秘書検定 57*応対(1級) (4)不在理由の説明

2015-01-20 | 秘書検定
 前回は、来訪されたお客様を出迎え、お名前と予約の有無を確認するところまでお話しいたしました。

面会をご希望のお客様に対して、上司は不在、もしくは在社していても面会不可という設定ですから、

秘書としては、まずは丁重にお詫びをします。

【予約がある

「中村様、お約束いたしておりながら、誠に申し訳ございません」(45度の分離礼)

【予約がない

「中村様、せっかくお越しくださいましたのに、誠に申し訳ございません」(45度の分離礼)


 次に、予め提示された課題内容に沿って、理由を説明します。

過去問から予想し得る不在理由をいくつか挙げて、それに見合った来客への説明を考えてみましょう。


【 「そこまで出かけて来る。客が来るまでには戻る」  予約のある客が来訪 】

「山田は外出が長引いておりましてまだ戻っておりませんが、お待ちいただくお時間はおありでしょうか」


【 ただいま会議中  会議が終わりしだい外出  予約のない客が来訪 】

「本日山田は立て込んでおりまして、お会いする時間が取れそうもありません。

 後日、改めてお約束いただくわけには参りませんでしょうか」


【 「疲れたので休みたい」  予約のある客が来訪 】

「山田は急用のため、ただいま席をはずしております。

しばらくかかると申しておりますが、いかがいたしましょうか」
(「いたす」 のは秘書A子です。 お客様の意向を尋ねるなら、「いかがなさいますか?」)


【 予約客を待っている間に常務が訪ねて来て話している  遅れて来訪 】

「先ほどまでお待ちしておりましたが、急な打ち合わせのため、ただいま席をはずしております。

 お待ちいただいて、終わりしだいご案内申し上げるということで、よろしいでしょうか」

 
【 「ちょっと書店に行く」  来客の予定を忘れている  予約客が遅れて来訪 】

「山田は外出が長引いておりまして、帰社が遅れております。

 それほど時間はかからないと存じますが、しばらくお待ちいただけませんでしょうか」


不在理由を述べる際には、たとえ課題文に書かれていても、そのまま伝えてはいけない ワードがあります。

【外出】
  「外出先での 用件が長引いております
  「列車の事故で、出張先からの帰社が遅れております」

  「おみえになることを 忘れてしまった ようでございます」
  「書店に行った だけですので、すぐに戻ると思います」

【多忙】
  「予定が立て込んでおりまして、お会いする時間が取れそうもありません」

  「忙しい ため・・・」 「あわただしい ので・・・」

【疲労】
  「急用のため、ただいま席をはずしております」 
 
  「少し 疲れた ようでございます」

【緊急・急病】
  「急な出張のため、本日は戻らないとのことでございます」

  「緊急事態 のため・・・」 「持病が悪化 いたしまして・・・」

***************************************************************************************

 お詫びをして不在理由を説明するという場面ですから、笑顔で応対するのは不自然ですが、

かといって、眉間にシワを寄せたり悲痛な表情になるのも、決して美しいものではありません。

上司に取り次げないという設定で応対を行なうことが予め分かっている以上、

上級秘書として求められる、品位ある 「恐縮の表情」 を、鏡の前で工夫してみませんか?


お読みくださいましてありがとうございます。 クリックしていただけますと励みになります。
にほんブログ村 資格ブログ 秘書検定へ
コメント (2)

秘書検定 56*応対(1級) (3)「名乗り」 と 「予約」 の有無

2015-01-12 | 秘書検定
 「いらっしゃいませ」 と言って来客を出迎えるまでは、いずれのケースでも同じですが、

そこから先は、予め提示された課題内容、そして面接官と受験者のやり取りによって変化します。

とはいえ、予想し得るパターンがありますので、落ち着いて応対することを心がけましょう。

ここでは、私が受験した際に指定された、「あなたは山田部長の秘書です」 から、上司の名前は 「山田」、

そして来客役の面接官の名札に書かれていた 「ABC商事 中村」 という名前を用いることにいたします。


【来客が名乗る & 予約がある

 面接官 「私は ABC商事の中村と申しますが、山田部長様はいらっしゃいますか?」
  
 受験者 「ABC商事の中村様でいらっしゃいますね。 お待ちいたしておりました」


【来客が名乗る & 予約がない

 面接官 「私は ABC商事の中村と申しますが、山田部長様はいらっしゃいますか?」

 受験者 「ABC商事の中村様でいらっしゃいますね。
 
       恐れ入りますが、本日はお約束をいただいておりましたでしょうか」


【来客が名乗らない & 予約がある

 面接官 「山田部長様はいらっしゃいますか?」

 受験者 「恐れ入りますが、どちら様でいらっしゃいますでしょうか」

 面接官 「失礼しました。 私は ABC商事の中村と申します」

 受験者 「ABC商事の中村様でいらっしゃいますね。 お待ちいたしておりました」


【来客が名乗らない & 予約がない】     

 面接官 「山田部長様はいらっしゃいますか?」

 受験者 「恐れ入りますが、どちら様でいらっしゃいますでしょうか」

 面接官 「失礼しました。 私は ABC商事の中村と申します」

 受験者 「ABC商事の中村様でいらっしゃいますね。

       恐れ入りますが、本日はお約束をいただいておりましたでしょうか」

***************************************************************************************

予約の有無については、控室で読んだ課題文に書かれていますが、名乗るか否かは面接官しだいです。

名乗ったと勘違いして、名札を見ながら 「ABC商事の中村様でいらっしゃいますね」 と言ったり、

予約なしの設定なのに、「お待ちいたしておりました」 などと言ってしまわないよう、気をつけましょう。

また、予約の有無、名乗りの有無に関わらず笑顔で応対し、お辞儀のとき以外は前傾姿勢を保ちましょう。


お読みくださいましてありがとうございます。 クリックしていただけますと励みになります。
にほんブログ村 資格ブログ 秘書検定へ
コメント

秘書検定 55*応対(1級) (2)来客への挨拶

2015-01-08 | 秘書検定
 準1級の面接試験は3名一組で、1人目が3種類の課題を済ませて退室した後、2人目が行ないますが、

1級は2名一組で、課題ごとに面接番号の若い1人目が終えたら、そのつど着席して2人目が行ないます。

したがって、準1級の時のように横に移動することはありませんので、カニさん歩きになる心配はないのですが、

課題を終える度に歩いて席に戻って座り、また立ち上がって歩くという動作が加わります。

その姿も、面接官の目に留まることを意識しましょう。

良い意味での 「慣れ」 から、歩行や着席がスムーズになるのは大いに結構ですが、

逆の意味で 「慣れ」 てしまい、緊張感を欠くことのないよう気をつけたいものです。


 それでは、2人目の受験者が 「報告」 を終えた段階から順を追ってみましょう。

私が受験した際の記憶であり、試験の回によって異なる可能性をご了承の上、お読みくださいませ。

は、体験談によるアドバイスとして書き記します。


 受験者 「ご報告は以上でございますが、何かご不明な点はございませんでしょうか」

 面接官 「大体わかりました」

 受験者 「ありがとうございます」(15度の分離礼)
       着席を指示されたら 「はい」 と答え、姿勢よく歩いて席に戻って座る。


 
 面接官 「それでは、次は 『応対』 です。○番 (面接番号の若い1人目) の方からどうぞ」

 受験者 「はい」 と返事をして立ち上がり、指定される場所 (応対に適切な位置) まで進む。

 面接官 「私をお客様だと思って、『応対』 を行なってください」
       胸の名札に 「ABC商事 中村」 と書かれていたため、言い間違えずにすみました。

 受験者 「はい、かしこまりました」
       ここで笑顔になれれば、ご自分を落ち着かせることが出来ますよ。

 面接官 「それでは始めます」

 受験者  立つ姿勢、手の位置、指先まできちんと伸びているか、最終確認をしましょう。
 
 面接官 「ごめんください」 「こんにちは」 など

 受験者 「いらっしゃいませ」 (30度の分離礼)
       「こんにちは」 と言われても 「こんにちは」 と答えず、「いらっしゃいませ」 と言うようにと、
         秘書クラブの面接対策講座に参加した際、講師の方がおっしゃっていました。

*****************************************************************************************

 ここまでは、いずれのケースでも同じですが、ここから先は、来客の言葉や課題内容によって変わります。

次回は、来客の名乗りの有無、そして予約の有無によって異なる、最初のやり取りをお話しいたします。


お読みくださいましてありがとうございます。 クリックしていただけますと励みになります。
にほんブログ村 資格ブログ 秘書検定へ
コメント

秘書検定 54*応対(1級) (1)「応対」 と 「対応」

2015-01-02 | 秘書検定
 秘書検定を受験される方の中には、1級が最終目標とお考えの方も多くいらっしゃることでしょう。

面接試験の最後の課題である 「応対」 は、秘書検定における集大成とも言えるものです。

得てきた知識、身につけてきた言葉遣いや立ち居振る舞いを存分に発揮して、合格を目指しましょう。


 「応対」 の課題文は面接試験の直前に控室で読みますので、状況設定を知った上で臨むのですが、

お客様役の面接官と会話のやり取りをする中で、同じ設定でも、さまざまな方向に話が展開します。

たとえば、上司の不在を伝えた際に、お客様が待つのか、出直すのか、あるいは帰社して連絡を待つのか。

それによって受験者は次の言葉を選び、相応しい表情や立ち居振る舞いで 「応対」 しなくてはなりません。


 ところで、課題の名称として、準1級では 「状況対応」 、そして1級では 「応対」 と言いますが、

イメージが似ている 対応応対 の使い分けに、迷うことはありませんか?

自分なりの解釈ですが、私は次のように考えています。

 対応 = 「人や物事 に対して、主に行動 で応じること」

 応対 = 「 に対して、主に言葉 で応じること」

客の立場になって、お店に当てはめてみますと、

 「良い 対応」 = 手際が良く、トラブルやクレームに対しても適切に対処してくれる。

 「良い 応対」 = 店員さんの言葉遣いや立ち居振る舞いが丁寧で、感じが良い。

たとえば、「申し訳ございません。ただいま代わりの品をお持ちいたします」とお詫びをするのが 応対 で、

実際に代わりの商品を用意したり、差額の返金処理を行なうのが 対応 と考えております。

重なる部分、つながる部分の多い、対応応対

どちらも、お客様への心遣いが前提であることは、言うまでもありません。

 秘書検定1級の 「応対」 においても、準1級でクリアした 「状況対応」 が含まれているように思います。

来客への言葉遣いや立ち居振る舞い、さまざまな状況への対応、そして身だしなみや表情に至るまで、

文字通り、頭のてっぺんから足の先まで 上級秘書らしさ を求められますので、

秘書検定の締め括りとして、入念に準備をした上で、自信を持って臨んでいただくことを願っております。

 
お読みくださいましてありがとうございます。 クリックしていただけますと励みになります。
にほんブログ村 資格ブログ 秘書検定へ
コメント

秘書検定 53*状況対応(準1級)

2014-12-17 | 秘書検定
 「挨拶」 「報告」 と、二つの課題をこなしましたら、いよいよ 「状況対応」 です。

ご存知のように 「挨拶」 の言葉は決まっていますし、「報告」 も事前に知らされた内容を述べるものですが、

「状況対応」 は、その場で示された 「状況」 を理解し、それに相応しい 「対応」 をするという課題です。


 それでは、「報告」 を終えた段階から順を追ってみましょう。

 1 「ご報告は以上でございます」

 2 上司役の面接官から、「では、お隣へどうぞ」 と言われたら、「はい」 と答えて移動する

   横に移動する際、カニさん歩きにならないように

 3 状況対応担当の面接官の前に立って 「よろしくお願いいたします」(30度の分離礼)

 4 面接官 「私をお客様だと思って、こちら (パネル) を適切な言葉に直して応対してください」

 5 「はい」 と返事をして、前傾姿勢で黙読する

   読んでいる時、自分の表情や立ち姿、手の位置や指の伸ばし方を意識する
   眉間にシワを寄せる  困惑した表情を見せる  ブツブツと声に出して読む

 6 内容を確認したら、笑顔で 「はい」 とうなずいて正姿勢に戻る (パネルは伏せられます)

 7 面接官を見ながら 「状況対応」 を行なう

 8 面接官 「次はこちら (パネル) です」

 9 57 に同じ 

10 面接官 「ロールプレイング アドバイスシートです。今後の参考にしてください」

11 アドバイスシートを受け取り、「ありがとうございました」 (30度の分離礼)

    アドバイスシートは両手で受け取る
   アドバイスシートを無造作に折る  クルクル丸める  その場で読む

12 荷物を持ってドアの所まで歩いたら、面接官の方に向き直って 「失礼いたします」 (15度の分離礼)

    係の方がドアを開けてくださったら、「おそれいります」と言って会釈をする
    自分で開閉する際には、ドアノブが音を立てないよう静かに開け閉めする


 課題の内容が感謝や謝罪なら、それに相応しい表情やお辞儀の角度が必要ですし、

場所を案内するなら、指の揃え方や手の動き、そして視線にも秘書らしい振る舞いが求められます。

たとえば、「応接室にご案内いたします」 と言いながら歩くか、言い終えてから歩き出すか。

秘書としては、「 ~ しながら ~ する」 のではなく、ひとつひとつを確実に丁寧に行ないたいものですね。

********************************************************************************   

   さて、私に課された 「状況対応」 は、

  「うちの営業部には田中さんが二名いるが、田中課長だろうか?」

   というものでした。

   同じ職場に同姓のスタッフが在籍していることは、決して珍しいことではありませんが、

   そうとは知らずに来訪したり電話をかけたお客様は、困惑してしまうものです。

   実際、こんな事が・・・。

   私が某所に電話して、「○○さんはいらっしゃいますでしょうか?」 と尋ねたところ、

   「どちらの○○でしょうか?」 と聞かれて、困ってしまったことがあります。

   二人いるらしいということは分かりましたが、「どちらの」 と聞かれても答え様がありません。

   仕方ないので、「とてもキレイな方でしたが・・・」 と、答えになっていない答え方をしましたら、

   電話の向こうで、「ねえ、どっちがキレイだと思う?」 と、同僚に相談する声が聞こえてきたのです

   予め ○○さんが教えてくださっていたら、スムーズに取り次いでいただけたでしょうに。。
  
   電話は職場の力を示すバロメーター と言われています。

   電話をかけた側に発生する電話代  双方にかかる時間

   コスト面からも、丁寧な中にもテキパキとした対応を心がけたいものです。

   このようなケースでは、客観的な違いを提示することをお勧めします。

   性別 「男性の田中でしょうか? それとも女性の田中でしょうか?」

   名前 「田中一郎でしょうか? それとも田中次郎でしょうか?」

   漢字 「タナカのナカは、真ん中の中でしょうか? 人偏の仲でしょうか?」

   そして、私の課題にあった 役職 を尋ねる方法があります。

   「うちの営業部には、田中さんが二名いるが田中課長だろうか?」

   私は 赤い箇所謙譲語 に直して、お客様役の面接官に向かい、 

   「私共の営業部には、田中と申します者が二名おりますが課長の田中でございましょうか?」 

   お客様が聞き取りやすいよう、「田中」 と 「課長の田中」 を、特にゆっくりと述べました。

   面接試験に臨まれる方々の参考になれば幸いです。


お読みくださいましてありがとうございます。 クリックしていただけますと励みになります。
にほんブログ村 資格ブログ 秘書検定へ
コメント