2022年度の映画総括、第三夜目。
今宵は、16傑の5位~1位までを展開。
乗り遅れるなよ!!
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第05位『もっと超越した所へ。』
俊英の劇作家・根本宗子(大好き!容姿も才能も!!)が演出した同名の舞台を自ら脚本化、

前田敦子・趣里・伊藤万理華・菊池風磨・千葉雄大・オカモトレイジらの出演で描く恋愛喜劇、、、のように見えて、じつは映画表現の「さらに向こう(=超越)」を目論んだ野心作にして怪作。
これに否!の評価を下す向きも居ることでしょう。
壊せばいいってものではない―という批判はハーモニー・コリンの『ガンモ』で目にしたことがある、
そうかもしれない、それは分かる、
けれどもいたずらに壊そうとしているわけでないことは、本編に触れれば分かる。
要はそれが成功したかどうか。
観たひとそれぞれが決めるほかはないが、自分は「ぎりぎり」成功したのだと評価している。
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第04位『麻希のいる世界』

塩田明彦、完全復活!
90分に満たぬ小品だが、今年最もこころを動かされた青春映画となった。
歌が巧くてギターも弾けるが、家庭環境が複雑なうえに自身も男関係が超だらしない麻希。
そんな麻希に惚れている由希は、重い持病を持つがゆえに前向きに生きようと思えない。
音楽を介して友情を築く女子高生の物語だが、バンドやろうぜ!みたいなノリにならないところが面白い。
説明を排しまくった演出は「不親切」な領域にまで到達していて、「一から十まで」説明してくれる「過保護」映画に慣れてしまった一部の映画ファンには不評を買うことだろう。
しかし。
映像の力と観客を信じているのは果たしてどっちなのか―つまりは、そういうことなのだと思う。
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第03位『リコリス・ピザ』
青春とは走ること。
速度はそれぞれだろう、全速力で走り抜くヤツも居れば、マイペース、敢えて競歩みたいなスタイルを貫くヤツも居ると思う。
この映画の主人公は、ほとんど全速力にちかい走りを見せる。
映像も語り口も彼の動きにあわせ、ひたすらスピーディで流動的。そこが気持ちよい。
73年―ロスはサンフェルナンド・バレー、高校生ゲイリーは10歳年上のアラナに恋をした。
陽気で、それでいてほどよく毒もあり、映画的発見・興奮に満ちている。
現代の米映画で最先端をいく、我らがPTAことポール・トーマス・アンダーソンの最新作。
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第02位『水俣曼荼羅』

熊本県知事「あなたは土下座を望んでいますか」
第1部・病像論を糾す、第2部・時の堆積、第3部・悶え神。
計372分、水俣病をあらゆる視点で捉え直す、原一男の執念にちかいドキュメンタリー映画の傑作。
水俣病で苦しみつづけるひとだって笑うこともあるし恋だってする、裁判は大事だけれど守りたい・守るべき日常もある。
映画は、そうした「こころの揺れ」をきっちり捉えつつ、あまりにも長いと嘆息せざるを得ない裁判を追い、その判決の余波までを描く。
とくに目を見張ったのは「ゆるし」が主題となる第3部。
ここを描くために、原監督は15年ものあいだカメラを回しつづけたのだろうと思う。
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第01位『チタン』
交通事故により、頭蓋骨にチタンプレートを埋め込まれたヒロインの性的開花を描く―フレンチパンク?の最先端は、意外や意外、少なくとも日本では女性層にこそ受け入れられたという、新鋭ジュリア・デュクルノー監督によるパルムドール受賞作。
グリーナウェイの知性とノエの闇雲な前衛精神とクローネンバーグの破壊願望が理想的に融合???したというか…。
あきらかに観客を選ぶタイプの映画だが、間口は「意外と」広い。
万国共通であろう笑いのシークエンスも多く、
深く考察しようと思えば出来るし、それでいて「なんだこのバカ映画は!?」と笑い飛ばすことも出来る。
表現に限界などないんだ、、、そう思わせてくれたこの映画が、自分にとっての2022年ベストワンである。
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明日のコラムは・・・
『監督だって、にんげんだもの。。。その四~2022回顧⑧~』
今宵は、16傑の5位~1位までを展開。
乗り遅れるなよ!!
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第05位『もっと超越した所へ。』
俊英の劇作家・根本宗子(大好き!容姿も才能も!!)が演出した同名の舞台を自ら脚本化、

前田敦子・趣里・伊藤万理華・菊池風磨・千葉雄大・オカモトレイジらの出演で描く恋愛喜劇、、、のように見えて、じつは映画表現の「さらに向こう(=超越)」を目論んだ野心作にして怪作。
これに否!の評価を下す向きも居ることでしょう。
壊せばいいってものではない―という批判はハーモニー・コリンの『ガンモ』で目にしたことがある、
そうかもしれない、それは分かる、
けれどもいたずらに壊そうとしているわけでないことは、本編に触れれば分かる。
要はそれが成功したかどうか。
観たひとそれぞれが決めるほかはないが、自分は「ぎりぎり」成功したのだと評価している。
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第04位『麻希のいる世界』

塩田明彦、完全復活!
90分に満たぬ小品だが、今年最もこころを動かされた青春映画となった。
歌が巧くてギターも弾けるが、家庭環境が複雑なうえに自身も男関係が超だらしない麻希。
そんな麻希に惚れている由希は、重い持病を持つがゆえに前向きに生きようと思えない。
音楽を介して友情を築く女子高生の物語だが、バンドやろうぜ!みたいなノリにならないところが面白い。
説明を排しまくった演出は「不親切」な領域にまで到達していて、「一から十まで」説明してくれる「過保護」映画に慣れてしまった一部の映画ファンには不評を買うことだろう。
しかし。
映像の力と観客を信じているのは果たしてどっちなのか―つまりは、そういうことなのだと思う。
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第03位『リコリス・ピザ』
青春とは走ること。
速度はそれぞれだろう、全速力で走り抜くヤツも居れば、マイペース、敢えて競歩みたいなスタイルを貫くヤツも居ると思う。
この映画の主人公は、ほとんど全速力にちかい走りを見せる。
映像も語り口も彼の動きにあわせ、ひたすらスピーディで流動的。そこが気持ちよい。
73年―ロスはサンフェルナンド・バレー、高校生ゲイリーは10歳年上のアラナに恋をした。
陽気で、それでいてほどよく毒もあり、映画的発見・興奮に満ちている。
現代の米映画で最先端をいく、我らがPTAことポール・トーマス・アンダーソンの最新作。
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第02位『水俣曼荼羅』

熊本県知事「あなたは土下座を望んでいますか」
第1部・病像論を糾す、第2部・時の堆積、第3部・悶え神。
計372分、水俣病をあらゆる視点で捉え直す、原一男の執念にちかいドキュメンタリー映画の傑作。
水俣病で苦しみつづけるひとだって笑うこともあるし恋だってする、裁判は大事だけれど守りたい・守るべき日常もある。
映画は、そうした「こころの揺れ」をきっちり捉えつつ、あまりにも長いと嘆息せざるを得ない裁判を追い、その判決の余波までを描く。
とくに目を見張ったのは「ゆるし」が主題となる第3部。
ここを描くために、原監督は15年ものあいだカメラを回しつづけたのだろうと思う。
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第01位『チタン』
交通事故により、頭蓋骨にチタンプレートを埋め込まれたヒロインの性的開花を描く―フレンチパンク?の最先端は、意外や意外、少なくとも日本では女性層にこそ受け入れられたという、新鋭ジュリア・デュクルノー監督によるパルムドール受賞作。
グリーナウェイの知性とノエの闇雲な前衛精神とクローネンバーグの破壊願望が理想的に融合???したというか…。
あきらかに観客を選ぶタイプの映画だが、間口は「意外と」広い。
万国共通であろう笑いのシークエンスも多く、
深く考察しようと思えば出来るし、それでいて「なんだこのバカ映画は!?」と笑い飛ばすことも出来る。
表現に限界などないんだ、、、そう思わせてくれたこの映画が、自分にとっての2022年ベストワンである。
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明日のコラムは・・・
『監督だって、にんげんだもの。。。その四~2022回顧⑧~』