を取得したDであり、その後にCは賃借権を取得しただけであり、遡及は認められず、Dへの対抗はできないとして、Dを勝たせるのが一番筋がよかったんでしょう。

解いた時間は60分ぐらいです。