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「馬場亜里と40本の倒木」展

 フレドリック・ブラウンだったかジョージ・バークリーだったかが、「誰も見ていない森の中で倒れた木は音をたてるか」と言ったらしい。

 哲学的な議論は良くわからないが、樹齢数千年の老木が人知れず倒れることを想像するだけでも、心にどしんと響くものがある。

 生物にとって生命は、生きるか死ぬかの重要な問題だ。それだからこそ、寿命があることによる生じる美というものも、明らかに存在する。

 友人の新進写真家、馬場さん、仲間内ではアリさんと呼んでいるのだが、はその倒木に魅せられた一人だ。

 亜里さんのお気に入りは長野県の麦草峠付近らしい。コメツガが群生しているこのあたりは火山性の土壌で、岩ばかりごろごろしている土地。そのため木々がしっかり根を張ることが出来ないのだ。



 ここでコメツガが成長していくと、50年ほどで根が自重を支えられなくなってしまい、倒れてしまう。本来の寿命を全うせずにである。





 アリさんの心を打ったのはここだという。自らの成長が自らの寿命を短くしてしまう。それでも上に上に伸び続ける木々を撮り続けているのだ。


 銀座のギャラリーで馬場アリさんの個展が開かれる。40枚の倒木の写真を集めた「馬場亜里と40本の倒木 Ali Baba and the Forty Tobokus」展は11月3日(木)から。機会があれば是非ご覧になってください。



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