ひとりじゃない

いや、人間じゃないから。

ふと気づくと、
お気に入りの椅子の下で、
ノンタンとショコラが寄り添っている。

ショコラが顔をノンタンに近づけて寝そべり、
ノンタンはその顔を舐めている。

かと思えば、
ショコラの顔の下に、
半ば無理やりというように、
ノンタンが顔を突っ込んでいる。

人間とウサギで２部屋共用しているのだから、
別に、狭い場所で引っ付く必要もないのだが、
気がつくと、
ぺたりとくっついて、寝そべっている。

冬だからかな。

なんだか妬けるので、
人間も寝そべって手を伸ばしてみたら、
はっと顔を上げたショコラに、
逃げられてしまった。

ちょっと、さびしい。

同じじゃない。

手厚く看護される、弱ったウサギがいる。
健康なのに、
生きていく場所が与えられないウサギもいる。

命の重さが同じならば、おかしいよね。

弱ったウサギに使う、費用と時間を、
健康なウサギに使えば、
もっとたくさんのウサギを救うことができる。

理屈ではね。

なのに、そうはできない。

そして人間は、
命はみな、同じように尊い等、言いながら、
同じにはできないことに、罪悪感を覚える。

同じように扱わなければならないのだと、
自分の心を縛り付ける。

でも、

そういうの、もう止めてもいいんだよな。

換毛期まっさかり

夜、

ショコラの毛皮がばさばさしているので、抱き上げて抜く。

嫌がろうが抵抗しようが関係なく、はみ出ている毛をブチブチと抜く。

一部は剥げてピンク色になったが、それでも容赦なく、ひたすら抜きまくる。


朝、

早くも、毛皮からぽやぽやの抜け毛がはみ出ている。

ショコラの首根っこをつかまえ、簡単に抜く。



今日もショコラは、毛をむしられ、哀しい面持ちでケージに座りこむ。

長い毛と短い毛が、まだらに段差になり、たいへんみすぼらしい姿と化した。


それでも。


人間は、胃腸内うっ滞が怖い。

最近、ショコラの糞がつながっていた。

毛づくろいで、かなりの毛を飲み込んでいるらしい。


だが、それ以上に心配なのは、ノンタンだったりする。

ケージ内のペットシーツを掘って、一部食べた形跡がある。

ショコラにくっついて、舐めてあげている所も見た。

異物、毛、ただでさえ、換毛期で体力を消耗する心配があるのに、
誤植に、毛玉ときたら、たまったものではない。

だから、せめて、ノンタンの口に入るショコラの毛を減らしたい。


というわけで、


朝に、晩に、うさぎ達の毛をむしり続ける。

太りすぎ・・・

耳穴があまりにも汚いので、
すっかり行っていなかった定期健診兼ねて
ショコラを連れて、病院に行く。

日曜日の夕方なのに、待合室は犬がいっぱい。
いい病院だから人気があるんだなと思いつつ、
気になる。

診察台に乗せて、まず体重。
2.65キログラム
ＭＯＧＵさんもこんなものだったので、
まぁ、こんなもんかなって思っていたら、
１月の健診では2.1キロだった。
１年弱で0.5キロも太ったことになる。
・・・まずい。

なんとか１枚だけ撮れたレントゲンは異常なし、
耳も疥癬ではないらしい。

でも、耳穴の掃除はやらないほうがよいと
言われてしまった。大切な所なので。
まぁ、本人もそう気にしてないしな。

とはいえ、
仕切り越しでも、ワンコと同じ診察室で、
ニャンコの声も響いているので、
人間はだんだん、心配になってくる。
動かないように押さえているけれども、
ショコラ、大丈夫か。

いい病院だったんだけどな。

でも、いい病院だから、
ワンコやニャンコの患者さんが増えたんだな。
少数派のウサギ飼いとしては、ちょっと辛い。
院長先生がお休みだったっていうのも、
あるかもしれないけど。

とりあえず、今度行くときは、
院長先生がお休みかどうか、
確認してからにしようと、ちょっと思った。

その前に、
ダイエット、なんとかせねば。

匂う・・・

「ノ」１匹だったときと、
「ショ」と「ノ」の２匹になってからの違いは、
そここに撒かれるシッコだ。

遅い夕飯を食べ終えた２匹が、部屋の中をばたばたと駆け回る。
油断していると、ぷわんと、ニンジン臭いシッコの匂いが漂う。
また、どこかその辺でやってしまったらしい。

できればトイレでして欲しいと願い、
部屋のあちこちにウサギ用トイレを設置し、（ざっと５個）
ペットシーツでガードしてはいるのだが、
ほんの少しの隙をついで、してしまう。

平らな床の上でしたシッコは、水溜りをつくり、
短い尻尾をぐっしょりと茶色に染める。

そのまま駆けて行けば、当然、
モップで拭いたように、シッコの痕がつく。

人間は、

汚いなぁと言いながら、
シッコの芳しい匂いの中で、眠りにつく。

うさぎの耳垢

ショコラは耳穴が汚い。
耳の付け根にあるしこりを調べてもらった時、
耳穴が汚いのでよく見えない、と言われたくらい汚い。

最近はどうかなと思って、覘いてみた。
ものすごい抵抗を受ける。

垂れた耳を持ち上げて、中をのぞくと、
耳穴の奥から、巨大な耳垢がもりあがっている。

やや茶色がかった、固そうな耳垢だ。

触ってみようかと思ったが、もしや、耳疥癬ではと思い躊躇する。

これは、もう、病院に行くしかない。

緊急事態ではなさそうなので、
水曜日の休みに、病院に連れて行くことにする。

仰向けに抱かれ、耳穴を覘かれたうさぎは、
すっかり、ふてくされて隅に座り込んでいる。

食欲も落ちているのではと気になる。