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Sさまの名残りの茶事へ招かれました。
9月に入って届いた巻紙のご案内に西行法師の和歌が添えられていて、
Sさまの住む野の里へお伺いするのが楽しみでした。
秋の夜に聲も惜しまず鳴く虫を
露まどろまず聞きあかすかな 西行
10月8日、京都駅から西へ向かい、窓側の席へ座りました。
神戸を過ぎると海が見えはじめ、淡路島や明石海峡大橋を眺めながら
明石、加古川を通り、小旅行の気分です。
京都へ来てから通い慣れた風景、茶友の住む駅・・・見納めかもしれません。
そんな感傷に浸りながら、相客のYさまと合流し、Sさま宅へ到着です。
Sさまは庸軒流をお習いしています。
私が藤村庸軒(反古庵とも)ゆかりの西翁院や庸軒の墓を訪ねたり、
庸軒流の点前(特に炭手前)に関心があるのを知って、
昨年12月の茶事に次いで名残の茶事へお招きくださったのです。
待合に入って掛物を拝見した途端、なんかご亭主の気迫のようなものを感じました。
西翁院玄関
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掛物は寒山拾得の画と寒山詩の画賛です。賛は妙心寺和尚筆にて
「吾心似秋月 碧潭清皎潔 無物堪比倫 教我如何説」
(私の心は秋の名月に似て、青々とした深い水のように透明で汚れがない。
これにならぶことのできるものは他に無いく、どのように説明したらよいのだろう)
また、妙心寺の塔頭・桂春院と庸軒流はご縁が深く、庸軒流の茶室と伝えられている
「既白庵(きはくあん)」があることをはじめて伺いました。
それで、このお軸だったのですね・・・。
白湯で喉を潤し、肌色の小さな茶碗(玉露用?)を見ると、蓮月焼でした。
大好きな蓮月に因む茶碗と嬉しいお出合いです。
茶碗ごとに歌が釘彫りされてて、私のは次の歌でした。
のにやまに うかれうかれて かえるさを
やどまでおくる あきのよのつき
大小の石や石灯籠が巧みに配置された庭の腰掛で、迎え付けをYさまと待ちました。
Yさまとは7月の「旧暦の七夕の茶事」以来ですが、
南坊流をお習いしているYさまは庸軒流のSさまを心から尊敬してらして、
その気持ちが快く伝わってきます。流派が違っても何か共通するものがあるようです。
立ち使いの蹲で身心を浄め、席入りしました。
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西翁院から大阪・淀方面を見る
床の横軸は藤村庸軒の消息文、最後に反古庵とありました。
閑路夕雨(さびしい路を行くと、日が暮れ雨が降ってきた)とあり、
漢詩が続きますが、あとは全く読めませんで、最後に和歌も・・・。
あとで読み下しを見せてくださいましたが、メモもなく・・ごめんくださいませ。
このお軸を入手された時、先に拝見していた堀内宗完師匠が
「これは・・・なかなか好いお軸ですなぁ~」と言ったそうです。
そのお軸が宗完師匠でなく庸軒流のSさまの元へ来たことに深いご縁を感じ、
Sさまの心意気に心の中で拍手しました。
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野の里の名残りの茶事-2へつづく
9月に入って届いた巻紙のご案内に西行法師の和歌が添えられていて、
Sさまの住む野の里へお伺いするのが楽しみでした。
秋の夜に聲も惜しまず鳴く虫を
露まどろまず聞きあかすかな 西行
10月8日、京都駅から西へ向かい、窓側の席へ座りました。
神戸を過ぎると海が見えはじめ、淡路島や明石海峡大橋を眺めながら
明石、加古川を通り、小旅行の気分です。
京都へ来てから通い慣れた風景、茶友の住む駅・・・見納めかもしれません。
そんな感傷に浸りながら、相客のYさまと合流し、Sさま宅へ到着です。
Sさまは庸軒流をお習いしています。
私が藤村庸軒(反古庵とも)ゆかりの西翁院や庸軒の墓を訪ねたり、
庸軒流の点前(特に炭手前)に関心があるのを知って、
昨年12月の茶事に次いで名残の茶事へお招きくださったのです。
待合に入って掛物を拝見した途端、なんかご亭主の気迫のようなものを感じました。
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西翁院玄関
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掛物は寒山拾得の画と寒山詩の画賛です。賛は妙心寺和尚筆にて
「吾心似秋月 碧潭清皎潔 無物堪比倫 教我如何説」
(私の心は秋の名月に似て、青々とした深い水のように透明で汚れがない。
これにならぶことのできるものは他に無いく、どのように説明したらよいのだろう)
また、妙心寺の塔頭・桂春院と庸軒流はご縁が深く、庸軒流の茶室と伝えられている
「既白庵(きはくあん)」があることをはじめて伺いました。
それで、このお軸だったのですね・・・。
白湯で喉を潤し、肌色の小さな茶碗(玉露用?)を見ると、蓮月焼でした。
大好きな蓮月に因む茶碗と嬉しいお出合いです。
茶碗ごとに歌が釘彫りされてて、私のは次の歌でした。
のにやまに うかれうかれて かえるさを
やどまでおくる あきのよのつき
大小の石や石灯籠が巧みに配置された庭の腰掛で、迎え付けをYさまと待ちました。
Yさまとは7月の「旧暦の七夕の茶事」以来ですが、
南坊流をお習いしているYさまは庸軒流のSさまを心から尊敬してらして、
その気持ちが快く伝わってきます。流派が違っても何か共通するものがあるようです。
立ち使いの蹲で身心を浄め、席入りしました。
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西翁院から大阪・淀方面を見る
床の横軸は藤村庸軒の消息文、最後に反古庵とありました。
閑路夕雨(さびしい路を行くと、日が暮れ雨が降ってきた)とあり、
漢詩が続きますが、あとは全く読めませんで、最後に和歌も・・・。
あとで読み下しを見せてくださいましたが、メモもなく・・ごめんくださいませ。
このお軸を入手された時、先に拝見していた堀内宗完師匠が
「これは・・・なかなか好いお軸ですなぁ~」と言ったそうです。
そのお軸が宗完師匠でなく庸軒流のSさまの元へ来たことに深いご縁を感じ、
Sさまの心意気に心の中で拍手しました。
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野の里の名残りの茶事-2へつづく