~12年総括シリーズ Vol.4~
総括の第四弾は、小説・批評・ルポルタージュ・ノンフィクション・写真集・コミック・シナリオまで、すべてを含む「BOOK」。
今年、真の意味で「気合入りまくり」のシナリオを「何年かぶりに」書いていて、創作欲をさらに高めるため、刺激の強いBOOKを読み漁った。
・・・って、基本が微炭酸ではなく「強」炭酸が好みだから、いっつも刺激を求めているのだけれど。
だから、
一、刺激が強いこと
二、こっちが嫉妬するくらいの巧さ
が、選考基準となっている。
これは、毎年のこと。
(1)『木村政彦はなぜ力道山を殺さなかったのか』(増田俊也、新潮社)
700ページを超える、大長編ノンフィクション。
興味のないひとは「手に取ること」さえしないタイトルかもしれないが、
明治~平成までの柔道およびMMA(総合格闘技)の歴史を俯瞰しつつ、昭和の世相というものをまるごと捉えようとした、たいへんな、たいへんな労作。
「取材・執筆にン十年」とかいう論じかたは好きではないが、増田俊也の執念が「そうさせた」のだろう、ただただ脱帽する。
(2)『人間仮免中』(卯月妙子、イースト・プレス)
元AV女優の壮絶な半生を「敢えて」コミカルに綴るコミック・エッセイ。
ウンゲロミミズなAV出演、自死未遂、統合失調症・・・マイナス要素全開だが、緩めの描線と独特なユーモアによって一気に読ませる。
(3)『晴れのちツインテール』(日本ツインテール協会)
この協会にまんまと乗せられた自分は、現在、完全なるツインテール漬け。
そのきっかけを作ってくれた写真集。
(4)『その日東京駅5時25分』(西川美和、新潮社)
同年の映画監督が「あの戦争」と向き合った、新世代による戦争文学。
現在と過去を交互に語る構成が、まさに映画畑のひとという感じ。
しかもそれが、巧く作用している。
(5)『ゴーマニズム宣言SPECIAL 脱原発論』(小林よしのり、小学館)
政治性を帯び過ぎたチャップリンを批判的にみる向きが居るのと同様、『戦争論2』以降の「よしりん」に自分は違和感を感じ、しばらく読まずにいたのだが・・・。
これは、読んで正解だった。
推進派だろうが反対派だろうが、とりあえずこれ読んでから語ろうよ。
(6)『陽だまりの彼女』(越谷オサム、新潮社)…トップ画像
可愛らしい装丁に、甘い内容。
途中までは「自分向きではないかも・・・」と思ったが、最後まで読んで、さらに二度目を読んでみて、あぁなるほど、そういうことなのか、、、と唸った。
純粋なる小説という意味では、これが本年のベストワン。
(7)『封印されたアダルトビデオ』(井川楊枝、 彩図社)
いい企画なのに、なぜ発禁になったのか。
「なぜ」のすべてに答えてくれるわけではないが、親にばれたからというのは「よくある話」に過ぎず、この本に出てくるケースは事件性のあるものや国際問題に発展しそうなものがほとんどで、とってもスリリング。
ハダカをやるのも、楽じゃない。
(8)『黄金を抱いて翔べ』シナリオ(吉田康弘・井筒和幸・高村薫)
現在公開中の日本映画、そのシナリオ版。
高村薫の原作は、それはそれはよく出来ていて、映像化は難しいのでは・・・と思ったが、高村協力のもと、しっかりきっちり練りこんである。
お見事。
(9)『あんぽん 孫正義伝』(佐野眞一、小学館)
日本で最も信頼しているノンフィクションライターは吉岡忍と佐野眞一で、本作も「安心」して読めた。
佐野は問題となった「あの」橋下徹の評伝において共同執筆者とされているが、どの部分が佐野によるものなのかとか、そういう検証はしないのだろうか。
これからの仕事に差し支えはないのか、ちょっと気になるところ。
(10)『女子をこじらせて』(雨宮まみ、ポット出版)
「非モテ」(そうとも思えなかったが)な女子がAVライターとして生きるまでを綴る。
その業界に詳しいものとしては新味を感じることはなかったものの、女子の捉えるAVという視点が興味深かった。
(次点)『プロメテウスの罠』(朝日新聞取材班)
※『人間仮免中』紹介V
…………………………………………
本館『「はったり」で、いこうぜ!!』
前ブログのコラムを完全保存『macky’s hole』
…………………………………………
明日のコラムは・・・
『自分の「種」=カスくらい、ちゃんとゴミ箱に捨ててくれ』
総括の第四弾は、小説・批評・ルポルタージュ・ノンフィクション・写真集・コミック・シナリオまで、すべてを含む「BOOK」。
今年、真の意味で「気合入りまくり」のシナリオを「何年かぶりに」書いていて、創作欲をさらに高めるため、刺激の強いBOOKを読み漁った。
・・・って、基本が微炭酸ではなく「強」炭酸が好みだから、いっつも刺激を求めているのだけれど。
だから、
一、刺激が強いこと
二、こっちが嫉妬するくらいの巧さ
が、選考基準となっている。
これは、毎年のこと。
(1)『木村政彦はなぜ力道山を殺さなかったのか』(増田俊也、新潮社)
700ページを超える、大長編ノンフィクション。
興味のないひとは「手に取ること」さえしないタイトルかもしれないが、
明治~平成までの柔道およびMMA(総合格闘技)の歴史を俯瞰しつつ、昭和の世相というものをまるごと捉えようとした、たいへんな、たいへんな労作。
「取材・執筆にン十年」とかいう論じかたは好きではないが、増田俊也の執念が「そうさせた」のだろう、ただただ脱帽する。
(2)『人間仮免中』(卯月妙子、イースト・プレス)
元AV女優の壮絶な半生を「敢えて」コミカルに綴るコミック・エッセイ。
ウンゲロミミズなAV出演、自死未遂、統合失調症・・・マイナス要素全開だが、緩めの描線と独特なユーモアによって一気に読ませる。
(3)『晴れのちツインテール』(日本ツインテール協会)
この協会にまんまと乗せられた自分は、現在、完全なるツインテール漬け。
そのきっかけを作ってくれた写真集。
(4)『その日東京駅5時25分』(西川美和、新潮社)
同年の映画監督が「あの戦争」と向き合った、新世代による戦争文学。
現在と過去を交互に語る構成が、まさに映画畑のひとという感じ。
しかもそれが、巧く作用している。
(5)『ゴーマニズム宣言SPECIAL 脱原発論』(小林よしのり、小学館)
政治性を帯び過ぎたチャップリンを批判的にみる向きが居るのと同様、『戦争論2』以降の「よしりん」に自分は違和感を感じ、しばらく読まずにいたのだが・・・。
これは、読んで正解だった。
推進派だろうが反対派だろうが、とりあえずこれ読んでから語ろうよ。
(6)『陽だまりの彼女』(越谷オサム、新潮社)…トップ画像
可愛らしい装丁に、甘い内容。
途中までは「自分向きではないかも・・・」と思ったが、最後まで読んで、さらに二度目を読んでみて、あぁなるほど、そういうことなのか、、、と唸った。
純粋なる小説という意味では、これが本年のベストワン。
(7)『封印されたアダルトビデオ』(井川楊枝、 彩図社)
いい企画なのに、なぜ発禁になったのか。
「なぜ」のすべてに答えてくれるわけではないが、親にばれたからというのは「よくある話」に過ぎず、この本に出てくるケースは事件性のあるものや国際問題に発展しそうなものがほとんどで、とってもスリリング。
ハダカをやるのも、楽じゃない。
(8)『黄金を抱いて翔べ』シナリオ(吉田康弘・井筒和幸・高村薫)
現在公開中の日本映画、そのシナリオ版。
高村薫の原作は、それはそれはよく出来ていて、映像化は難しいのでは・・・と思ったが、高村協力のもと、しっかりきっちり練りこんである。
お見事。
(9)『あんぽん 孫正義伝』(佐野眞一、小学館)
日本で最も信頼しているノンフィクションライターは吉岡忍と佐野眞一で、本作も「安心」して読めた。
佐野は問題となった「あの」橋下徹の評伝において共同執筆者とされているが、どの部分が佐野によるものなのかとか、そういう検証はしないのだろうか。
これからの仕事に差し支えはないのか、ちょっと気になるところ。
(10)『女子をこじらせて』(雨宮まみ、ポット出版)
「非モテ」(そうとも思えなかったが)な女子がAVライターとして生きるまでを綴る。
その業界に詳しいものとしては新味を感じることはなかったものの、女子の捉えるAVという視点が興味深かった。
(次点)『プロメテウスの罠』(朝日新聞取材班)
※『人間仮免中』紹介V
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本館『「はったり」で、いこうぜ!!』
前ブログのコラムを完全保存『macky’s hole』
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明日のコラムは・・・
『自分の「種」=カスくらい、ちゃんとゴミ箱に捨ててくれ』