お箸*18 らんちゅう

2017-09-27 | お箸の世界
 茶事を催す際に、亭主は掛け軸や茶碗、そして花を調えて客を迎えます。

茶会の目的に沿ったお軸を選び、客の顔ぶれを思いながら茶器を揃え、

季節の花を花入れに生けるひとつひとつが、おもてなしの心。

茶人 千利休は、さらに客の人数分の箸まで自らこしらえたと伝わっています。

客の手の大きさや持ちやすさを考えながら、小刀を扱ったのでしょうか。

そのお箸は両端が細く、真ん中あたりが太くて食べやすい形に作られ、

削り立てのため杉の香りも楽しめたお箸は、後に 「らんちゅう」 と呼ばれます。

利休の作り方になぞらえ、今も 「らんちゅう」 は、もともと2本に分かれています。


     
     箸帯を巻いた 「らんちゅう」


     
     箸帯をはずした 「らんちゅう」


 ところでこの 「らんちゅう」、漢字では 「卵中」 と書くようですが、

「らんちゅう」 と聞いて思い出すのが、金魚の 「ランチュウ」

お箸も金魚も、真ん中辺りが丸味を帯びている点が共通しているため、

もしや金魚から名前をとったのかしら?? というのが最初の印象でしたが、

どうやら金魚の方は 「蘭鋳・蘭虫・卵虫」 と漢字表記するようです。


 さすがに割り箸まで手作りすることは出来ませんが、

お客様を思いながらお箸を選び、お料理や季節に合わせて箸置きを用意する。

そんな心遣いは、日本ならではのおもてなしですね。


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