Cape Fear、in JAPAN

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『Cape Fear』…恐怖の岬、の意。

The Irishman

2019-11-26 00:18:05 | コラム
あすより、「配信系」映画『アイリッシュマン』の配信が「Netflix」でスタート。

スコセッシが久しぶりにデ・ニーロと組み、盟友ハーベイ・カイテル、そして引退したはずのジョー・ペシ、さらにアル・パチーノまで迎えて実在の殺し屋を描く200分超の大作。




配信に先がけ、一部劇場でスクリーン上映され、自分も「当然」5~6回ほど行きましたさ。




十八番ともいえるギャング物、
そして映画話法を一新させた『グッドフェローズ』(90)のスコセッシとなれば、期待しない映画好きのほうが頭おかしいでしょうよ。


以下、「まだ6回ほどしか観ていない」ハンパなスコセッシ信者である自分による、ネタバレ20%程度の軽い解説。


結論。
ひかえめにいって傑作。

ただ、あり得ないほどの情報量を、あらゆる映画技法を駆使して描いた楽しくて面白い『グッドフェローズ』を期待すると肩透かしを喰らうかもしれない。

語り口のスピードも「ぜんっぜん」ちがうし、さらにいえば今回は、ちょっとした予習も必要になる。

それが、ジミー・ホッファとロバート・ケネディの関係。

なぜ司法長官は、全米トラック運転組合の委員長を裁判にかけたのか―このあたりを理解していないと、けっこう置いてけぼりを喰らうシーンが多い。


だからまず『アイリッシュマン』に触れる前に、ジャック・ニコルソンがホッファを演じた『ホッファ』(92)を観ておくことをお薦めする。

パチーノが演じる「ホッファ像とのちがい」、そうした比較も出来るようになるし。


けれどもホッファ関連の予習は、前述したように「ちょっとした」くらいでいい。

軽くなぞる、ざっと観ておく。
その程度にして、以下の2本の映画こそ「あらためて」「じっくり」観るべきであると自分は考える。


『アイリッシュマン』を観終えたあと、すぐに想起した映画。
肌触りが、後味が、ひじょうによく似ているふたつの映画。


『ゴッドファーザーPART III』(90)と、




『ブロウ』(2001)。




うん、名作の誉れ高い第1作・2作ではなく、賛否両論のあった第3作目。

これ1本だけだと「?」かもしれないが、『ブロウ』を並べると映画好きならピンとくるのではないかな、『アイリッシュマン』がどこを目指しているのかが。


哀切と、痛切―主人公フランク・シーランの半生を通し、我々はこの世の儚さをあらためて思い知らされるのであった。




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明日のコラムは・・・

『にっぽん女優列伝(152)釈由美子』
コメント (1)
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