新宿少数民族の声

国際ビジネスに長年携わった経験を活かして世相を論じる。

宮川沙江さんの問題

2018-08-30 09:19:53 | コラム
彼女の主張が全面的に正しいとして:

私は何度か我が国の多くの(敢えて全部とまでは言わないが)スポーツの協会というか上部団体の役員たちはほぼ無能か使い物にならない(簡単に言えば世間知らずのアホばかり)だと決めつけてきた。それは「彼らは嘗ては名選手だったかも知れないが、その後はその極々狭い世界に閉じこもって、まともな社会か世間の風にも当たらず社会常識を備える間もなく頑迷な老人の如くになってしまった連中ばかりだ」という意味である。

最近ではレスリング協会の栄和人元本部長にボクシング連盟だかの山根明が悪い意味での典型的な例として挙げられるだろう。そこにまた彼らに輪をかけたといっても良いだろう間抜けなマスコミが加わっておかしな報道の仕方をするのだから、事態が改善される訳がない。しかもマスコミも協会もあるいは選手たちも何を血迷ったのか、少し英語が解る私には意味不明な「パワー・ハラスメント」(略して「パワハラ」)というカタカナ語を使うのだから、益々救いようがなくなっていくのだ。

今回の宮川さんの件が報じられてから(恐らく我が国の大学の運動部でも最もきつかったと思うところだが)体育会出身者が「パワハラはおかしい。俺に言わせれば理不尽な圧力をかけることだと思う」と言っていた。確かに、栄和人もその範疇に入るだろうし、山根明も同様だろう。私には何でもかんでもカタカナ語にしてしまう意味も目的もが解らないし、大体からして power harassment などと言う英語の表現は存在しないし、そういう犯罪があって警察が取り締まる訳でもないだろう。即刻使用を止めて「理不尽な圧力をかけられた宮川沙江さん」のように具体的に報道すべきだ。

掲題のように「彼女の主張が全面的に正しい」とすれば、塚原夫妻が宮川さんに対して言ったことは不当で理不尽な圧力以外の何物でもないと思う。だが、マスコミが言う「パワハラ」では具体的に何を言いたいのかサッパリ解らない。私は彼らマスメディアは体操界における朝日生命と塚原夫妻の強烈な存在を承知しているからこそ、18歳の少女を擁護する姿勢は示さず、協会と塚原夫妻の代弁者に徹しているのかと読んでいるのだが、如何なものだろう。

私には当然だが、宮川さんをあのコーチから引き離して朝日生命の傘下に入れれば「もっと伸びてオリンピックの代表になれるのか否か」など解る訳がない。だが、どう考えても18歳の将来有望なのだろう少女を慣れ親しんだコーチから引き離すことが理不尽ではないとは思えないのだ。また、宮川沙江さんは暴力を振るわれたのは1年ほど前だったと言っているが、そのことを捉えてそのコーチの登録を抹消することが正常な感覚というか神経の下での判断とは思えない気がする。

私は以前にアメリカのビジネススクールではその教科にMBAと一口に言っても「学校運営のマスター」や「病院経営のマスター」があると指摘したことがあった。私はこの考え方を応用すれば「各種の競技の上部団体の幹部か会長か責任ある役員には何処かのビジネススクールで経営を学んできた経営の専門家を当てて、競技そのものの運営や進行には狭い世界だけで育ってきた非常識な連中にやらせれば良いのでは」と考えている。

最後に矢張り英語の講釈をしておこう。“harass”とはジーニアス英和には「(人)を厄介なこと・心配なので絶えず困らせる、繰り返し悩ます」とある。さらに「敵を(繰り返し)攻撃する」ともある。Oxfordには (often passive) to annoy or worry ~ by putting pressure on them saying or doing things to them とある。これを「誰かが誰かに理不尽な圧力をかける」という犯罪のような意味でカタカナ語にしたのはおかしいと思う。

以前にも述べたが、W社で副社長兼事業本部長たちが集められて sexual harassment の注意があった時には「今日の服装は良いね」とか「今日の貴女は何時もより美しい」とか「今日の化粧では一層映えるね」というような言い方は駄目だと教えられたそうだった。それが我が国に入るや本家本元にはない「パワハラ」だの「マタハラ」などという奇怪なカタカナ語が出来てしまうのが恐ろしいのだ。曲解だ。こういうカタカナ語を産み出すのは何処の不勉強な奴かと何時も不思議に思っている




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