Cape Fear、in JAPAN

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にっぽん男優列伝(329)宮口精二

2016-06-21 06:02:34 | コラム
13年11月15日生まれ・85年4月12日死去、享年71歳。
東京出身。

三橋達也、三船、そして宮口精二(みやぐち・せいじ)と、3人連続で「黒澤組」を取り上げることに幸福を感じています。

宮口さんといえば、代表作はなんといっても『七人の侍』(54)の久蔵。

朴訥な剣豪といったらいいのか、この7人で総当たり戦を展開したとしたら、生き残るのは久蔵「だったはず」です。

そう、実際には死んでしまうのですよね~。

ちなみに米国リメイク版『荒野の七人』(60)では、ジェームズ・コバーンが快演したナイフ投げのブリットにあたります。
本年、そのまたリメイクの『THE MAGNIFICENT SEVEN』が上陸しますが、宮口/コバーンのキャラクターは、どうやら韓国のイ・ビョンホンが演じるようなのですね。

う~~む。
という感じなのですけれどね、正直。


※予告だけだと、『許されざる者』みたいですね





映画の企画ニュースに対し、ふだんは「まぁでも、観るまでは文句いわない」というスタンスなのですけれど、
もし自分が俳優であったとして、演じてみたいキャラクターのトップワンが久蔵であるからして、今回ばかりは「う~~む。」となってしまうのですよ笑




<経歴>

アマチュア野球の審判としても有名。

経済的事情により夜間中学に通いながら働き始める。
そこの同僚の影響で演劇に触れるようになり、いつしか演者の世界に憧れを抱くようになる。

舞台の端役から芸歴スタート、映画俳優デビュー作は、45年の黒澤映画『續姿三四郎』。
と同時に「移動演劇隊」の一員となり、戦中は北陸地方を中心とした巡演活動をおこなう。

転機は51~52年。
小津の『麦秋』(51)、木下惠介の『善魔』(51)、そして黒澤の『生きる』(52)の好演により、次々とオファーが舞い込むようになる。

『生きる』のヤクザ役、たしかに印象に残っています。
凄んでみせたのに、逆に志村喬に凄まれるっていう。

『にごりえ』(53)、『七人の侍』、『叛乱』(54)、『早春』(56)、『暗黒街』(56)、『鬼火』(56)、『流れる』(56)、『蜘蛛巣城』(57)、『東京暮色』(57)、『夜の蝶』(57)、『純愛物語』(57)、『黒い河』(57)。

壮観な50年代です。
きらきら輝ていますよね、そして58年にはもうひとつの代表作『張込み』に出演、執念で犯人を追う老刑事を渋く演じて画面を引き締めました。

『無法松の一生』(58)、『楢山節考』(58)、『眠狂四郎無頼控 魔剣地獄』(58)、『キクとイサム』(59)、
『あゝ特別攻撃隊』(60)、『いろはにほへと』(60)、『悪い奴ほどよく眠る』(60)、『みな殺しの歌より 拳銃よさらば!』(60)、『あいつと私』(61)、『宮本武蔵』(61)、『宮本武蔵 般若坂の決斗』(62)、『破戒』(62)、『古都』(63)、『五番町夕霧楼』(63)、『乾いた花』(64)、『赤い殺意』(64)、『猟人日記』(64)、
『怪談』(65)、『日本のいちばん長い日』(67)、『連合艦隊司令長官 山本五十六』(68)、『社長繁盛記』(68)、『続・社長繁盛記』(68)。

『初めての旅』(71)、『男はつらいよ 柴又慕情』(72)、『男はつらいよ 寅次郎恋やつれ』(74)、『青い山脈』(75)、『化石』(75)、『白夜の調べ』(78)、
『翔べイカロスの翼』(80)、『将軍 SHOGUN』(80)、『幻の湖』(82)、『白蛇抄』(83)、『人魚伝説』(84)、『さらば箱舟』(84)。


85年4月12日―肺がんのため死去、享年71歳。
遺作は翌年公開された『オイディプスの刃』(86)で、自分はこのあたりで映画に興味を持ち始め、だから宮口さんのことも訃報で「初めてその存在を知る」みたいな感じだったと記憶しています。

それからしばらく経ってから久蔵と出会い、痺れたというわけです。

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明日のコラムは・・・

『にっぽん男優列伝(330)向井理』
コメント (1)
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