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好きなことだらけさ…

『五日物語―3つの王国と3人の女』

2016年12月02日 | 映画 洋画

3つの王国が君臨する世界。
不妊に悩むロングトレリス国の女王(サルマ・ハエック)は“母となること”を追い求め、
魔法使いの教え通り、国王(ジョン・C・ライリー)の命と引き換えに得た
怪物の心臓を食べて美しい男の子を出産する。
やがて成長した彼は、同じ怪物の心臓のもと生まれた
下女の息子と兄弟のような友情に結ばれながら親離れの年頃となるが、
女王はそれが不満でならなかった……。
人目を避けて細々と暮らす老婆の姉妹。
好色なストロングクリフ国の王(ヴァンサン・カッセル)にその美しい声を見初められた姉は、
不思議な力で“若さと美貌”を取り戻し、妃の座に収まる。
しかし、見捨てられた妹もまた若さと美貌を熱望していた……。
まだ見ぬ“大人の世界への憧れ”を抱きながら
王(トビー・ジョーンズ)と共に城で暮らすハイヒルズ国の王女は、
城の外に出ることを切望していた。
そんなある日、王は、屈強で醜いオーガ<鬼>を彼女の結婚相手に決める。
華やかな城から連れ出され、鬼の住処で過酷な生活に耐えながら、
王女はそこから逃げ出す機会を伺っていた……。
(MovieWalkerより)


見応えのあるダークファンタジーでした。メチャメチャ好みですw

元になったお話はイタリアの民話集「ペンタメローネ」だそうです。
51話のお話が入っていて、シャルル・ペローやグリム兄弟に影響を与え、
「シンデレラ」や「白雪姫」、「長靴をはいた猫」などの原形だそうです。
官能や暴力を排除してない毒々しさを含んだ物語。

その映像化はインパクトのある赤が基調。
石造りの荘厳なお城に佇む赤いドレス、
緑深い森に広がる赤い、あれはベッドカバーかな?
真っ白な居室で喪服の黒いドレスのまま、
調理されてるとはいえ、まだ血が滴ってるような
怪物の真っ赤な心臓にかぶりつく女王。
ゴシック調の衣裳に身を包んだワンシーン、ワンシーンが
絵画を見るような気分にさせる。

3つの国の居城はイタリアに実際にある
デルモンテ城、ドンナフガータ城、ロッカスカレーニャ城。
王が怪物を倒すアルカンタラ渓谷、老婆が若返るサッセートの森、
王女が鬼と暮らすソヴァーナの洞窟。
これらは聖地巡礼したくなるほど。

魔法使いが出てくるおとぎ話なのに、女の普遍的な欲望を描く寓話。
どんな教訓が得られるかは観てのお楽しみです。