待合の床に、和歌を掛け、豆雛を飾りました。
茶席の床は、能「隅田川」、野沢蓼州(りょうしゅう)の絵です。
床柱に春曙紅(しゅんしょっこう)を一輪、旅枕にいけました。
改めてご挨拶のあと、すぐに初炭です。
釜をあげると、丸ぎっちょが三つ人待ち顔に見えました。
今日は天気が良かったのですが、とても寒く、火がごちそうなのです。
準備のときは大きすぎるかしら? と思った胴炭がぴったりでした。
香炉を整えて折据を乗せて盆を持ち出し、
「どうぞ折据おまわしを」
役札を引いたSさんが香を焚き、私も相伴しました。
香はアブダビの香(NO.3)です。
ゆっくり三回聞きますが、三回は「過去、現在、未来」を聞くそうで
初めてNさんから伺いました。
ほのかな香を聞いていると、松風が聞こえてきました。
こころなしか、お囃子のように聞こえたのは
先ほどの瀬谷の吊るし雛で出会った五人囃子のせいでしょうか、
それとも能「隅田川」の囃子でしょうか。
ゆったりとした時間が流れていきます。
主菓子「香りたつ」(寿々木製)を賞味して頂き、濃茶をお点てしました。
濃茶は伊藤園の万歴の昔です。
つづき薄茶で最初は梅、替えは桜の茶碗でお点てしました。
お正客役のNさんの心遣いで、自服をさせて頂きました。
水一杓を忘れたことにあとで気がついたり、いろいろと所作が
身についていないことがわかり、好い経験でした。
反省としては、座布団や閑座をおすすめすれば良かった・・のですが、
肝心の干菓子をお出しするのを忘れたほどですからご勘弁ください。
干菓子は、「福来」(鶴屋吉信)と最近お気に入りの「侘び箪笥」(金沢・諸江屋)です。
薄茶になると、いろいろな話が飛び交いました。
「能は好きですが奥が深く眠くなって・・・」とお話しすると、
私も・・と声が続きます。
「能は、眠くなるくらいが好い能という話を聞きました。
あの世とこの世の境を行き交う能は眠くなって夢うつつの状態が佳境だと・・・」
というMさんのお話は興味深いものでした。
話は尽きませんが、名残り惜しく茶飲み会をお開きとしました。
・・・とっても楽しかったです!
またのお越しをお待ちしております。
瀬谷の吊るし雛と茶会(1)へ
その日は、 のち
写真は、「川口邸・雛段の茶道具」
「我が家の豆雛)
「三人官女と五人囃子 長屋門公園」
「香りたつ」 (寿々木製)