Cape Fear、in JAPAN

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『Cape Fear』…恐怖の岬、の意。

初体験 リッジモント・ハイ(177)

2016-06-13 00:10:00 | コラム
有名人と一般人との関わり合いを考察する際に、とっても参考になる映画がひとつ。

スコセッシ×デ・ニーロによる、『キング・オブ・コメディ』(82)。

デ・ニーロ扮するルバートはコメディアン志望の男で、自分には才能はある、ないのは「きっかけ」だけだと考えている。
彼は、そのきっかけを「強引に作ろう」とし、人気コメディアンのジェリー・ラングフォードに「つきまとい」始める。



典型的なストーカーだが、彼が厄介なのは、自分にはコメディアンとしての才能があると信じ込んでいるところだろう。

自作でふたりの女優がストーカー被害に遭い、さらに自身も「あの映画の主人公は僕そのものだ。なぜ、僕のことが分かった?」と、つきまとわれた経験を持つスコセッシらしい、ひじょうに歪んだブラック・コメディだった。


さて。
有名人と一般人の交流イベントの話。

自分が大好きな有吉弘行も、猿岩石時代にファンとのバスツアーを経験しているらしい。

大ブレイク直後こそ応募者殺到だったが、ブームが去ると、参加者は10人前後に激減したという。

自由時間には「有吉と会話が出来る」という特典があったが、少数の参加者は前年と同じメンバーであり、正直いって「会話は飽きている」、だから「あのー、自由時間は、ふつうにショッピングとかしたいので、その特典は遠慮します」と申し出されることもあったという笑、
ではなぜ参加したのか? と問いたくもなるが、有吉はそういう経験を繰り返すことによって、自身の人気急落を実感したそうである。

で、自分の話。

高校生のころ、母国・香港では無名であったのに、日本でのみ人気に火がついた女優さんが居た。

グロリア・イップ(トップ画像)は日本の若い映画ファンに愛され、CDデビューを果たした。
その現象に驚いた成龍ジャッキーが、自作のヒロインに起用(=89年の『奇蹟』)したほどである。

彼女とのファン交流が企画されたのは、ちょうどそのころだったと記憶する。

「クリスマス、グロリア・イップとファンとの集いin原宿」

『ロードショー』を発行する集英社の企画で、愛読者だった自分は「なんとなく」応募した。

群馬のイナカッペである、いちどだけハルク・ホーガンの「一番Tシャツ」を購入するために父親に連れて行ってもらったことはあるが、原宿なんて、ひとりで行けっこ(?)ない。

だから当選したときは、やったぁ!! ではなく、どうしよう・・・と思ったものである。

まず、着ていく服がない。

それに、彼女と話すことが出来たとして、広東語を覚えればいいのか英語なのか、あるいは日本語のままで大丈夫なのか・・・などと、要らん心配までする始末。

そーとー焦った。
こんなに焦ったのは、30分後に童貞を卒業出来ると知った、あのとき以来である。
(ここいらへんは、べつの機会に語りましょう笑)

イベントまで、あと3週間。
少しだけダイエットし、バイト代を注ぎ込んで服を買い、グロリアへのプレゼントを選んだ。
たぶんカチューシャだったような気がする・・・おぉ、ここいらへんの感覚は、あの子を刺してしまった気狂いと似ているが、彼とのちがいは、分不相応であることを「きっちり」理解していたことだろう、
自慰のおかずとしてグロリアを拝借? していた事実はあるが、グロリアと自分が話すことが出来ると想像しただけで、禁固何カ月か喰らうのではないか、、、そんな風に思っていたのである。

少し大袈裟か。

ともあれ。

準備にパワーを使い過ぎ、さらに緊張もあって、当日のことはよく覚えていない。

とりあえずいえることは、スクリーン上で拝んだグロリアより数倍も可憐であったこと、そうして、よい匂いがしたこと、くらいである。

よい経験ではあったが、心臓に悪い。

有名人と一般人の関わり合いなんて、この程度でいい。
手をつないだり服を脱がせたりするのは、夢のなかだけでいい。

そんな風に思ったのであった―。


おわり。





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明日のコラムは・・・

『お硬いのがお好き』
コメント (1)
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