Cape Fear、in JAPAN

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『Cape Fear』…恐怖の岬、の意。

シネマしりとり「薀蓄篇」(470)

2023-08-14 00:10:00 | コラム
じょーじぴーこすとま「す」→「す」とっくほるむしょうこうぐん。

73年8月―。
スウェーデンはストックホルムで発生した「ノルマルム広場強盗事件」において、人質になった被害者たちが加害者たちをかばったり警察の捜査を妨害しようとした…ここから名づけられたストックホルム症候群とは、
誘拐・監禁事件などの被害者が「犯人との間に心理的なつながりを築く」ことを指す現象。

映画のなかでこのケースを取り上げているのが、シドニー・ルメット×アル・パチーノの銀行強盗映画『狼たちの午後』(75)。


まぁ分からないではないというか、極限状態だし、加害者が超のつく極悪人でないかぎり、そういうこともあるかもしれない。
ただデータベースによると、実際に心理的なつながりを形成することは「1割に満たない」そうで。

日本でもときどき「立てこもり事件」などが発生するが、被害者がストックホルム症候群に陥った、、、みたいな話を聞くこともないしね。

だから、そういうことが「ごくごく、ごく稀にある」程度のことなのだと思う。
さらに付け加えれば。
現代で銀行強盗や立てこもりが成功するケースは「ほぼほぼゼロ」に等しく、ストックホルム症候群ということばそのものが過去のものになってきているんじゃないだろうか。


さて『ダイハード』(88)では加害者と被害者が心理的なつながりを形成しないが、事件を報じるニュース番組において「そのおそれがある」と識者が解説している。

面白いのは、ここではストックホルム症候群ではなく「ヘルシンキ症候群」といっているところ。

単なる誤りではないと思うので、フィクション性を強調するため「敢えての名称変更」だったのかな。



竹中直人がイヤらしい小島聖を監禁する『完全なる飼育』(99)まで行くと「テーマそのものが、べつ=歪んだ恋愛」になってしまうが、

ちょっとした変化球としては、『クライング・ゲーム』(92)がある。


IRAの一団に拉致監禁された黒人兵士ジョディ、彼の見張り役ファーガスの関係性は最初から「ちょっとだけ、妙。」だった。

ひとの本性を見分ける?ことに長けていたジョディはファーガスがやさしいこころの持ち主であることをすぐに見抜いて、「あんたの名前を教えてくれ」「(頭にかぶされた)袋を取ってくれ」「(小便するために)ナニを支えてくれ」など、人質らしからぬ要求をつづける。

ファーガスが「なんで俺が」みたいにいうと、「それが、あんたの性なんだよ」と返す。

立場が逆転しているようにも見えるが、これもまた、「広義の意味では」ストックホルム症候群といえるのかもしれない。


次回のしりとりは・・・
すとっくほるむしょうこう「ぐん」→「ぐん」たい。

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明日のコラムは・・・

『紙派は3割、、、』
コメント (2)
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