2022年度の映画総括、第二夜。
今宵は、16傑の10位から6位までを展開。
いくぜぇこらぁ!!
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第10位『トップガン マーヴェリック』
今年「あまりにも顕著」に見られたのは、客席が「おじさん」で埋まる現象。
『シン・ウルトラマン』で火がついたおじさんの熱狂はトム・クルーズの頑張りで頂点に達する。
若者こそ積極的に映画体験すべき―というのは持論だけれど、たまには「おじさんが、おじさんに囲まれ、一緒に熱くなる」経験もよいかもしれない、、、と思ったり。
映画の構造として問題点を挙げるとするならば、いくらでも出来る。
しかし過剰なほどファンサービスを意識した創りは、映画に人生を捧げるトムの哲学の証明であり、そのことに気づけば脱帽せずにはいられなくなるのだった。
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第09位『ビリーバーズ』
無人島で暮らすふたりの男とひとりの女の行く末は、容易に想像出来るように欲望との葛藤に溢れていて…。
「カルト」を題材とした山本直樹の「カルト作」を、城定秀夫が映画化した佳作。
観たもののほとんどが言及するように、北村優衣がとことんエロい。
いや訂正、いやいや訂正はしないが、
映像空間そのものがエロスに溢れ、支配され、登場人物だけでなく観ているものまで溺れていく。
近年、これほど理想的な「原作者と監督のコラボ」はなかったと思う。
城定監督はこのまま、大金を使わぬ映画の名手として活躍をつづけていってほしい。
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第08位『流浪の月』
![](https://blogimg.goo.ne.jp/user_image/27/fd/e7249c727369e0ad2846c895a068c6a7.jpg)
誘拐事件の被害者と加害者が、15年後に再会する―凪良ゆうの小説を李相日が映画化、あらゆる面で本気度の伝わる意欲作。
強烈な眼力で笑顔を振りまくキャラクターの多い広瀬すずに、李相日だけは飴でなく鞭ばかり加える。
それに応えるすずちゃんの気迫は凄まじいものがあるが、松坂桃李と横浜流星の好演も無視するわけにはいくまい。
作家性が前面に押し出されるイメージのある李相日の映画だがじつは、本作にしろ『悪人』にしろ『怒り』にしろ、結局のところ俳優が最も輝いて見えるのだった。
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第07位『焼け跡クロニクル』
![](https://blogimg.goo.ne.jp/user_image/2d/b9/63e8e3cf0e7d0126e19bc71076479a55.jpg)
2018年7月―映画監督・原將人の自宅が全焼し、あらゆる家財道具と自作のオリジナルフィルムや脚本が焼失してしまう。
焼け跡から救い出せた8mmフィルム、妻の原まおりによるスマートフォンの撮影動画を組み合わせ、一家の再起の日々を追うドキュメンタリーの労作。
新作のデータ確保のため、火のなかに飛び込む原監督は全身火傷を負う。
その意志と映画魂を理解する伴侶まおりが、入院中の夫の代わりにすべてを記録していく。
究極の、理想的な映画人のありかた(?)を見て感動した映画小僧は自分だけではないはず。
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第06位『コーダ あいのうた』
今年鬼籍に入った『カッコーの巣の上で』の鬼婦長ルイーズ・フレッチャーも、じつは「コーダのひと」だった。
コーダ(CODA)とは「children of Deaf Adults=“耳の聴こえない両親に育てられた子ども”」のこと。
フランス産の『エール!』をアメリカ流にリメイクし、オスカー作品賞を受賞。
きめの細かい演出はフランス産に軍配が上がりそうだが、アレンジの手法にセンスが感じられてオスカーも納得、
とくに合唱シーンにおける「家族には聞こえない」表現はリメイク版のインパクトのほうが強い。
どちらも良作なので、ぜひ見比べてほしい。
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明日のコラムは・・・
『監督だって、にんげんだもの。。。その参~2022回顧⑧~』
今宵は、16傑の10位から6位までを展開。
いくぜぇこらぁ!!
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第10位『トップガン マーヴェリック』
今年「あまりにも顕著」に見られたのは、客席が「おじさん」で埋まる現象。
『シン・ウルトラマン』で火がついたおじさんの熱狂はトム・クルーズの頑張りで頂点に達する。
若者こそ積極的に映画体験すべき―というのは持論だけれど、たまには「おじさんが、おじさんに囲まれ、一緒に熱くなる」経験もよいかもしれない、、、と思ったり。
映画の構造として問題点を挙げるとするならば、いくらでも出来る。
しかし過剰なほどファンサービスを意識した創りは、映画に人生を捧げるトムの哲学の証明であり、そのことに気づけば脱帽せずにはいられなくなるのだった。
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第09位『ビリーバーズ』
無人島で暮らすふたりの男とひとりの女の行く末は、容易に想像出来るように欲望との葛藤に溢れていて…。
「カルト」を題材とした山本直樹の「カルト作」を、城定秀夫が映画化した佳作。
観たもののほとんどが言及するように、北村優衣がとことんエロい。
いや訂正、いやいや訂正はしないが、
映像空間そのものがエロスに溢れ、支配され、登場人物だけでなく観ているものまで溺れていく。
近年、これほど理想的な「原作者と監督のコラボ」はなかったと思う。
城定監督はこのまま、大金を使わぬ映画の名手として活躍をつづけていってほしい。
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第08位『流浪の月』
![](https://blogimg.goo.ne.jp/user_image/27/fd/e7249c727369e0ad2846c895a068c6a7.jpg)
誘拐事件の被害者と加害者が、15年後に再会する―凪良ゆうの小説を李相日が映画化、あらゆる面で本気度の伝わる意欲作。
強烈な眼力で笑顔を振りまくキャラクターの多い広瀬すずに、李相日だけは飴でなく鞭ばかり加える。
それに応えるすずちゃんの気迫は凄まじいものがあるが、松坂桃李と横浜流星の好演も無視するわけにはいくまい。
作家性が前面に押し出されるイメージのある李相日の映画だがじつは、本作にしろ『悪人』にしろ『怒り』にしろ、結局のところ俳優が最も輝いて見えるのだった。
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第07位『焼け跡クロニクル』
![](https://blogimg.goo.ne.jp/user_image/2d/b9/63e8e3cf0e7d0126e19bc71076479a55.jpg)
2018年7月―映画監督・原將人の自宅が全焼し、あらゆる家財道具と自作のオリジナルフィルムや脚本が焼失してしまう。
焼け跡から救い出せた8mmフィルム、妻の原まおりによるスマートフォンの撮影動画を組み合わせ、一家の再起の日々を追うドキュメンタリーの労作。
新作のデータ確保のため、火のなかに飛び込む原監督は全身火傷を負う。
その意志と映画魂を理解する伴侶まおりが、入院中の夫の代わりにすべてを記録していく。
究極の、理想的な映画人のありかた(?)を見て感動した映画小僧は自分だけではないはず。
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第06位『コーダ あいのうた』
今年鬼籍に入った『カッコーの巣の上で』の鬼婦長ルイーズ・フレッチャーも、じつは「コーダのひと」だった。
コーダ(CODA)とは「children of Deaf Adults=“耳の聴こえない両親に育てられた子ども”」のこと。
フランス産の『エール!』をアメリカ流にリメイクし、オスカー作品賞を受賞。
きめの細かい演出はフランス産に軍配が上がりそうだが、アレンジの手法にセンスが感じられてオスカーも納得、
とくに合唱シーンにおける「家族には聞こえない」表現はリメイク版のインパクトのほうが強い。
どちらも良作なので、ぜひ見比べてほしい。
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明日のコラムは・・・
『監督だって、にんげんだもの。。。その参~2022回顧⑧~』