ほっとどっ「ぐ」→「ぐ」っどもーにんぐべとなむ(グッドモーニング・ベトナム)
皮肉というべきか、ベトナム戦争を描いた映画には傑作が多い。
その代表的なものを5つ挙げると・・・
初めてベトナム戦争を批判的に捉えたことで知られる『ディア・ハンター』(78)、
戦争だけでなく米国をまるごと描いてみせた怪作『地獄の黙示録』(79)、
実際に「あの地」で戦ってきたオリバー・ストーンがメガホンを持つ『プラトーン』(86)、
キューブリックの人間洞察が光る『フルメタル・ジャケット』(87)、
マイケル・J・フォックスに違和感を覚えるが、デ・パルマの野心で押し切った『カジュアリティーズ』(89)、
・・・と、なるだろうか。
90年代以降に、これらを超える作品が創られていないのが気がかり、、、ではあるが。
グッと範囲を広げて、「なんらかの形でベトナム戦争を背景にした」異色の映画にも傑作は多い。
同様に、5つ挙げてみる。
海兵隊員としてベトナムで戦ってきた男が不眠症と妄想に悩まされる『タクシードライバー』(76)、
ただ歩いていただけなのに陰湿ないじめに遭う帰還兵の物語『ランボー』(82)、
戦場で精神を壊した男が自分を「鳥」だと思い込む『バーディ』(84)、
ベトナム帰りの男が命知らずの刑事となって活躍する『リーサル・ウェポン』(87)、
そして、『グッドモーニング、ベトナム』(87)。
良質のドラマを撮ることに定評があるバリー・レヴィンソンが演出、人気俳優のロビン・ウィリアムスが主演している。
個人的には、ロビンの現時点における最高の主演作だと思う。
ラジオDJの視点からベトナムを捉えた物語。
テンションが高く、独特な笑いを届けるエイドリアン(ロビン)は兵士たちのこころを癒すが、情報管理の徹底しか考えていない上層部から問題視され始め・・・。
舞台のほとんどがラジオ局で展開されるため、サウンドトラックも凝りに凝っている。
この時代のロックだけでなくオールディーズも流れ、ひとつの音楽史としてもよく出来ているが、ハイライトはなんといってもサッチモの名曲が流れるこのシーンだろう。
主人公のエイドリアンは、実在する人物。
実際にAFVN(ベトナム米軍放送)で『DawnBuster』という番組を放送していた過去があり、映画はこれをヒントに撮られたという。
エイドリアンは民間人であり、現地のベトナム人ともふつうに交流を持つ。
そんな人物だからこそ見えてくる真実があり、映画は兵士と軍上層部とベトナム人のあいだでこころが揺れるエイドリアンを捉え、この戦争の矛盾と非情を暴いていく。
文人はペンで、映画監督はキャメラで、そしてDJはマイクで国家と戦っていた。
結果としては「負け戦」だったのかもしれない。
しれないが、その精神に感銘を受け、あとに続こうとするものも現れたことだろう。
99人がYES! という世の中で、ひとりだけNO! を突きつけるのは勇気の要ること。
『十二人の怒れる男』(54)のヘンリー・フォンダじゃないけれど、そんな勇気を持っているだろうかと(こんなキチガイザーメン野郎だって)自問自答することがある。
最後に、キャメラで戦い続けた若松孝二のことばを。
「たかだか映画で何ができるかわかりませんが、僕はせめて映画で戦うしかない。そして今、どうしてもやりたいのは東電の話。誰もやろうとしないから本気になってケンカしてやろうと思っています」
あすのしりとりは・・・
ぐっどむーにんぐべとな「む」→「む」らきとなみ。
…………………………………………
本館『「はったり」で、いこうぜ!!』
前ブログのコラムを完全保存『macky’s hole』
…………………………………………
明日のコラムは・・・
『シネマしりとり「薀蓄篇」(84)』
皮肉というべきか、ベトナム戦争を描いた映画には傑作が多い。
その代表的なものを5つ挙げると・・・
初めてベトナム戦争を批判的に捉えたことで知られる『ディア・ハンター』(78)、
戦争だけでなく米国をまるごと描いてみせた怪作『地獄の黙示録』(79)、
実際に「あの地」で戦ってきたオリバー・ストーンがメガホンを持つ『プラトーン』(86)、
キューブリックの人間洞察が光る『フルメタル・ジャケット』(87)、
マイケル・J・フォックスに違和感を覚えるが、デ・パルマの野心で押し切った『カジュアリティーズ』(89)、
・・・と、なるだろうか。
90年代以降に、これらを超える作品が創られていないのが気がかり、、、ではあるが。
グッと範囲を広げて、「なんらかの形でベトナム戦争を背景にした」異色の映画にも傑作は多い。
同様に、5つ挙げてみる。
海兵隊員としてベトナムで戦ってきた男が不眠症と妄想に悩まされる『タクシードライバー』(76)、
ただ歩いていただけなのに陰湿ないじめに遭う帰還兵の物語『ランボー』(82)、
戦場で精神を壊した男が自分を「鳥」だと思い込む『バーディ』(84)、
ベトナム帰りの男が命知らずの刑事となって活躍する『リーサル・ウェポン』(87)、
そして、『グッドモーニング、ベトナム』(87)。
良質のドラマを撮ることに定評があるバリー・レヴィンソンが演出、人気俳優のロビン・ウィリアムスが主演している。
個人的には、ロビンの現時点における最高の主演作だと思う。
ラジオDJの視点からベトナムを捉えた物語。
テンションが高く、独特な笑いを届けるエイドリアン(ロビン)は兵士たちのこころを癒すが、情報管理の徹底しか考えていない上層部から問題視され始め・・・。
舞台のほとんどがラジオ局で展開されるため、サウンドトラックも凝りに凝っている。
この時代のロックだけでなくオールディーズも流れ、ひとつの音楽史としてもよく出来ているが、ハイライトはなんといってもサッチモの名曲が流れるこのシーンだろう。
主人公のエイドリアンは、実在する人物。
実際にAFVN(ベトナム米軍放送)で『DawnBuster』という番組を放送していた過去があり、映画はこれをヒントに撮られたという。
エイドリアンは民間人であり、現地のベトナム人ともふつうに交流を持つ。
そんな人物だからこそ見えてくる真実があり、映画は兵士と軍上層部とベトナム人のあいだでこころが揺れるエイドリアンを捉え、この戦争の矛盾と非情を暴いていく。
文人はペンで、映画監督はキャメラで、そしてDJはマイクで国家と戦っていた。
結果としては「負け戦」だったのかもしれない。
しれないが、その精神に感銘を受け、あとに続こうとするものも現れたことだろう。
99人がYES! という世の中で、ひとりだけNO! を突きつけるのは勇気の要ること。
『十二人の怒れる男』(54)のヘンリー・フォンダじゃないけれど、そんな勇気を持っているだろうかと(こんなキチガイザーメン野郎だって)自問自答することがある。
最後に、キャメラで戦い続けた若松孝二のことばを。
「たかだか映画で何ができるかわかりませんが、僕はせめて映画で戦うしかない。そして今、どうしてもやりたいのは東電の話。誰もやろうとしないから本気になってケンカしてやろうと思っています」
あすのしりとりは・・・
ぐっどむーにんぐべとな「む」→「む」らきとなみ。
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本館『「はったり」で、いこうぜ!!』
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明日のコラムは・・・
『シネマしりとり「薀蓄篇」(84)』