新年の今頃、庭で一番元気な草はハコベでしょうか。コハコベというらしいです。
学名はStellaria media。Stellariaはラテン語のstella(星)から、mediaは中くらいの意味です。
ロシア名はその訳語の「中くらいのハコベ」です。ほかの呼び名にモークリツァ、カナリアの草など。
モークルィは湿ったの意味で、モークリツァは湿った場所を好むことから、カナリアの草はカナリアの
餌にするからでしょう。日本でもひよこぐさ、ぴよぴよくさと呼ぶ地方があるそうです。
湿ったところが好きなハコベ、乾燥がつづいているから今一つ元気がありませんね。
以前、毎朝勤めに通う大通りに宝くじ売り場の小さな建物があって、その脇で毎年冬じゅうずっと元気に
ハコベが生えていました。凍える寒さの中生き生きとした若草色のハコベを見ると、その日一日元気を
もらえる気がするのでした。以来、今にいたるまでハコベの若草色は大好きな色です。
ストリジョーフという人は『ロシアの魔法の草々』(2006)という本の中でコハコベのことをこう書いています。
「この背の低い草は枝分かれした茎に若芽を出しては暖かなシーズン中ずっと咲いています。この開花は
終わりなくつづいているように思えます。でも、このコハコベに目をとめ、その生態をじっと観察している人は
気づきます:春-夏のシーズンの間、コハコベは何回かうまいこと世代交代を繰り返しているのです。
雪の下で緑色をしたコハコベが育っているところを想像してください。吹雪も激烈極まるロシアのマロース(厳寒)も
コハコベはへっちゃら。雪融けの春の出水が去るとコハコベはまるで何事もなかったように生き生き、元気溌剌としています。
暦ではまだ早春というときに種を撒き散らします。それもちょっとやそっとの数でなく、一株ごとに1万5千から
2万5千粒!! 種は地面に落ちるや発芽し、ひと月半後には種を撒き散らします。」
厳寒のロシアの、雪の下でも緑色をして元気溌剌としているコハコベ。
雪のない東京で私がその生き生きとした姿に元気をもらったのも不思議はなかったのです。
すぐ七草粥。ハコベも入ってますね。