引越しをクライマックスに持ってくる(=別れが起承転結の「結」になっている)映画は沢山あるが、
冒頭に持ってくる(=「起」になっている)映画は、意外と少ない。
そのなかで印象的だったものをひとつだけ挙げるとするならば、やっぱりウォン・カーワァイの『花様年華』(2000…トップ画像)だろう。
チャウ(トニー・レオン)とチャン夫人(マギー・チャン)は、同じ日に同じアパートに引っ越してきた。しかも、隣り同士。
ともにパートナーが不在がちであるため、なんとなく親しくなっていくふたりは、やがて・・・という姦通の物語。
いま住んでいる団地、隣りの部屋がずぅぅぅぅぅぅぅぅぅぅぅぅぅぅぅーーーーーーーーーっと空き部屋なのだが、マギー・チャンみたいな暗いエロスを放つ女人がやってこないだろうか・・・と夢想することもしばしばである。
安い公社の物件は大人気、場合によっては抽選があるはずなのに、なぜずっと入居希望者が現れないのか?
下見にやってきて、隣りの部屋からザーメン臭がするからやめておいた、、、なんてことがない、とはいい切れないのが辛いぜ。
いったい、なんの話なのか。
そう、初めて部屋を借りたエピソードである。
地域(町田~多摩)も予算(5万円以下)も決まっていたので、悩むほど選択肢があったわけじゃない。
いや、いくつもの不動産屋を回って細かく調べれば選択肢も増えるのだろうが、ちゃちゃちゃっ、ばばばっ、と決めたかったので、回らずに一社目で契約を済ませた。
選択肢はふたつ、多摩市関戸の「平和荘」と町田市下小山田の「陽光台アパート」。
当時の自分は「平和」に嫌悪感を抱いて後者に決めたが、いまの自分だったら間違いなく「平和荘」に住んでいたと思う。逆説的なギャグとして、成り立ちそうだから。
さて。
「陽光台アパート」に決めたはいいが、問題は自分の無知さにあった。
担当のアンちゃんが「5千円以上で、預かり金を納めてもらえますか」などという。
「預かり金、、、ですか」
「はい」
「いま、必要なんですか」
「えぇ、そうです」
「常識、なんですか」
「・・・まぁ、そうですかね」
「・・・あの、」
「はい?」
「五百円、じゃ、ダメですよね」
アンちゃん、絶句。
「いま、持ち合わせがこれしかなくて・・・かといって、銀行で引き出せるかっていうと、残高は1000円以下でして」
「・・・少々、お待ちください」
アンちゃん、ボスと相談を始めた。
アンちゃんやボスにどう思われてもいいが、色白の受付嬢にビンボーと思われるのだけはイヤだなぁ、、、なんて。
「今日中に用立ててくれる知り合いのかたとかは、いらっしゃらないんですね?」
「そうですね、ちょっと無理かと」
「分かりました」
「あの、出直したほうがいいですよね、ちゃんとお金を持ってるときに」
「いえ、今回は、特例ということで」
「えっ」
「特例です、特例」
助かったが、やけに特例を強調するなぁ。
ほかにお客さんも居るし、ちょっと恥ずかしいじゃないか・・・と、無知な自分の所為なのに、腹なんか立てているのであった。
前アパートとなる「陽光台アパート」は、ゴルフをやるひとには有名らしい『東京国際カントリー』のすぐそばに建てられている。
ゴルフ場の端っこに、掘っ立て小屋がある感じ。
なぜこんなところに? と思うが、アパートになる前はゴルフ場の社員寮だったらしい。
なるほどねー。
イメージとしては、『どん底』の長屋風。
いや仕切りは「もちろん」あるのだが、場所が場所だからねー。
その証拠にデリヘル嬢を呼んだ際、彼女、なかなか部屋に入ろうとしなかったもんな、怖かったんだよ、たぶん。
そんな「陽光台アパート」も、いまはもうない。
木造、築ン十年ゆえ取り壊しが決定、住人たちは立ち退きを迫られ、そんな風にして自分は団地族になったのだが、それはまたべつの話だ。
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本館『「はったり」で、いこうぜ!!』
前ブログのコラムを完全保存『macky’s hole』
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明日のコラムは・・・
『酔いがさめたら、うちに帰ろ?』
冒頭に持ってくる(=「起」になっている)映画は、意外と少ない。
そのなかで印象的だったものをひとつだけ挙げるとするならば、やっぱりウォン・カーワァイの『花様年華』(2000…トップ画像)だろう。
チャウ(トニー・レオン)とチャン夫人(マギー・チャン)は、同じ日に同じアパートに引っ越してきた。しかも、隣り同士。
ともにパートナーが不在がちであるため、なんとなく親しくなっていくふたりは、やがて・・・という姦通の物語。
いま住んでいる団地、隣りの部屋がずぅぅぅぅぅぅぅぅぅぅぅぅぅぅぅーーーーーーーーーっと空き部屋なのだが、マギー・チャンみたいな暗いエロスを放つ女人がやってこないだろうか・・・と夢想することもしばしばである。
安い公社の物件は大人気、場合によっては抽選があるはずなのに、なぜずっと入居希望者が現れないのか?
下見にやってきて、隣りの部屋からザーメン臭がするからやめておいた、、、なんてことがない、とはいい切れないのが辛いぜ。
いったい、なんの話なのか。
そう、初めて部屋を借りたエピソードである。
地域(町田~多摩)も予算(5万円以下)も決まっていたので、悩むほど選択肢があったわけじゃない。
いや、いくつもの不動産屋を回って細かく調べれば選択肢も増えるのだろうが、ちゃちゃちゃっ、ばばばっ、と決めたかったので、回らずに一社目で契約を済ませた。
選択肢はふたつ、多摩市関戸の「平和荘」と町田市下小山田の「陽光台アパート」。
当時の自分は「平和」に嫌悪感を抱いて後者に決めたが、いまの自分だったら間違いなく「平和荘」に住んでいたと思う。逆説的なギャグとして、成り立ちそうだから。
さて。
「陽光台アパート」に決めたはいいが、問題は自分の無知さにあった。
担当のアンちゃんが「5千円以上で、預かり金を納めてもらえますか」などという。
「預かり金、、、ですか」
「はい」
「いま、必要なんですか」
「えぇ、そうです」
「常識、なんですか」
「・・・まぁ、そうですかね」
「・・・あの、」
「はい?」
「五百円、じゃ、ダメですよね」
アンちゃん、絶句。
「いま、持ち合わせがこれしかなくて・・・かといって、銀行で引き出せるかっていうと、残高は1000円以下でして」
「・・・少々、お待ちください」
アンちゃん、ボスと相談を始めた。
アンちゃんやボスにどう思われてもいいが、色白の受付嬢にビンボーと思われるのだけはイヤだなぁ、、、なんて。
「今日中に用立ててくれる知り合いのかたとかは、いらっしゃらないんですね?」
「そうですね、ちょっと無理かと」
「分かりました」
「あの、出直したほうがいいですよね、ちゃんとお金を持ってるときに」
「いえ、今回は、特例ということで」
「えっ」
「特例です、特例」
助かったが、やけに特例を強調するなぁ。
ほかにお客さんも居るし、ちょっと恥ずかしいじゃないか・・・と、無知な自分の所為なのに、腹なんか立てているのであった。
前アパートとなる「陽光台アパート」は、ゴルフをやるひとには有名らしい『東京国際カントリー』のすぐそばに建てられている。
ゴルフ場の端っこに、掘っ立て小屋がある感じ。
なぜこんなところに? と思うが、アパートになる前はゴルフ場の社員寮だったらしい。
なるほどねー。
イメージとしては、『どん底』の長屋風。
いや仕切りは「もちろん」あるのだが、場所が場所だからねー。
その証拠にデリヘル嬢を呼んだ際、彼女、なかなか部屋に入ろうとしなかったもんな、怖かったんだよ、たぶん。
そんな「陽光台アパート」も、いまはもうない。
木造、築ン十年ゆえ取り壊しが決定、住人たちは立ち退きを迫られ、そんな風にして自分は団地族になったのだが、それはまたべつの話だ。
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本館『「はったり」で、いこうぜ!!』
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明日のコラムは・・・
『酔いがさめたら、うちに帰ろ?』