暁庵の茶事クロスロード

茶事が好きです。茶事の持つ無限の可能性に魅了されて楽しんでいます。2015年2月に京都から終の棲家の横浜へ戻りました。

令和7年初釜は耕雲亭にて・・・(3)薄茶席

2025年01月31日 | 茶事・茶会(2015年~自会記録)

つづき)

午後は3席、最終の薄茶席へ入らせていただきました。

広い床には見事な結び柳が飾られ、柳筒に白い椿が一輪、侘助でしょうか?

御軸は「瑞烟新」(ずいえんあらたなり」、淡々斎宗匠の御筆です。

香合はふっくらと可愛らしい於福香合(九谷焼陶幸窯)、席主のN先生そっくり・・・というお声も多かったそうです(影の声・・・ホント!)。紙釜敷は奥村吉兵衛作です。

広い床に続いて琵琶床があり、蓬莱飾りがお正月らしく素敵でした。

点前座は長板の一つ置き、水指は祥瑞です。

    (蓬莱飾りと点前座)

N先生のご挨拶の後、干菓子が運ばれました。

お点前が始まると、客の視線は一斉にお点前さんへ集中し、さぞや緊張されたことでしょう。N先生社中は昨年の初釜が茶会デビューで今回が2度目の茶会だそうですが、とても落ち着いたきれいな所作で薄茶を点ててくれました。

棗は「松梅棗」(鵬雲斎大宗匠在判箱)、茶杓は銘「佳き日」(大亀老師筒)です。

水屋から薄茶を運び出す半東さんは入れ替わり立ち代わりですが、どの方も歩き方や所作がゆったりと落ち着いていらして、この1年間の成長に目を見張る思いがし、一生懸命のおもてなしが伝わってきて嬉しかったです。暁庵社中にもきっといろいろ良い刺激になったことでしょう。

(釜は「涛声釜」(十三代宮崎寒雉造)、炉縁は黒千家桐蒔絵)

お正客M様が薄茶を頂いた主茶碗は古朝日焼、落ち着いた味わいが銘「静」(淡々斎宗匠箱)にふさわしく思いながら、客8名がそれぞれ多彩な茶碗で薄茶をいただきました。

茶碗は社中の皆さんがお持ち出しされたそうで、一つ一つ説明を伺いながら楽しみました。仁清写花鳥(通次阿山作)、朝明(永楽善五郎作)、槍梅(暁釜)、赤楽・初夢(吉村楽入作)、紅志野など・・・・。

暁庵は紫交趾・牡丹の茶碗、細かく泡立った熱い薄茶がたっぷりで美味しゅうございました! 薄茶は「江雲の白」(柳桜園詰)です。

N先生社中の皆さまはN先生が耕雲亭で担当された裏千家「初心者のための茶道教室」の生徒さんだった方々です。あれから4年が経ち、立派に成長されて初釜で立ち働いている姿を眩しく、そして嬉しく思いながら、当時の様子や苦労話を伺ったりしました。

退席するときに、N先生から袋物(ティッシュ入れ)を頂戴しました。

「90歳を超す母が「自分も初釜に参加したい!」と言って作ってくれたものですが、もしよろしかったら1つお持ち帰りください」

娘の初釜に自分も何かしてあげたい、参加したいという母上様のお気持ちに涙し、母を亡くした私にはとてもうらやましく思いました・・・。

そんな心優しいN先生やお社中の皆様と初釜を共催できたことをとても嬉しく思いました。

全6席がなんとか無事に終了した後に、濃茶席へ入るゆとりがなかったN先生と暁庵は仲良く小間の椅子席で、お家元の御軸に見守られながら花びら餅と、N先生は濃茶、暁庵は薄茶を頂戴しました。何とも言えない安堵や充実感と共にお茶が美味しく乾いた喉を潤してくれました・・・ご馳走様!。

 

皆さま、ありがとうございました。  つづく)

   

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                 令和7年の初釜に向けて・・・台目濃茶

  


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